平成31年2月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。

提案理由説明に先立ち、豪雨災害への対応をはじめ、平成31年度における市政運営や予算編成につきまして基本的な考え方を述べさせていただき、皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

昨年の未曾有の大災害では、市内各地で被害があり、尊い命が失われ、多くの皆様が被災されました。発災から7か月半となりますが、現在も約9千人の方が自宅を離れ、市内外の仮設住宅等をはじめとした仮の住まいでの生活を余儀なくされています。市が年末から年始にかけて実施した住まいの再建に関するアンケートでは、再び真備地区での暮らしを予定・希望する方々が、回答者全体の83.1パーセントを占め、多くの皆様の地域への思いが表れる結果となりました。この思いをしっかりと受け止め、被災された皆様が一日も早く元の生活に戻っていただけるように努めるとともに、平成31年度を本市の復興元年と位置づけ、安心ときずなを育むまちづくりを進め、将来を見据えた本市の更なる地域活性化を目指してまいりたいと考えております。それでは、主な取組について、御説明いたします。

はじめに、このたびの豪雨災害でお亡くなりになられました方々に哀悼の意を表すとともに、災害を後世に伝え、被災経験を今後のまちづくりに活かしていくことを心に深く刻むため、発災から1年の節目となる7月に追悼式を行い、災害を後世に伝える碑を設置したいと考えております。
真備地区の復興につきましては、12月27日に真備地区復興ビジョンを公表し、2月8日には復興ビジョンをもとに具体的な取組や事業期間を示す真備地区復興計画の素案を公表しました。ビジョンや計画の策定においては、これまでに合計9回の復興懇談会を開催するとともに、7地区のまちづくり推進協議会の会長をはじめ、関係団体の代表や学識経験者等で構成される復興計画策定委員会も3回開催し、私自らも全てに参加して、住民の皆様から復興に向けた多くの御意見をいただきました。さらに1月には復興ビジョン説明会を2回開催し、御参加いただいた延べ約900人を超える住民の皆様の御意見を反映しながら復興の歩みが進められる計画となるよう努めてまいりました。今後は、市議会での御意見や現在募集しているパブリックコメントも踏まえて、3月末の計画策定を目指してまいります。

次に、真備地区での生活を希望する方にとって最も心配されている河川の改修状況につきましては、現在、真備緊急治水対策事業として、国においては、概ね5年での工事完成を目指した小田川合流点付替え事業を昨年10月末から着手しておりますが、本市としましては、事業完了までの間、国と連携して順次、小田川堤防の強化を行い、まちの安全性を高めてまいります。具体的には河道掘削で発生する大量の土砂を有効活用して、すでに拡幅している区間などを除き、堤防上部の幅を現在の5メートル程度から、7メートル程度へと広げ、法面の勾配も緩くして堤防拡幅を行います。これにより、緊急車両の通行や排水ポンプ車の作業スペース、緊急時の避難路としての機能も確保できるよう、国と事業区間や構造、進め方について調整を行っており、平成31年度から精力的に取り組んでまいりたいと考えております。さらに、小田川合流点付替えに伴い、新たに必要となる水江橋梁(りょう)(仮称)の設置を平成34年度の完成を目指して取り組んでまいります。また、県においては、末政川・高馬川・真谷川の堤防の本復旧工事を1月から進めているところですが、本市においても、大武谷川・背谷川・内山谷川にて今回の災害により小田川合流点から上流の川底に溜(た)まった土砂を取り除き、流下能力を高める工事を進めており、いずれも今年の梅雨時期までに完了します。また、高梁川についても緊急対策として、樹木伐開・河道掘削等を実施いただくように、国に強く要請してきたところ、整備計画を前倒して概ね3年間で実施されることとなりました。引き続き、国・県と連携して治水対策を進めてまいります。

被災された皆様への生活再建に向けた支援につきましては、被災により全半壊した家屋や事業所を所有者に代わって解体撤去する公費解体について、申請受付期間を3月29日までとしていましたが、自宅再建に向けての方針を決めかねている被災者の皆様に、このたび発表した堤防拡幅の治水対策も踏まえて検討を進めていただきたいとの思いもあり、6月28日まで延長することとしました。9月末までにはすべての解体を終えるよう順次取り組んでいるところです。また、申請受付番号によって工事手続の開始時期の目安が分かるよう、進捗状況を市のホームページに公開しております。また、年齢などにより通常の融資を受けることが困難な皆様のリバースモーゲージ型融資利用を支援する、被災高齢者向け住宅再建支援事業に取り組んでまいります。また、住宅の自力再建が困難な方のための災害公営住宅につきましては、真備地区内に約200戸を整備したいと考えており、平成32年度中に入居が可能となることを目指して測量設計や用地取得を進めてまいります。

被災者の見守り、心のケア等総合的な支援につきましては、倉敷市真備支え合いセンターが中心となって、これまで高齢者世帯や独居世帯をはじめとした約4,800世帯への訪問を行っており、引き続き、保健所や高齢者支援センター等との連携で、見守りや相談支援に取り組むこととしております。また、昨年12月から毎月10日頃と25日頃の2回、真備地区で被災された皆様に、各種被災者支援制度に関する情報や地域のイベント情報などを掲載した「まび復興だより」を郵送しており、「広報くらしき」「広報くらしき臨時号」と併せて、情報発信の充実に努めております。また、今後は、地域コミュニティの再生として地域集会所の災害復旧支援も進めてまいります。

次に、子ども達への支援の取組として、被災した幼稚園、小・中・高等学校の復旧につきましては平成31年度中の完成を、また、現在、仮設園舎にて保育を行っているまきびの里保育園も、同敷地内にて平成33年度中に園舎を建替えることとしております。さらに、被災した真備地区へのスクールバスの運行や交通費の助成を行う被災児童生徒通学支援事業も引き続き実施するほか、被災児童生徒の心のケアを行うスクールカウンセラー配置事業にも取り組んでまいります。

次に、産業の再興への取組につきましては、地域の主要産業である農業の再興を目指し、被災した農地や水路の復旧等に取り組むほか、農機具や農業用ハウス等の再購入・修繕に対する助成にも取り組んでまいります。また、被災中小企業の早期事業再開に向けた支援を実施するとともに、今月中にはマービーふれあいセンター駐車場内に復興商店街を整備する予定です。平成31年度からは、地域おこし協力隊も活用して産業復興を推進してまいります。

市全体の災害復旧の進捗状況としましては、道路・橋梁(りょう)災害が、905件中、865件が復旧済み、水路、ため池、揚排水機場、農地、林地等についても1,000件を超える被害のうち、約800件が復旧済みとなっております。また、現在も、全国各地からのボランティアの皆様や、様々な団体・企業・個人の皆様、そして、多くの自治体から職員の中長期派遣をしていただいており、御支援に心より感謝申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興への取組を進めてまいります。

次に、今年は4月1日に新元号が発表され、5月1日には、新天皇が御即位されることから、新しい時代の幕開けとなる年となります。本市におきましても引き続き、将来を見据えたまちづくりを目指してまいりたいと考えております。それでは、「子育てするなら倉敷でと言われるまち」「温(ぬく)もりあふれる健康長寿のまち」「安心と活力あふれる元気なまち」「世界に向けて発信するまち」「みらいに責任を果たすまち」の5つの政策に沿って、主に取り組む事業を御説明いたします。

第1に「子育てするなら倉敷でと言われるまち」の実現に向けてでございます。

平成31年度は、10月から幼児教育・保育の無償化が始まります。これに伴い保育需要が高まることが見込まれることから、引き続き待機児童対策にもしっかりと取り組んでまいります。平成30年4月1日の待機児童数は125人でしたが、平成30年度中において、小規模保育施設等の設置により25人の保育定員増を行っており、また、平成31年度につきましても、民間認定こども園を保育所及び幼稚園からの移行も含めて7園から11園に、小規模保育施設を12施設から15施設に、事業所内保育施設を10施設から12施設に拡大することにより、118人の増加を図ります。また、現在、新設又は増改築を計画している民間保育所、民間認定こども園の整備により、平成32年度中には、さらに260人の定員増を図ることとしています。また、様々な保育ニーズへの対応として、公立幼稚園では32園での3歳児保育実施に加えて預かり保育を20園から21園に拡大し、民間保育所及び認定こども園では延長保育を73園から75園に、一時預かり保育を21園から25園に拡大します。さらに、公立保育所等延長保育事業や1・2歳児を多く受入れる民間保育所等を支援する緊急入所対策事業、近隣自治体の施設が相互に利用できる病児・病後児等保育事業にも引き続き取り組んでまいります。また、保育士の確保が重要となることから、保育士の処遇改善の取組として、新たに民間保育所及び認定こども園に対して保育士1人あたり月額平均5,000円の給与加算を行ってまいります。さらに、保育士の負担軽減を図るため、現在、民間保育所に対して実施している、保育業務の補助を行う保育補助者や保育に係る周辺業務を行う保育支援者の配置に対する支援、保育士宿舎借上への支援について、民間認定こども園に対しても実施してまいります。また、高梁川流域圏域での就労希望者を対象とした保育実習体験や、離職防止に向けた研修会等も実施するなど、保育環境の向上に併せて保育士確保対策にも引き続き取り組んでまいります。加えて、放課後児童クラブにつきましては、クラブ室の新設3か所、小学校余裕教室の活用8か所の整備により、313人の受入児童数の増加を見込んでおり、子育てと仕事を両立することができる環境整備に引き続き努めてまいります。

次に、妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援の充実を目指して、新たに産婦の健康増進を図る産婦健康診査事業を実施するほか、助産所等での産後の保健指導等の支援を行う産後ケア事業については、産婦健康診査の期間が産後8週間以内となることから、利用者の利便性向上を図るため、利用期間を出産後1か月以内から4か月以内に延長します。また、倉敷、児島、玉島、水島、真備での子育て世代包括支援センター「妊婦・子育て相談ステーションすくすく」の運営や、市内18か所での地域子育て支援拠点事業の実施、地域の施設で子育て親子が交流する子育てサロンの推進や子育てカレッジの実施にも引き続き取り組んでまいります。また、子ども相談センターにおいて、新たに専門的知識を有する心理担当支援員を1人配置するとともに、児童相談専門員を6人から8人に増員します。さらに、子ども家庭総合支援拠点としての機能強化を図り、児童虐待通告の受付や相談・調査をはじめ、「妊婦・子育て相談ステーションすくすく」や、保健所、学校等との連携を強化するとともに、児童相談所や警察、医療機関などの関係機関とも連携を充実させ、児童虐待の未然防止等に努めてまいります。

次に、教育に関する取組についてですが、児童生徒の学力向上を目指し、非常勤講師等単市加配事業を拡大するほか、引き続き、非常勤講師を配置する少人数指導による「確かな学力」向上支援事業や、学習支援員を配置する学力向上支援事業、放課後学習サポート事業等に取り組んでまいります。また、教員の働き方改革の推進と教育体制の充実を図るため、新たに教師の事務作業等を補助する学校サポーターを小学校に16人、中学校に3人配置するほか、部活動における専門的な知識や技能を有する指導員の配置を増員します。また、障がいのある幼児や児童生徒を支援する生活支援員もさらに増員を行うほか、不登校対策のための非常勤講師や支援員、スクールカウンセラー等の配置も引き続き行います。また、市内5か所での不登校児童・生徒の学校復帰等への支援を行うふれあい教室や、生活困窮状態にある世帯の中学生に対して学習支援を行う学習教室「くらすぽ」を引き続き実施するほか、地域連携による学校支援事業の実施校を60校から66校へと拡大し、地域とのつながりを深め、子ども達を社会全体で支える環境づくりを進めてまいります。

次に、教育環境の充実につながる施設整備につきましては、老朽化した倉敷、倉敷北、玉島、船穂の4調理場を集約する倉敷中央学校給食共同調理場が竣(しゅん)工し、1日に最大12,000食を作れる最新の厨(ちゅう)房設備や専用のアレルギー調理室も備えております。さらに、見学スペースや展示コーナー、調理実習室も備えており、安心安全でおいしい給食を調理するだけでなく、倉敷市の学校給食の拠点施設と位置づけ、4月の稼働に向けた準備を進めてまいります。また、南中学校や東陽中学校の大規模増改築や、倉敷支援学校の大規模改修といった学校施設整備も3月末までに完了します。平成31年度は引き続き、茶屋町小学校屋内運動場・茶屋町東幼稚園園舎の合築工事や西阿知小学校校舎・西阿知幼稚園園舎の合築工事を進め、児童生徒数の増加に対応していくとともに、西中学校木造校舎保全のための大規模改修も進めてまいります。また、既に中学校全26校の普通教室で完了しているエアコン設置につきましては、小学校全63校の普通教室への設置を進めてまいります。また、開館以来の大改装工事を実施しているライフパーク倉敷科学センターのプラネタリウムにつきましては、世界最高水準の技術を導入し、3月27日にリニューアルオープンいたします。

第2に「温(ぬく)もりあふれる健康長寿のまち」の実現に向けてでございます。

まず、スポーツ・健康増進への取組についてですが、今年は、有城に整備を進めておりますグラウンドゴルフ場が完成します。芝4面を備えた倉敷市初の公認グラウンドゴルフ場であり、9月の供用開始を目指して準備を進めてまいります。また、水島緑地福田公園での体育館の耐震補強・大規模改修工事に加えてテニスコート整備工事も進めるほか、倉敷武道館の耐震補強にも取り組んでまいります。そして、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催まで、あと1年余りとなりました。本市では、1月に水球女子日本代表チームが事前キャンプを倉敷市屋内水泳センターで行い、練習の一般公開や子ども達への水球教室を実施しました。また、平成31年度にはウェイトリフティングニュージーランド代表や日本代表、水球の日本代表チームの事前キャンプも予定しています。本市で力を付けた選手がオリンピックで活躍されることを応援するとともに、市民の皆様との交流によるスポーツ機運の醸成を図ってまいります。また、昨年は豪雨災害の影響で中止となった倉敷国際トライアスロン大会も9月8日の開催を目指し、また、瀬戸内倉敷ツーデーマーチ等、スポーツ振興に取り組んでまいります。

また、健康意識の向上や健康行動の実践につなげるため、今月から、ウォーキングなどの健康行動への取組、健康増進イベント参加や健康診査受診等に対してポイントを付与し市内の協賛店で特典が受けられる健康ポイント事業をスタートしております。こうした取組の更なる充実を図ることで、市民の皆様の健康意識の向上を目指してまいります。また、高齢者の社会参加等を推進するための活動を支援するふれあいサロンも平成29年度末の223団体から294団体へと拡大を目指すとともに、新たに生活保護受給者の生活習慣病予防や重症化防止のための健康管理支援事業に取り組んでまいります。さらに認知症サポーター養成事業も充実させるなど、地域で安心して暮らし続けられる支えあいのまちづくりを進めてまいります。

次に、障がいのある方々が就労訓練を行う就労継続支援A型事業所の廃止を受けての取組についてでございます。平成30年度に引き続き、A型事業所の経営者等を対象に経営の基礎などを学ぶ経営支援塾を開催するとともに、経営改善を目的としたセミナーや専門家による経営診断・個別支援を行う事業も岡山県・岡山市と共同で実施します。また、地域における相談支援業務の中核的な役割を担う基幹相談支援センターの職員を2名増員し、相談支援専門員等に対する専門的な指導・助言を行うことにより、質の高い相談支援の実施を目指すことで、障がいのある方が住み慣れた地域で安心して生活できる環境づくりを進めてまいります。

第3に「安心と活力あふれる元気なまち」の実現に向けてでございます。

このたびの災害を受けて、4月より防災危機管理室内に防災推進課、危機管理課を新設し、市内全域における防災力向上を図るとともに、危機管理体制を強化してまいります。具体的には、引き続き自主防災組織の結成促進に取り組むほか、自主防災組織や防災士等と連携して、地域住民自らが作成する地区防災計画やマイタイムラインの作成を支援することにより、地域の防災意識と災害対応力の向上に努めてまいります。

雨量、土壌雨量指数、河川水位などのデータを自動的に取り込み、また、災害発生現場の写真等を災害対策本部と共有できるなど、災害の発生状況を速やかに集約できる機能を持ち、避難情報の発令が必要となる地域選定を支援し、いち早く住民に情報を発信できる「総合防災情報システム」の構築に取り組んでまいります。さらに、新たに真備地区をはじめとして、浸水区域内の避難所が多い地区について、浸水時緊急避難場所を確保し、その避難場所を記載した洪水・土砂災害ハザードマップを作成・配布することにより、地域防災力の向上に努めてまいります。

加えて、電波送信用中継局を整備するコミュニティFMラジオ難聴地域解消事業の実施や、大雨時に水田内に水を貯留させて下流域の内水被害を軽減させる「田んぼダム」の導入調査を行い、さらに、高梁川流域圏域の6消防本部においては、同一の消防通信指令システム運用に向けて調査・基本計画策定に取り組んでまいります。引き続き、住民、事業者、NPO、各種団体、行政などが相互に連携し、支えあいと協働によって災害に強いまちづくりを進めてまいります。

次に、公共施設の耐震化につきまして、小・中学校校舎では既に耐震化率100パーセントを達成し、幼稚園の耐震化にも取り組んでいるところですが、引き続き、公立認定こども園や体育・文化施設、本庁舎低層棟などの耐震化も進めてまいります。また、現在、現行法の基準に適合しない幼稚園・小学校・中学校・高等学校・支援学校や保育所・認定こども園・児童クラブのブロック塀の改修を実施しているところであり、子ども達の安全な環境確保に努めております。さらに、海岸耐震対策事業に取り組むこととし、市管理の漁港である勇崎・通生漁港海岸の耐震性能調査を実施してまいります。

産業力強化による地域経済活性化を目指す取組では、国際バルク戦略港湾に選定された水島港における大型穀物運搬船の入港等に対応するため、昨年1月から国際物流ターミナル整備事業が進められており、平成33年度の完成を予定するなど水島港の振興を図ってまいります。2月4日には、三菱自動車工業水島製作所において、主力車種「eKワゴン」の次期モデルである新型軽自動車の生産が開始され、また、玉島ハーバーアイランドにおいては、1月25日から岐阜プラスチック工業株式会社倉敷工場が操業を開始したほか、複数の企業の竣(しゅん)工が予定されるなど企業進出は堅調に続いております。今後も企業誘致の推進に取り組んでまいります。

また、中小企業へのきめ細やかな対応として、がんばる中小企業応援事業、高梁川流域企業連携型研究開発事業、新技術や研究開発の支援や地場産品の国内外への販路開拓支援、そして創業者支援や事業承継支援に取り組むほか、せんいのまち倉敷として、新たに、マイスター制度や技能研修の実施支援、全国の学生を対象にした産地交流イベント等によって繊維産業の技能向上と人材確保に取り組んでまいります。

農林水産業活性化の取組につきましては、意欲ある農業者に対して先進地であるオランダ等で研修を行う次世代施設園芸研修事業、ふなおワイナリーでの赤ワイン用新ブドウ品種開発事業、本市の特産品であるマスカット・オブ・アレキサンドリアの生産に携わる農業者への支援などを実施するほか、高梁川流域圏域の産地間の連携を図る取組において、農産物の生産・出荷状況等の実態調査といった新たな取組も進めてまいります。さらに、農業経営基盤の強化促進事業や、ほ場整備等を進めるほか、漁業についても漁港整備、漁場環境クリーンアップ事業、稚魚等放流・栽培漁業振興事業に引き続き取り組んでまいります。

また、4月1日には地域森林計画区内に存在する森林の経営管理が円滑に行われるような措置を講ずることを市町村の責務として定めた「森林経営管理法」が施行されることに伴い、対象森林を特定させるための調査等を実施してまいります。

次に、平成31年10月より、消費税の10パーセントへの引き上げが予定されています。国においては、景気対策として、キャッシュレス決済に対するポイント還元や次世代住宅ポイント制度の実施、また、主に食料品を対象とする軽減税率の適用も見込まれています。本市におきましても国の制度を活用して、消費税引き上げが低所得者や子育て世代の消費に与える影響を緩和するため、プレミアム付商品券を発行してまいります。

移住定住施策については、高梁川流域への移住を検討している方が利用するお試し住宅の利用者数につきまして、平成27年10月の開設から平成31年1月末までの累計で496人となっており、そのうち78人が倉敷市内に、21人が流域の他の市町へ移住しています。平成31年度は国のわくわく地方生活実現政策パッケージを活用して、新たに、東京23区在住・在勤者の方が移住により市内中小企業等へ就職する場合の支援を実施してまいります。

第4に「世界に向けて発信するまち」の実現に向けてでございます。

平成31年度は、東京オリンピック・パラリンピックを1年後に控える年であり、さらに、3年に一度の瀬戸内国際芸術祭が開催され、10月には、岡山市内でG20岡山保健大臣会合が開催されるなど、本市の魅力を国内外へ発信する絶好の機会となります。昨年5月、本市は、一輪の綿花から始まる倉敷物語に加え、新たに、北前船寄港地の繁栄の物語、そして、古代吉備の遺産と桃太郎の物語の2つが日本遺産に認定され、全国で初めて3つの日本遺産を有する日本遺産のまちとなりました。市と関係団体で構成する倉敷市日本遺産推進協議会では、市民の皆様の郷土への誇りと愛着の醸成、産業振興、観光振興の地域活性化を目指しております。この4月には、本市と在米日本大使館との共催事業として、ワシントンD.C.で毎年開催される「全米桜祭り」に併せ、一輪の綿花から始まる倉敷物語を踏まえた企画展を大使館で実施します。こうした機会をしっかりと活用し、国内外への本市の魅力発信に努めてまいります。

倉敷市を訪れる外国人観光客数につきましては、平成26年には25,219人であった宿泊者数が、平成28年には52,437人、さらに、平成29年には66,072人と増加しています。国内外からのお客様へのおもてなしを充実させるため、フリーWi-Fiやメニュー表多言語化等を整備する施設への支援、国際おもてなし講座の実施や国際おもてなしマイスターの育成に引き続き取り組んでまいります。また、豪雨災害の影響によって、観光客数の減少が継続しており、観光消費も落ち込んでいることから、風評被害を払拭し、減少した観光客数の増加や観光消費喚起を図るための宿泊クーポンを発行します。さらに、瀬戸内国際芸術祭に併せた宇野港と市内を結ぶ観光バスツアーの造成等、観光客誘致事業を拡大して実施します。更なる町並みの魅力向上につきましては、平成30年1月から長寿命化、バリアフリー化を目指して改修工事をしております倉敷館が、平成31年度中に完成となります。また、引き続き美観地区電線類地中化事業をはじめ、伝統的建造物群保存地区・伝統美観保存地区の修理修景に対する助成を実施してまいります。さらに、鷲羽山展望台周辺の園路等の改修、お茶と町並みで点(た)てる玉島の魅力創出事業、水島地域力発掘事業等によって、各地域の個性と魅力を高めてまいります。

第5に「みらいに責任を果たすまち」の実現に向けてでございます。

都市機能の充実・強化の取組についてでございますが、本市は高梁川流域連携中枢都市圏の連携中枢都市であることから、高次都市機能の集積強化を図り、地域経済をけん引する役割が求められています。さらに、昨年12月に活力ある地域社会を維持するための中心・拠点として東京圏への人口流出を抑止する機能発揮が期待される中枢中核都市にも選定されました。中枢中核都市には、交通インフラや住環境の向上、都市防災のリスク低減等に資する戦略的インフラの整備促進が求められています。このような中、倉敷駅南地区の活性化の核となる阿知3丁目東地区市街地再開発事業は、平成33年度の完成に向けて、今月1日、権利変換計画の認可申請を行いました。さらに、駅北地区では、都市機能の増進、住環境の改善、防災性の向上などを図る倉敷駅周辺第二土地区画整理事業が昨年、区域全体において仮換地の指定が完了し、本格的に工事着手しており、本市が進めるまちづくりは、着実に進んでおります。

このように中心市街地の都市機能の充実・強化をはじめ、市内各地区、流域各市町等への回遊を促進するためにも、JR山陽本線等倉敷駅付近連続立体交差事業の必要性は高まっており、早期の事業化が図られますよう引き続き取組を進めてまいります。また、市民生活の利便性向上を図るため、高梁川大橋の4車線化や、都市計画道路西阿知矢柄線、矢柄西田線、新田上富井線等の整備を進めてまいります。

そして、高梁川流域連携中枢都市圏は、平成27年の連携協約締結から5年目を迎えることとなります。これまで流域7市3町とともに、高梁川流域圏成長戦略ビジョンのもと、圏域全体の経済成長、高次都市機能の集積・強化、そして圏域全体の生活関連機能サービスの向上を目指した具体的な事業に取り組んでおり、平成31年度は64事業を実施する予定です。高梁川流域市町とのきずなを深め、ともに取組を進めてまいりたいと考えております。

また、環境にやさしいまちづくりの推進のため、電気自動車等導入費補助事業、認定エコハウス・太陽光発電等導入促進事業、中小企業への省エネ設備導入促進事業を引き続き実施してまいります。

協働のまちづくりの推進につきましては、市民の皆様と自由な意見交換を行う市民ふれあいトークを開催し、市民の皆様の御意見を直接伺い、ともに協働のまちづくりを進めてまいりたいと考えております。

行財政改革の推進につきましては、このたびの当初予算編成時点で、平成31年度末の臨時財政対策債や今回の災害分を除く特別会計・企業会計を含む全会計の市債残高につきましては、平成27年度末残高から約207億円の削減を見込んでおります。次に、行財政改革プラン2016でお示ししている、4年間で23億円超の行財政改革効果額の目標に対しまして、平成29年度までの2年間で約41億円の実績となっており、引き続き着実に取組を進めてまいります。また、民間の資金とノウハウを活用するPFI手法を用いて中央斎場の施設整備を進めるほか、公共施設の再編や老朽化への対応として、デザインビルド方式を活用した琴浦公民館の建替、倉敷北児童センターの移転新築と旧センターの西岡荘への転用や、白楽町ごみ焼却処理場等の解体・整備事業、道路ストック長寿命化事業などを実施してまいります。

平成31年度は、本市の将来を見据え、次期倉敷みらい創生戦略、次期高梁川流域圏成長戦略ビジョン、そして、本市の最上位計画である次期総合計画についても検討を進める年となります。災害からの復興、地方創生を目指すため、市議会の皆様、地域を支える市民の皆様と一緒になって、まちづくりを進めてまいりたいと思いますので、御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。