<自然界での産出> 白金族元素と呼ばれている元素にはルテニウム(Ru),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd),オスミウム(Os),イリジウム(Ir),白金(Pt) が あり,これらは稀少な金属で,産出状態も似ている。いずれも層状貫入岩体のはんれい岩などに,トン当たり3g程度で含まれるものが鉱石(白金族鉱石)とし て重要。ニッケルやクロムなどを伴い,それらとともに採掘さ れる場合が多い。 白金を主成分とする鉱物には自然白金(単体の白金:Pt)のほか,クーペライト(PtS),モンチェアイト(PtTe2),スペ リーアイト(PtAs2)がある。また,他の白金族元素の 鉱物中に少量成分として含 まれていることも多い。これらの白金族元素の鉱物は顕微鏡的な大きさで鉱石に含まれている。 鉱石1トン当たりの白金の含有量は数グラム以下で,指輪1個分である。 主要な産出国は南アフリカやロシアなどで,世界的に見ると鉱床の分布が著しく偏在している。 |
<用途> 指輪などの装飾用品のほか,化学工業での触媒などに使われている。また,イリジウムとの合金は特殊な電気製品の接点やキログラム原器に使われている。 なお,白金 はオスミウム,イリジウムに次いで3番目に密度の高い元素である(21.45g/cm3)。 |
白金族鉱石 20億年以上前に地下深部でできた層状貫入岩体中の,はんれい岩中に,磁硫鉄鉱・黄銅鉱・ペントランド鉱などと共生して0.01mm程の白金族元素の鉱物が含まれている。主要な産出国は南アフリカなど。 1トン当たりの白金族元素の含有率は3g程度。 ・南アフリカ ルステンブルグ(ブッシュフェルト層状貫入岩体中のメレンスキーリーフと呼ばれる,白金族元素に富むはんれい岩層の鉱石。南アフリカの白金の埋蔵量は世界の約8割を占める) |
モンチェアイト moncheite 成分:白金のテルル化物 PtTe2 白金とテルルが化合した鉱物。左のような見かけの層状貫入岩体の白金族鉱石(特殊なはんれい岩)中に0.01mm程の白色の粒状で,ペントランド鉱,磁硫鉄鉱,黄銅鉱などと共生している。 ・アメリカ モンタナ州 スティルウォーター層状貫入岩体のJ-M Reefと呼ばれる白金鉱石中(偏光反射顕微鏡写真:写真の左右0.48mm) |
自然白金 native platinum 成分:単体の白金 Pt 白金族鉱石(特殊なはんれい岩)中に0.01mm程の白色の粒状で含まれる。 また,蛇紋岩中に含まれていたものが,その風化により河川の土砂に混じってイリドスミンとともに産する。この場合,1mm程度の銀白色の粒状をなす ほか,まれに6面体の結晶形を示すものや,数mm以上に達するものがある。鉄を含むものは磁石に吸い付き,アワルワ鉱(Ni3Fe) と紛らわしい。 ・北海道夕張川産(蛇紋岩中に含まれていたものが,その風化により河川の土砂に混じって産したもの) |