令和3年6月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。

はじめに、提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況につきまして御説明申し上げます。

まず、新型コロナウイルス感染症への対応状況についてですが、4月に入り第4波が全国的に広がる中、本市でも4月下旬以降に感染が急拡大し、5月1日からの1週間では、新規感染者数が243人、人口10万人当たりの新規感染者数が50.5人と、国のステージⅣの基準である25人の2倍と厳しい状況となりました。このような深刻な状況を受け、5月10日に岡山県市長会会長として知事に対して、医療提供体制などの抜本的な対策強化や、飲食店等及び大規模集客施設等に対する時短要請を、そして、国に対して、まん延防止等重点措置、緊急非常事態宣言の要請を行うよう申し入れ、5月12日には、倉敷市内の飲食店等に対する営業時間短縮の協力要請を速やかに実施していただきたい旨を申し入れました。その後、5月14日から市内の飲食店等に対する県独自の時短要請が行われることとなり、さらに5月16日からは、国による岡山県への緊急事態宣言が5月31日まで適用されることとなりました。その後、6月20日までの延長が決定しています。こうした決定を受け、倉敷市では、5月14日から公共施設の利用業務を原則休止とし、新規の施設利用、予約受付についても停止するとともに、様々な手段で、不要不急の外出自粛をお願いし、また、私をはじめ市職員が時短営業等の要請対象となる飲食店等を訪問しチラシ配布等による呼び掛けを行ったほか、県と連携し、市内2,763店舗の見回り及び協力要請や、岡山県時短要請協力金等の説明を行っています。また、売上げに大きな影響を受けている市内企業等の事業継続を支援するため、岡山県の協力金の対象とならない事業者に対する市独自の支援策として、今年1月から6月までのいずれかの月における売上げが、前年又は前々年の同月比で3割以上減少している法人に20万円、個人事業主に10万円を事業継続特別支援金として交付する事業費をこの度の補正予算案に計上しています。

事業者や市民の皆様にも大変厳しい対応をお願いした結果、現在は、新規感染者数は減少傾向となっておりますが、医療体制への影響は依然として大きいため、引き続き感染拡大防止への御協力をお願いします。

次に、ワクチン接種の状況ですが、5月17日から75歳以上の方、5月27日から65歳以上の方の接種を開始しました。さらに、1日でも早く多くの皆様が接種できるよう、くらしき健康福祉プラザを活用し、5月29日から集団接種を行っています。6月5日現在までの接種状況ですが、1回目を終えられた方が、約3万8,400人、2回目まで終えられた方が、約1,900人となっております。ワクチン接種に関しては、市内の約180の医療機関に御協力をいただきながら行っており、さらに、文部科学省からの要請も受けて川崎学園に2番目の集団接種会場を設置すべく調整を進めているところです。こうした取組により、接種枠の必要数を確保しており、65歳以上の方への接種については7月末までに概ねおおむね完了できるものと考えております。なお、集団接種会場や医療機関によっては、6月中の予約に空きもございますので、7月以降に1回目の予約を入れられている方に対しては、コールセンター等を通じて早期接種が可能となるよう、予約の変更をお願いしてまいります。

また、64歳から12歳までの方の接種券は、6月下旬から7月上旬にかけて順次、郵送していきたいと考えております。接種順位につきましては、国の示す基礎疾患を有する方、入所・居住系の高齢者施設等に従事する方に加えて、高齢者等の居宅・訪問系サービス等の従事者、保育士や教職員等を優先接種の対象とし、優先接種以外の方につきましては、予約殺到の混乱を避けるため、年齢層に分けて順次、予約を受け付け、接種していただくことを検討しております。

次に、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興状況について御説明いたします。

平成30年7月豪雨から、間もなく3年となります。この間、真備地区での復興の歩みは、住民の皆様のたゆまぬ努力と多くの皆様の御支援により、着実に進んできております。本市では、発災から3年となる7月6日に、マービーふれあいセンターにおいて、災害によりお亡くなりになられました方々を追悼するとともに、今後の復興への誓いを新たにするため、「平成30年7月豪雨災害 倉敷市追悼式」を執り行います。なお、コロナ禍での開催となるため、昨年に引き続き、規模を縮小して実施いたしますが、追悼式終了後当日は、献花台及び記帳台をマービーふれあいセンターに、翌7日は真備支所1階に設置することとしています。

次に、国による小田川合流点付替え事業については、現在、南山の掘削及び築堤工事を実施しております。また、柳井原貯水池の下流の締切堤防上の道路を橋梁に付け替えるための橋梁下部工が3月に完成し、現在、上部工に取り掛かっております。また、柳井原地区河川防災ステーション整備計画が令和3年3月18日に国に登録され、今後整備に着手いたします。

次に、国と市で連携して進めている小田川の堤防強化については、有井・川辺地区の北側の堤防拡幅工事が、6月末までに完了する予定であり、その他の区間の堤防拡幅工事についても、一部を除き、令和3年度内に全ての工事が完了する予定です。また、県管理の末政川・高馬川・真谷川については、引き続き堤防嵩上げ・強化等の工事を実施しており、末政川については、堤防嵩上げ及び有井橋架け替えにより陸閘の解消を図るための工事を4月1日より着手し、5月24日までに有井橋の撤去を行い、今後、おおむね2年間、全面通行止めとなります。市管理の大武谷川・背谷川・内山谷川については、堤防の嵩上げ工事が5月末に完了し、県管理の国道486号にある2箇所の陸閘については、6月中旬に解消される見込みです。次に、高梁川の川辺地区においては、国が引き続き堤防強化工事を実施しており、下原地区においても、令和3年4月上旬より堤防強化工事に着手し、両地区とも令和3年度末までに完了する予定です。国が防災・減災3か年緊急対策等で実施している河道掘削については、小田川、高梁川ともに今月中に完了する予定です。

次に、復興防災公園(仮称)については、令和5年度の整備完了に向けて、本年度から整備予定地の盛土工事及び、公園と建屋の設計を実施してまいります。また、本公園を拠点とした「小田川かわまちづくり計画」が、令和3年3月19日に国に登録されましたので、サイクリングロードによる水辺のネットワークを形成するなど、地域資源や魅力ある水辺空間の利活用を促進してまいります。

次に、公共施設の復旧状況についてですが、今月には真備地区最大の公共施設であるマービーふれあいセンターが、8月には真備柔剣道場が順次再開する予定です。また、仮設園舎で運営中のまきびの里保育園は、秋に新園舎が再開予定で、これにより、被災した公共施設は全て復旧いたします。特に、マービーふれあいセンターについては、6月28日から再開しますが、それに先立ち、6月24日に開館式典を実施します。また、6月26日には、施設の復興記念事業として、日本に囲碁を伝えた吉備真備公のゆかりの地である真備地区において、囲碁の7大タイトル戦の一つである第46期碁聖戦5番勝負の第1局を開催します。マービーふれあいセンターの再開により、真備地区復興への確かな歩みを、広く全国にも発信してまいりたいと考えております。

次に、仮設住宅については、平成30年12月に8,780人であった入居者は、令和3年5月末現在で704人まで減少しており、9割を超える方々が住まいの再建をされ、リバースモーゲージ型融資への申請も、136件となっています。また、応急仮設住宅については、供与期間が令和4年7月5日まで再延長されることとなり、現在、38世帯の延長が決定していますが、引き続き、県が延長を希望される世帯の確認を行っています。住宅の自力再建が困難な方のための災害公営住宅については、川辺、有井、箭田南団地の3団地91戸が3月15日までに完成し、入居が完了しました。抽選の結果、災害公営住宅に入居できない世帯に対しては、真備地区の民間賃貸住宅に災害公営住宅と同程度の家賃で入居できる制度により、これまでに14世帯の入居が決定しました。引き続き、関係機関と連携し、情報提供を行ってまいります。

次に、被災者生活再建支援金については、5月末現在で基礎支援金を5,433世帯、加算支援金を、4,459世帯が申請されています。被災者の見守りや心のケア等の支援については、倉敷市真備支え合いセンターが中心となって、5月末時点までで、延べ約43,400世帯への個別訪問を行い、仮設住宅にお住まいの方をはじめ、約700世帯に定期的な訪問を行っております。

次に、中小企業等の再興に向けては、グループ補助金や持続化補助金、緊急融資制度、事業継続奨励金などの取組によって、約9割の事業者の方が事業を再開されています。

本市では、真備地区復興計画に基づき、各取組を着実に進めております。今後も、被災された皆様が、一日も早く安定した生活を取り戻していただけますように、引き続き全力で復旧・復興に向けた取組を進めてまいります。

次に、防災・減災対策についてですが、今年は、例年より早く5月15日に中国地方が梅雨入りしました。今後の大雨等への備えとして、各地区の排水機場の改修やため池の改修、さらに水位監視システム設置などの対策を行ってまいります。また、災害対策基本法の一部改正により、5月20日から、災害の危険性が高まった場合などに発令する避難情報が変更されました。5段階の警戒レベルのうち、レベル3の「避難準備・高齢者等避難開始」が、「高齢者等避難」に、レベル4の「避難指示(緊急)」と「避難勧告」が、従来の避難勧告のタイミングで「避難指示」に、災害の発生などを確認したときに発令するレベル5が「災害発生情報」から「緊急安全確保」に変更となっています。特に、高齢者や障がいのある方は「高齢者等避難」で、それ以外の方は「避難指示」の発令で、指定避難所や安全の確保ができる場所への避難をお願いします。

さらに、豪雨などの気候変動の要因となっている温室効果ガスの排出削減対策にも積極的に取り組んでいくため、市民、事業者、民間団体の皆様等と連携・協力しながら、2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指し、「ゼロカーボンシティ」にチャレンジしてまいります。

次に、本年4月に公表した倉敷市庁舎等再編基本構想に基づく災害対策本部機能や消防本部機能等の強化に向けた防災危機管理センター棟の整備及び、公共施設総合管理計画に基づく施設の複合化を図る中央図書館を核とする公共施設棟の本庁舎敷地内への整備につきましては、基本計画策定等を行うための経費をこの度の補正予算案に計上しております。また、山陽ハイツ跡地への防災備蓄倉庫及び学校給食共同調理場につきましては、PFI方式による整備等事業者の公募開始に先立ち、事業内容や事業者の募集方法など市の実施方針を6月中に公表いたします。市民の憩える場の整備については、今後、幅広い世代の方々からの御意見を頂くためのアンケート等を実施するなど、実施方針案の策定に向けた取組を進めてまいります。

次に、待機児童対策についてですが、令和2年4月1日時点の待機児童数は、98人でしたが、民間保育所の増改築や小規模保育事業の創設などにより274人の定員増を行うとともに、宿舎借り上げ支援事業や保育体制強化事業などの保育士確保対策を実施し、さらにAIを活用した入所事務支援システムも用いて、より細やかな入所調整を実施した結果、今年4月1日の待機児童数は、39人となりました。今後も保育需要を勘案しながら、施設整備による定員増と保育士確保対策を待機児童対策の両輪として、計画的に待機児童の解消に向けて取り組んでまいります。

次に、令和元年6月から工事着手した阿知3丁目東地区市街地再開発事業についてですが、本年6月末には建物が完成し、7月27日には、街区内の市営駐車場がオープン、9月下旬には商業施設を含めたあちてらす倉敷全体がグランドオープンする予定となっております。施設内には、オープンカフェやイベント等が行える広場を官民一体で整備するほか、市民交流施設「あちてらすぽっと」を整備し、地域住民の交流や、倉敷を訪れる方々にも活用していただき、中心市街地の更なるにぎわいと活力創出につなげたいと考えております。

次に、7月23日からの東京2020オリンピック競技大会においては、本市出身の増田葵選手が日本代表に選出され、競泳女子800mリレーに出場されます。また、水球競技では、本市で毎年開催しております全日本ユース(U15)水球競技選手権大会「桃太郎カップ」出身の選手が主力メンバーとして出場される予定であり、いずれも、これまで積み重ねてこられた練習の成果を存分に発揮され、倉敷市民をはじめ全国の皆様に、元気と感動を届けていただきたいと思います。また、本市では、水球女子日本代表の事前キャンプが7月10日より7月21日まで、ウエイトリフティング競技のニュージーランド代表の事前キャンプが7月21日から28日までの日程で予定されています。キャンプ期間中は、国の受入れマニュアルに沿って感染対策を徹底し、万全の体制で行ってまいりたいと考えております。また、8月24日からの東京2020東京パラリンピック競技大会の開会に当たりましては、開催国である日本各地で採火された炎を一つに集めて聖火とすることから、倉敷市では、復興で応援いただいた全国の皆様との絆を大切にするため、8月16日に真備支所において太陽光を集めて採火を行う予定としております。