【オスミウム】(8族 元素記号:Os)     [周期表へもどる]
 
<自然界での産出>
 白金族元素と呼ばれている元素にはルテニウム(Ru),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd),オスミウム(Os),イリジウム(Ir),白金(Pt) が あり,これらは稀少な金属で,産出状態も似ている。いずれも層状貫入岩体のはんれい岩などに,トン当たり3g程度で含まれるものが鉱石(白金族鉱石)とし て重要。ニッケルクロムなどを 伴い,それらとともに採掘される場合が多い。顕微鏡的な大きさの単体のほか,他の白金族元素の 鉱物中に少量成分として含 まれていることが多い。世界的に見ると鉱床の分布が著しく偏在している。
 また,オスミウムを主成分とする鉱物にはイリジウムとの合金であるイリドスミンがあり,蛇紋岩中に含まれ,これが風化してできた土砂中に肉眼で見える大 きさでまれに見つかる。
<用途>
 四酸化オスミウムとして実験室での試薬(酸化剤)として用いられる。
 またイリジウムとの合金(自然界に産するイリドスミン:(Ir,Os))は耐食性が強く,硬度が高いので 万年筆のペン先に用いられる。
 なお,オスミウムは最も密度の高い元素である(22.59g/cm3

イリドスミンオスミウム
イリドスミン iridosmine  
成分:イリジウム とオスミウムの合金 (Ir,Os)

 蛇紋岩中に含まれていたものが,その風化により河川の土砂に混じって産したもの。1mm程度の銀白色の扁平な粒状をなし,硬く,密度が高い。 万年筆のペン先に用いられる。少量の砂金 (金色の粒)を伴う。
 なお,イリジウムに乏しく,オスミウムに富むものは,六方晶系で,薄くはがれるように割れる性質があり,時に右写真のように明瞭な6角板状の結晶外形を 示すことがある。
・北海道夕張川産(目盛りの間隔は1mm)
白金族鉱石
白金族鉱石
20億年以上前に地下深部でできた層状貫入岩体中の,はんれい岩中に,磁硫鉄鉱・黄銅鉱・ペントランド鉱などと共生して0.01mm程の白金族元素の鉱物が含まれている。主要な産出国は南アフリカなど。 1トン当たりの白金族元素の含有率は3g程度
・南アフリカ ルステンブルグ(ブッシュフェルト層状貫入岩体中のメレンスキーリーフと呼ばれる,白金族元素に富むはんれい岩層の鉱石)