【銀(ぎん)】(11族 元素記号:Ag)   [周期表へもど る]
 
<自 然界での産出>
 他の元素と化合していない単体(自然銀)がメキシコ,ボリビア,ペルー,カナダ,ノルウェー,ドイツ,チェコ,モロッコなどの大規模な銀鉱床で多産する。
 また,硫黄・アンチモン・セレンなどと化合した輝銀鉱(Ag2S), 輝安銀鉱((Ag,Cu)16Sb2S11),濃紅銀鉱(Ag3SbS3), ナウマン鉱(Ag2Se)などとしても多く産する。これらの銀の鉱物は顕微鏡的な大きさのことが多く,白い石英中に銀黒と呼ばれる黒っぽい微粒集合体をなすことも多い(下右写真)。この銀黒の鉱石中には金も一緒に含まれることが多く,金銀鉱石として採掘される。通常の金銀鉱石にはトン当たり,金が数〜20g,銀が約200〜300g程度含まれている。
 ほかには,亜鉛鉱石中に微 量成分としてトン当たり数10グラム程度含まれているものが副産物として回収されている。
<用途>
各種電気部品,写真用感光性材料,貨幣,宝飾品,高級食器などに多く使われている。

自然銀
自然銀   native silver
  
成分:単体の銀 Ag
 褐色板状の自然銅(単体の銅)上に銀白色の自然銀が付着している。自然界において,単体の銅に,銀の溶液が作用してイオン化傾向の小さい銀が析出したも のと考えられる。
・秋田県尾去沢鉱山産
自然銀
自然銀   native silver  
成分:単体の銀 Ag
 
銀鉱石の隙間にできたヒゲ状結晶。自然銀は等軸晶系だが,このような1方向に伸びたヒゲ状結晶をなすことがある。
 メキシコ,ボリビア,ペルー,カナダ,ノルウェー,ドイツ,チェコ,モロッコなどの大規模な銀鉱床では自然銀が初生鉱物として多産し,資源的に重要。
・ボリビア ポトシ産
輝銀鉱

輝銀鉱  argentite

成分:銀の硫化物 Ag2S
 鈍い金属光沢のある鉛灰色の小さな箔状,粒状などで産し,自然銀,濃紅銀鉱,輝安銀鉱などとともに重要な銀の鉱石鉱物である。
・兵庫県大身谷鉱山産


濃紅銀鉱

濃紅銀鉱  pyrargyrite
成分:銀とアンチモンの硫化物 Ag3SbS3
 透明感のある小さな濃赤色粒状,皮膜状などで産し,自然銀,輝銀鉱,輝安銀鉱などとともに重要な銀の鉱石鉱物である。
・ボリビア ポトシ産

銀鉱石

金銀鉱石 gold-silver ore
 多くは200〜250℃位の熱水から銀などが沈殿してできる。
 この鉱石では白い石英中の銀黒と呼ばれる黒い部分に金・銀が多く含まれている(輝銀鉱,輝安銀鉱,自然金などの微粒を含む。写真の金 色の粒は金ではなく黄銅鉱 )。
・兵庫県大身谷鉱山産