<自然界での産出> 資源として重要なのは亜鉛鉱石(閃亜鉛鉱)中に微量含まれ,その副産物として回収されるものである。 ゲルマニウムを主成分とする鉱物は少なく,硫銀ゲルマニウム鉱,ゲルマナイト, レニエル鉱などが知られ,いずれもまれな鉱物である。 |
<用途> 半導体として多く用いられる。 |
閃亜鉛鉱 sphalerite 成分:硫化亜鉛 ZnS キラキラ光る 褐〜黒色塊状。亜鉛鉱石だが,微量のゲルマニウム,カドミウム,ガリウム,インジウムなどを含むこともあり,それらも精錬の際,亜鉛と一緒 に取り出され, それらの最も重要な鉱石である。 ・北海道豊羽鉱山産 |
ゲルマナイト germanite 成分:銅・鉄・ゲルマニウムの硫化物 Cu13Fe2Ge2S16 赤紫色を帯びた灰色塊状で鈍い金属光沢があり,やや硬くもろい。通常は顕微鏡的な大きさで産し,このような肉眼的な大きさのものはアフリカのツメブで産する程度である。砒四面銅鉱やガリウムの鉱物であるガライト(CuGaS2),閃亜鉛鉱,黄鉄鉱などを伴う。 ・ツメブ産 |
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硫銀ゲルマニウム鉱 argyrodite(Agoで示した部分) 成分:銀とゲルマニウムの硫化物 Ag8GeS6 金銀鉱石中に顕微鏡的な大きさでまれに見つかり,国内では鹿児島県串木野鉱山,北海道上国鉱山など数か所でわずかに産した。肉眼的な大きさのものはドイツ,ボリビアに知られ,ドイツ産のものは19世紀に新元素としてのゲルマニウムが発見されるきっかけとなった。 ・北海道上国鉱山産(偏光反射顕微鏡写真。菱マンガン鉱・閃亜鉛鉱を主とし,銀を伴う鉱石中に0.01mm程度の微粒子(反射色:帯紅灰色)をなし,濃紅銀鉱(反射色:青灰色)を伴う。硫銀ゲルマニウム鉱:Ago,濃紅銀鉱:Prg,閃亜鉛鉱:Sp,黄鉄鉱:Py,黄銅鉱:Cp) |
レニエル鉱 renierite 成分:銅と鉄とゲルマニウムなどの硫化物 Cu10(Zn,Cu)Fe4(Ge,As)2S16 亜鉛鉱石中に細かい粒子でまれに発見される。 ・コンゴ産(ガリウムの鉱物であるガライトを伴う。偏光反射顕微鏡写真:写真の左右0.48mm) |