<自然界での産出> 大陸地域にある層状貫入岩体と呼ばれる約10億年以上前にマグマが冷えて固まってできたはんれい岩などにペントランド鉱などとして含まれる。 また,かんらん岩や蛇紋岩が熱帯地方で強い風化作用を受けてできた土壌から緑色のケイニッケル鉱として産する。資源としてはこれらのものが重要。産出はロシア・カナダ・中国・インドネシア・オーストラリア・ニューカレドニアが多く,地殻ではかなり偏在している元素である。 なお,普通のかんらん岩や蛇紋岩にも0.1%程度含まれているが,含有率が低く,資源にならない。 |
<用途> メッキや電池の電極のほか,他の金属と合金にして用いられる。 最も重要なのは鉄に18%のクロムと8%のニッケルを加えた18-8ステンレスである。 また,75% の銅と25%のニッケルからなる合金は白銅と呼ばれ,100円硬貨や50円硬貨に用いられている。 |
ペントランド鉱 pentlandite 成分:ニッケルと鉄の硫化物 (Ni,Fe)9S8 鉱石中には数10マイクロメートルほどの微粒で多く含まれ,真鍮色だが,肉眼で見られるくらいの大きさになることはまれである。 ・アメリカ モンタナ州 スティルウォーター産(偏光反射顕微鏡写真。写真の左右0.48mm) |
ケイニッケル鉱 garnierite 成分:マグネシウムとニッケルのケイ酸塩 (Mg,Ni)3Si2O5(OH)4 かんらん岩が強度の風化作用を受けてできた鉱床に産し,淡緑色の土状塊をなす。 |
紅ヒニッケル鉱 niccolite 成分:ニッケルのヒ化物 NiAs 銅のような橙色の金属光沢で,粒状,塊状をなし,熱水鉱脈中に産する。中世のヨーロッパでは銅の鉱石と間違われた。かつてはカナダのオンタリオ地域やド イツのサクソニー地域で多産し,重要なニッケル鉱石だったが,近年は産出が少なくニッケル鉱石としての重要度は低い。 ・カナダ オンタリオ州産 |