【亜鉛(あえん)】(12族 元素記号:Zn)   [周期表へもどる]
 
<自 然界での産出>
 亜鉛は硫 黄と化合した閃亜鉛鉱という鉱物として産することが多く,それが資源的に 重要。 
 亜鉛の鉱物とし ては他に菱亜鉛鉱,異極鉱等があるが,産出が少なく,資源的には重要ではない。
<用途>
 亜鉛は鉄製品にメッキすると,亜鉛がさびることで鉄がさびにくくなり,そのようなものはトタンとして知られている。また,銅と合金にしたものは真鍮である(5円硬貨など)。
 なお,亜鉛は銅や鉛に伴い多く産出するが,イオン化傾向が大きいため製錬困難で,本格的な利用は18世紀になってからである。


閃亜鉛鉱     sphalerite 
成分:硫化亜鉛 ZnS
 合成実験で閃亜鉛鉱と同じ硫化亜鉛をつくると白色だが,天然のものは常に多少の鉄を含むので,大抵,褐〜黒色系の色を呈する。キラキラ光る。
 亜鉛鉱石として最も重要だが,微量のカドミウムガリウムインジウムなどを含む こともあり,それも精錬の際,亜鉛と一緒に取り出される
・北海道豊羽鉱山産
異極鉱
異極鉱   hemimorphite

 成分:亜鉛のケイ酸塩  
Zn4(Si2O7)(OH)2・ H2O

 褐色の水酸化鉄(褐鉄鉱)の空隙に白色半透明の集合体をなしているもの。閃亜鉛鉱が地表近くで分解してできる。
・大分県木浦鉱山産
黒鉱
黒鉱   black ore
 
  海底に吹き出す熱水から細かい硫化物が沈殿してできる重要な亜鉛,鉛,銅,銀などの鉱石。閃亜鉛鉱,方鉛鉱,四面銅鉱,黄銅鉱,重晶石などが密に集合して いる。日本では東北地方日本海 側,山陰地方に多産し,日本海の拡大の時期に,海底での流紋岩の火成活動にともなって形成されたものと考えられている。海外でも重要な亜鉛・鉛・銅・銀鉱 石として採掘され,インジウムやガリウムなどのレアメタルも多く含む
・秋田県餌釣鉱山産

黒鉱の偏光反射顕微鏡写真
 閃亜鉛鉱(右下方),方鉛鉱,四面銅鉱,黄鉄鉱,黄銅鉱,重晶石などが集合し,それらが部分的に球状集合体をなしている。この組織は海底で沈殿した硫化 物の微粒子が再結晶してできた。
・秋田県餌釣鉱山産(偏光反射顕微鏡写真:写真の左右0.48mm)