【ウラン】(3族 元素記号:U)    [周期表へもどる]
 
<自然界での産出>
 放射性元素。
 ウランを主成分とする鉱物は種類が多く,酸化物として閃ウラン鉱(UO2),リン酸塩としてリン灰ウラン石,バナジン酸塩として カルノー石(K2[(UO2)2VO42・ 3H2O),ケイ酸塩としてコフィン石(U(SiO4)1-X(OH)4X) などがある。資源的にも多種多様な鉱物が鉱石として利用される。これらの鉱物は熱水鉱脈,砂岩 やれき岩などのたい積岩,花こう岩に伴われるペグマタイトという岩石などから産出する。
 およそ100万年前より古い時代にできたウラン鉱石は,ウランから放射壊変で生成したラジウムポロニウムを微量に含むため,含まれるウランの量から推定されるよりもかなり強い放射能がある(ラジウムやポロニウムは半減期が短いので存在量が極めて少ない元素である)。
 なお,ウランより原子番号の大きい元素は超ウラン元素と呼ばれ,天然には全く存在 しないか,ほとんど存在しない
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※ウランは難溶性の+4価の状態(閃ウラン石,コフィン石など)で存在することもあるが,酸素に富む地表付近では多くが+6価で存在し,ウラニルイオン(UO22+)を形成することが多く,それは水溶性で,さまざまな鉱物(リン灰ウラン石・リン銅ウラン石など,黄・緑・橙色などの鮮やかな色のものが多い)として沈殿するため,ウラン鉱物は100種類を超える。一方,ウランと同じくアクチノイドでありながらトリウムは常に難溶性の+4価の状態で存在するため,それを主成分とするトリウム鉱物は種類数としては,ウラン鉱物よりもはるかに少ない。
<用途>
 原子力発電の燃料として用いられるが,それは質量数235のもので,天然のウランの中には0.7%しか存在しない。


閃ウラン石 uraninite
 
成分:ウランの 酸化物 UO2

 これは熱水鉱床から産出したもので,黒色集合体をなす(淡褐色〜赤褐色の部分はドロマイト)。これ以外に粒状などでペグマタイトなどから産出することも多い。
・ドイツ−チェコ国境のエルツ山脈産
燐灰ウラン鉱
リン灰ウラン石 autunite
 
成分:カルシウムとウランのリン酸塩
Ca(UO2)2(PO4)2・ 12H2O

 写真のような黄色の四角板状結晶のほか,皮膜状などとして産出。暗所で紫外線を当てると黄緑色に発光する。
・岡山県鏡野町上斎原村人形峠鉱山
写真上:通常光で撮影
写真下:暗所で紫外線を照射したもの。
リン銅ウラン石
リン銅ウラン石 torbernite
成分:銅とウランのリン酸塩
Cu(UO2)2(PO4)2・12H2O
 緑色の4角板状結晶や皮膜状などとして産出。リン灰ウラン石と結晶構造が同じで,そのカルシウムの代わりに銅を含んでいる鉱物。リン灰ウラン石とは異な り紫外線で発光しない。
・岡山県岡山市剣山産
人形石
人形石 ningyoite
成分:カルシウムとウランのリン酸塩
CaU(PO4)2・1〜2H2O
 リン灰ウラン石と成分が似ているが,ウランがウラニルイオン(UO22+/6価のウラン)を作らず,4価(U4 +)で存在しており,ウランのリン酸塩鉱物としては特異な鉱物である。わずかに緑味を帯びたすすのような黒色粉末状で,微細な黄鉄鉱,石膏な どと混ざって れき岩のすき間などに産する。紫外線で発光しない。最初の産出地のウランを採掘していた岡山県−鳥取県境の人形峠鉱山に因んで命名された。
・岡山県人形峠鉱山産