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はんれい岩(はんれいがん) gabbro

はんれい岩は,玄武岩と同じく,ケイ 酸分 (SiO2)が少ない(50%程 度)マグマからできる。玄武岩はそれが地表付近 で急に冷えて固まってできるのに対し,はんれい岩はそれが地下深部でゆっくり冷えて固まってでき,玄武岩よりきめが粗い(平均して1mmより粗 い)。
はんれい岩は白い斜長石,黒〜暗褐〜緑黒の輝石類(普通輝石,頑火輝石)や普通角閃石,褐緑色〜褐黄色のかんらん石などがモザイク状に集合している(等粒状組織)。花こう岩閃緑岩よりも 黒っぽく見える。

石材名で,閃緑岩とともに「黒御影」と呼ばれ,堅いので,比較的小さい石造物に用いられている。

はんれい岩


石材のはんれい岩

「黒御影」という石材名で使用されている,はんれい岩

はんれい岩/黒い部分は普通角閃石・輝石類・かんらん石などの有色鉱物。白い部分は斜長石(無色鉱物)。この写真のように有色鉱物が6割程度を占めるものが多い。

はんれい岩中に含まれる主な鉱物
斜長石 輝石類(普通輝石,頑火輝石) 普通角閃石 かんらん石

岡山県内のはんれい岩について)
はんれい岩は県内ではやや分布が狭い。その多くは約3億年前にできたもので,もとは海洋底のプレートの中層部を構成していたものである(下図)。そのプレートの動 き (1年に数cmの動き)で,現在の岡山県の場所まで移動し,その際,弱い変成作用を受け,アクチノ閃石などが生じ,緑色が かっているものが多い(「変はんれい岩」と呼ばれる)。この「変はんれい岩」は井原市,矢掛町,高梁市,美作市などに分布し,井原市,矢掛町などでは「矢掛石」と称して水石としてい る。
変はんれい岩
変はんれい岩の起源
「変はんれい岩」/美作市産 「変はんれい岩」は,もともとは海洋プレートの中層部を構成していたはんれい岩である。

他には「変はんれい岩」ではない,はんれい岩も少し分布している。それは約1億〜数1000万年前にできたもので,その中には磁鉄鉱の微粒子を多く 含 み,糸につるした磁石が吸い寄せられるものがある。また,花こう岩のマグマの熱で変成しているものもある。
はんれい岩
はんれい岩/笠岡市神島外浦産。花こう岩のマグマの熱などで変成している(→ 右の偏光顕微鏡写真)。

左の笠岡市神島外浦のはんれい岩の偏光顕微鏡写真/はんれい岩のような火成岩は,もともと高温のマグマからできたものなので,できた後に別のマグマの熱などの影響(接触変成作用)を受けても肉眼的な変化は認めにくい。しかし,偏光顕微鏡で見ると接触変成作用でできた鉱物・組織がわずかながら見られることが多い。このはんれい岩の偏光顕微鏡写真では花こう岩のマグマの影響で緑灰色のスピネルという鉱物が新たにできている様子がわかる。