【鉛(なまり)】(14族 元素記号:Pb)     [周期表へもどる]
 
<自 然界での産出>
 自然界では硫黄と化合した方鉛鉱という鉱物で産することが多く,世界で採掘されて いる鉛鉱石の大部分は方鉛鉱である。方鉛鉱は亜鉛の主要鉱物である閃 亜鉛鉱と密接に共生して産することが多く,鉛と亜鉛は一緒に採掘されることが多い。
 その他の鉛の鉱物としては白鉛鉱,青鉛鉱等があるが,産出が少なく 鉱石としては利用されない。
<用途>
鉛は重り・放射線の遮へい材・蓄電池・ハンダ(スズとの合金)などに用いられている。また,光学機器のレンズは屈折率を高めるため,そのガラスに鉛が加えられている。なお,江戸時代以前の寛永通宝などの銅貨幣にも数〜20%程度含まれている。

方鉛鉱
方 鉛鉱   galena   成分:硫化鉛 PbS

 金属光沢の強い鉛灰色の塊状。さいころのような形に割れ,比重が極めて高く,持ち重りがする。
・秋田県太良鉱山産
ミメット鉱
ミメット鉱  mimetite   成分:鉛のヒ酸塩 Pb5(AsO4)3Cl
 方鉛鉱が低温の熱水や地下水の作用で分解してできる。黄〜白色の小さな6角柱状や皮膜状をなす。
・宮崎県見立鉱山産

白鉛鉱
白鉛鉱  cerussite 
成分:鉛の炭酸塩 PbCO3
 方鉛鉱が低温の熱水や地下水の作用で分解してできる。金剛光沢のある白い皮膜状や柱状をなす。
・兵庫県新井鉱山産
硫酸鉛鉱
硫酸鉛鉱  anglesite   成分:鉛の硫酸塩 PbSO4
 方鉛鉱が低温の熱水や地下水の作用で酸化分解してできる。金剛光沢のある白っぽい皮膜状や柱状のほか,方鉛鉱の周りを灰色層状で取り囲んで産する。白鉛 鉱に 似るが塩酸で発泡しない。
・兵庫県新井鉱山産