【イリジウム】(9族 元素記号:Ir)     [周期表へもどる]
 
<自然界での産出>
 白金族元素と呼ばれている元素にはルテニウム(Ru),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd),オスミウム(Os), イリジウム(Ir),白金(Pt) が あり,これらは稀少な金属で,産出状態も似ている。いずれも層状貫入岩体のはんれい岩などに,トン当たり3g程度で含まれるものが鉱石(白金族鉱石)とし て重要。ニッケルクロムなどを 伴い,それらとともに採掘される場合が多い。 顕微鏡的な大きさの単体のほか,他の白金族元素の 鉱物中に少量成分として含 まれていることが多い。
世界的に見ると鉱床の分布が著しく偏在している。
 また,イリジウムを主成分とする鉱物にはオスミウムとの合金であるイリドスミンがあり,蛇紋岩中に含まれ,これが風化してできた土砂中に肉眼で見える大 きさでまれに見つかる。

<用途>
 各種触媒の他,白金との合金は特殊な電気製品の接点やキログラム原器に使われている。
 また,イリドスミン(オスミウムとの合金)は摩耗しにくく,高級な万年筆のペン先に用いられている。
 なお,イリジウムはオスミウムに次いで密度の高い元素である(22.56g/cm3

イリドスミン 
イリドスミン iridosmine    
成分:イリジ ウムとオスミウムの合金 (Ir,Os)

 蛇紋岩中に含まれていたものが,その風化により河川の土砂に混じって産したもの。1mm程度の銀白色の扁平な粒状をなし,硬く,密度が高い。万年筆のペ ン先に用いられる。少量の砂金 (金色)を伴う。
・北海道夕張川産
白金族鉱石
白金族鉱石
20億年以上前に地下深部でできた層状貫入岩体中の,はんれい岩中に,磁硫鉄鉱・黄銅鉱・ペントランド鉱などと共生して0.01mm程の白金族元素の鉱物が含まれている。主要な産出国は南アフリカなど。 1トン当たりの白金族元素の含有率は3g程度
・南アフリカ ルステンブルグ(ブッシュフェルト層状貫入岩体中のメレンスキーリーフと呼ばれる,白金族元素に富むはんれい岩層の鉱石)