議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。
提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況につきまして御説明申し上げます。
未曾有の大災害となりました平成30年7月豪雨の発災から、明日で5か月となります。あらためまして、被災されました皆様に心よりお見舞い申し上げます。約9千人の方が仮設住宅で生活されている状況ですが、皆様が、生活再建に向けて一日も早く安心して落ち着いた生活を取り戻していただけるよう、復興に向けて全力で取り組んでいるところであり、現在の取組状況について御説明申し上げます。
このたびの大規模な浸水被害をもたらした河川の堤防決壊につきましては、管理する国・県に対して治水対策を早急に取り組んでもらうよう強く要望してまいりました。国においては、小田川合流点付け替え事業を当初計画から5年間前倒し、さらに、樹木伐開、河道掘削、堤防強化等を行う河川激甚災害対策特別緊急事業等を2023年度までに完了することとなりました。まずは、小田川の堤防の本格復旧工事に10月31日から着手しており、来年の梅雨時期までに完了する予定です。また、県においては、末政川、高馬川、真谷川の堤防のかさ上げや拡幅工事について来年1月から開始する予定と伺っており、今後5年間で集中的に実施される予定となっております。
また、高梁川水系では、上流に多くのダムがあり、豪雨の際には、河川に大きな影響を与えていると考えられることから、ダムと河川の総合的で適切な管理運営について、国に対して強く要望しております。
このたびの豪雨では、真備地区をはじめとして市内全域において道路や橋梁(りょう)などの公共土木施設に約900件の被害が発生しましたが、そのうち、約850件については既に復旧作業を完了しております。また、水路、ため池、揚排水機場、農地、林地等についても1,000件を超える被害が発生しましたが、うち、約500件については復旧作業を完了しております。
被災者の皆様への支援につきましては、これまでに被災者生活再建支援金、災害見舞金、災害義援金の支給を行っているところであり、特に災害義援金におきましては、全国からの大変多くの御支援によって、11月末までに総額68億7,706万円を、申請を受け付けた5,721件に対して第5次配分までをお渡しさせていただいております。
被災家屋等の解体・撤去を市が所有者に代わって行う公費解体につきましては、11月13日に作業を開始しております。11月末までに952件の申請があり、年内に約200件の工事に着手する予定としております。併せて、既に自費解体された方への費用償還につきましても、同じく367件の申請をいただいております。
また、住まい確保への取組として、借上型仮設住宅には11月末で3,016件の入居が決定しているほか、建設型仮設住宅は6団地266戸を整備しております。また、被災住宅の応急修理制度には、1,010件の申し込みがありました。市では、独自の制度として、被災した住宅補修等に伴う融資の利子補給を行っておりますが、さらに、今後、住宅の自力再建が困難な被災者のために、災害公営住宅の整備を検討してまいります。
また、被災者の皆様への暮らしの支援につきましては、発災後より、保健所にて、被災全戸を対象とした健康状態の確認等を進めるとともに、10月1日には、仮設住宅等に入居されている方々の見守りや、日常生活を送る上での相談支援などを行う活動の拠点として、「倉敷市真備支え合いセンター」を真備支所2階に開所しました。当初6名であったセンターの体制は、現在36名となり、これまでに高齢者世帯や独居世帯を中心に、約1,700世帯に対して訪問を行いました。今後とも、保健所や高齢者支援センター等と協力しながら、見守りや日常生活上の相談支援に取り組んでまいります。また、10月25日には、災害ボランティアセンターを中国職業能力開発大学校から、まびいきいきプラザに移転しました。これまでに全国から延べ63,000名を超えるボランティアの皆様に御支援いただいており、11月には1日あたり約150名の方にお越しいただいております。引き続き、多くの皆様に御協力をいただき、被災者に寄り添った支援に取り組んでいきたいと考えております。
そして、事業者の皆様への支援についてですが、中小企業等がグループを形成して取り組む共同事業において、施設・設備の復旧や整備を支援するグループ補助金については、これまでに計133事業者で構成する真備地区の2グループの復興事業計画が認定されています。また、小規模事業者が、商工会等の支援を受けて取り組む事業再建を支援する持続化補助金については、177件が採択されています。さらに、本市独自の支援として、市内中小企業向け緊急融資や、被災後も市内での事業継続に取り組む事業者への支援を行っています。
また、被災農業者の皆様に対して支援策の説明会をこれまでに10回開催し、約460名に参加いただきました。支援の取組につきましては、早期に営農を再開できるように、農機具や農業用ハウス等の修繕料や購入費用を助成する事業を進めており、これまでに市全体で700件を超える申請がありました。また、土壌診断費用や被災農業者が作業を委託する費用についての補助も行っています。今後、来年の水稲作付再開に向けて、農地・農業用用排水施設を順次復旧してまいります。
また、被災した真備地区の学校は、市内の他の学校園、高校、大学を借りて授業を行っておりましたが、10月からは、真備中学校、真備東中学校、川辺小学校、箭田小学校、真備陵南高校が、11月からはまきびの里保育園が、真備町内での仮設の校舎・園舎での授業・保育を再開したことにより、真備地区の学校園・保育園に在籍する全ての子ども達が、地区内での生活を送れることとなりました。被災した校舎等の完全復旧にはまだ時間がかかりますが、可能な限り早期に復旧を進めてまいります。
今後は、真備地区において住民の皆様が一日も早く落ち着いた生活を取り戻し、ふたたび真備町に戻っていただけるよう、将来にわたって安全・安心なまちづくりを進めるため、今年度中に真備地区復興計画を策定することとしており、まずは、12月末までに基本理念や主要な施策等をとりまとめた復興ビジョンをお示しする予定です。策定にあたっては、真備地区の住民の皆様の御意見を反映するため、11月3日から真備保健福祉会館において、真備町内の7つの地区ごとに復興懇談会を開催し、私も全て出席して多くの皆様の御意見をお伺いいたしました。また、11月21日には、地区内の関係者から幅広い御意見を伺うため、7地区のまちづくり推進協議会の会長、高齢者・障がい者・福祉・農業・商工業などの関係団体の代表や学識経験者など20人で構成される復興計画策定委員会を開催し、加えて、今月からは、住民の皆様への住まいの再建等の意向調査を行うこととしております。
防災対策として、今回の豪雨災害を踏まえて、災害対策本部の体制強化、国・県等の関係機関との連携強化、避難行動につながる情報伝達、避難所のあり方、物資・人的支援の受入体制の見直しなどの課題を検討し、地域防災計画の見直しを進めているところです。また、支援物資の受入れに苦慮したことを踏まえ、支援物資の搬入・仕分・配送を行う拠点となる防災用備蓄倉庫の整備を進めてまいります。まずは、平成31年度の組織改正において、本市における災害対応力の強化を図るため、防災危機管理室内に、防災訓練や広報啓発活動、自主防災組織や防災士の活動促進など、地域の防災力強化に取り組む防災推進課、また、地域防災計画・ハザードマップの見直しや、気象台をはじめとする関係機関と連携して危機管理体制を強化するための危機管理課を新たに設置することを考えております。
次に、障がいのある方々が就労訓練を行う就労継続支援A型事業所の廃止についてでございます。本市におきましては、事業所指導室に中小企業診断士を配置し、経営改善に向けた指導や経営者向けの経営支援塾を開催するなどして安定運営となるよう指導してきましたが、12月15日に「あじさいの花」の2つの事業所が廃止することとなったことは、誠に遺憾なことと考えております。離職せざるを得なくなった124名のうち、引き続き同様の福祉サービスを利用したいと希望している方については、新たなサービス提供先等を見つけることが事業者の責務ですので、当該法人に対し、廃止日までに一人でも多くの方の再就職先やサービス提供先を確保するよう指導するとともに、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、教育環境の充実への取組についてでございます。子ども達の安全な環境確保のため、現行法の基準に適合しない幼稚園・小学校・中学校・高等学校・支援学校や保育所・認定こども園・児童クラブのブロック塀の改修を実施してまいります。緊急性が高く既に改修を進めている箇所と併せて、総延長約12,600メートルのブロック塀の改修に取り組むこととしております。また、児童が安全安心に集中して学習に取り組める環境を整備するため、さらには今回、教室を避難所として使用することとなったことも考慮して、小学校の全63校の普通教室へのエアコン設置を進めることとしております。既に中学校全26校では設置が完了しておりますが、小学校における2020年度の運用を目指して取り組んでまいります。
次に、観光の取組についてでございますが、8月からの国や県の復興割の効果もあり、少しずつ客足が戻ってきておりますが、いまだ例年に届かない状態が続いております。そのため、主要旅行会社に対してトップセールスを行い、倉敷市の観光地の現状を説明し、全国から多くの観光客の方々にお越しいただけるようPRしているところです。また、災害の影響で運休していたJR西日本の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風」の山陽本線での運行と倉敷駅への乗り入れが10月20日に約3か月半ぶりに再開となり、11月24日には作家横溝正史ゆかりの真備地区を散策するイベント「1,000人の金田一耕助」を、全国の皆様からの温かい御支援や激励・応援のお言葉に支えられた地域の方々が、真備地区の復興を願って開催したところ、過去最高の参加者数となりました。今後も、多くの皆様に本市を訪れていただけるよう地域の個性と魅力を発信してまいりたいと思います。
また、去る9月のオリンピックウエイトリフティングニュージーランド代表の事前キャンプに続き、来年1月、水球日本女子代表チームが、2020年東京オリンピックに向けた事前キャンプを倉敷市屋内水泳センターで行うこととなり、キャンプ期間中には、練習の一般公開や子ども達への水球教室を予定しております。倉敷市で力を付けた選手がオリンピックで素晴らしい成績を挙げていただけることを応援するとともに、本市の地域活性化、魅力発信につなげてまいりたいと思います。
平成30年12月議会における所信表明