令和3年9月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申しあげます。

提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況につきまして御説明申し上げます。

まず、8月11日からの前線の影響により、西日本では記録的な豪雨となり、平成30年7月豪雨を超える雨が降った地域もあり、河川の氾濫や土砂崩れが相次ぎました。この大雨で亡くなられた方々の御冥福をお祈りしますとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。本市におきましても、8月13日に災害対策本部を立ち上げ、大雨への注意喚起の広報、危険箇所の見回り、水路の排水やポンプの稼働などを行い、避難所32か所を開設するとともに、土砂災害に対する高齢者等避難の発令を行いました。今回の大雨では、大きな被害はありませんでしたが、今後も浸水対策をはじめとして、災害への備えを進めてまいります。

また、10月31日に南海トラフ地震を想定した総合防災訓練を行う予定です。訓練会場での自主防災組織の避難所開設訓練などに加え、市民の皆様にもそれぞれの御家庭で家具の固定の点検や避難路の確認を行うなど、一人でも多くの方に主体的に取り組んでいただき、日頃の備えと防災意識の向上に努めていただきたいと思います。

次に、新型コロナウイルス感染症への対応状況についてですが、7月に入り感染力の強いデルタ株に由来するとみられる第5波が全国的に広がる中、本市でも7月下旬以降に感染が急拡大し、8月14日には、県の飲食店等及び大規模集客施設等に対する時短要請が出されました。その後も、感染は拡大し、8月12日からの1週間では、新規感染者数が492人、人口10万人当たりの新規感染者数がステージⅣの基準の4倍以上となる102.44人となりました。このような深刻な状況を受け、国による岡山県へのまん延防止等重点措置が、8月20日から、さらに8月27日からは、緊急事態宣言が9月12日まで適用されることとなりました。

こうした措置を受け倉敷市では、8月20日から公共施設の利用を原則休止とし、新規の施設利用、予約受付についても停止するとともに、不要不急の外出自粛をお願いしております。
 
また、本市の小・中・高等学校及び特別支援学校については、お盆休みの人流増加の影響を受ける夏休み明けの学校園での感染拡大防止を図るため、夏休みを延長し、2学期の授業開始を9月1日からとしました。合わせて、2学期に予定されている、運動会や修学旅行等の大勢が集う行事や校外での学習活動などは、原則延期または中止とし、授業については、可能な限り感染対策を行った上で、実施することとしております。

学校で児童生徒の新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応については、文部科学省のガイドラインを参考に、保健所と協議の上、学級閉鎖や学年閉鎖、学校全体の臨時休業などの判断基準を設けて対応を行ってまいります。また、児童生徒が感染した場合や、家族の感染によって濃厚接触者となった場合などに、出席停止となった児童生徒の家庭学習を支援することを目的として、授業の様子をストリーミング配信するために必要なウェブカメラとマイクを購入する経費を補正予算に計上しております。

今後も、学校園における、3密の回避やマスクの着用、教室の換気、手洗いなどの基本的な対策を徹底してまいります。

次に、感染拡大による影響を受けた市内事業者を対象に、市独自の支援策として実施している事業継続特別支援金制度の申請要件及び申請期限を一部変更します。本制度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を受けた市内の法人に20万円、個人事業主に10万円を交付するもので、今年6月より開始し、現在、約4,000件の申請を受けておりますが、第5波に伴う緊急事態宣言の発出を受けて、交付の要件となる売上高減少の対象月を9月まで延長し、申請の期限も11月30日まで延長することとしました。

第5波では、デルタ株の感染力が強いため、家庭内感染の割合が約6割と、これまで以上に多くなっており、子どもを含む若い世代への感染が拡大しています。本市としましては、改めて感染対策への意識を強く持って頂くため、JR倉敷駅2階通路及び市内歩道橋15箇所に啓発のための横断幕を8月27日に設置したほか、ホームページやSNS等、様々な情報媒体を通じて感染対策への御協力をお願いしてまいります。

次に、ワクチン接種の状況についてですが、これまで190以上の市内の医療機関の御協力に加え、市内2か所に集団接種会場を設置してワクチン接種を進めた結果、8月30日現在で、1回目を終えられた方が、約22万6,600人(52.2パーセント)、2回目まで終えられた方が、約18万7,700人(43.2パーセント)となっており、感染時のリスクの高い65歳以上の方では、1回目が89.1パーセント、2回目が86.8パーセントとなっています。

優先接種対象者を除く64歳以下の方につきましては、年齢層を分けて順次、予約を受け付けてまいりましたが、一昨日の8月30日から満12歳以上のすべての市民の予約受付を開始しました。感染・発症予防や重症化予防にはワクチンの接種が有効であり、本市でも、優先して接種を行った高齢者の感染・重症化が、大きく抑えられていることから、今後、一人でも多くの希望する皆様にワクチン接種をしていただくことが重要であると考えております。

このような状況の中、地域におけるワクチン接種の拠点として大学拠点接種に取り組む学校法人川崎学園と倉敷市との連携協力に関する協定に基づき、7月から川崎学園で、福祉・子育て・教育に従事する関係者などへの優先接種を進めてまいりました。さらに、進学や就職を控えた高校3年生と、市が取り組む「新型コロナウイルス対策取組宣言店」のうちで、不特定多数の人との接触機会が多い飲食店等の従業員のうち、希望する方を対象にワクチン接種を行ってまいります。なお、高校3年生へのワクチン接種につきましては、9月18日と25日で、合計800人分を予定しており、取組宣言店の方々については、9月6日から専用コールセンターでの受付を開始し、9月中旬以降に接種を行う予定です。

最後に、妊婦の方のワクチン接種についてですが、予防接種法上は、妊婦の接種は努力義務の対象となっていませんが、妊娠後期は感染による重症化リスクが高いとされていますので、まずは、かかりつけの病院等にご相談いただきますようお願いいたします。ワクチン接種を希望される妊婦の方については、岡山県の大規模接種会場でも受付けていますが、現在、市民病院をはじめ、市内で分娩までを行う医療機関と優先接種について協議を行っているところです。

今後も、こうした取り組みを通じて、感染防止と接種機会の提供に努めてまいります。

次に、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興状況について御説明いたします。

平成30年7月豪雨から3年となる7月6日、災害によりお亡くなりになられました方々を追悼するとともに、今後の復興への誓いを新たにするため、6月24日に再開したマービーふれあいセンターにおいて、「平成30年7月豪雨災害 倉敷市追悼式」を行いました。今年も、新型コロナウイルス感染症対策のため、規模を縮小して行うこととし、御遺族や住民代表など、約50人が参列しました。式典後、7月6日・7日の2日間にわたって、約500人の市民の皆様が会場を訪れ、追悼の記帳・献花をされました。

小田川及び支川における堤防強化等の工事についてですが、国による小田川合流点付替え事業については、現在、南山の掘削は山頂から約45メートル下までが完了し、掘削した法面を安定させるための工事を実施し、掘削土を有効活用した築堤工事も実施しています。柳井原貯水池下流の締切堤防上の道路を橋梁に付け替えるための橋梁下部工は3月に完成し、8月3日から上部工となる橋桁を架設しています。

次に、国と市で連携して進めている小田川の堤防強化については、有井・川辺地区の北側の堤防拡幅部分の工事が6月に完了し、その他の区間についても、一部を除き、令和3年度内に全ての工事が完了する予定です。県管理の末政川・高馬川・真谷川については、引き続き堤防嵩上げ・強化等の工事を実施しています。

次に、県は、末政川の陸閘の解消を図るため、4月1日から有井橋の架替工事に着手しており、9月末から河川に影響のない範囲で橋梁下部工に着手する予定です。また、県管理の国道486号にある2箇所の陸閘解消を図るため、防水擁壁を設置する工事は、6月に完了しています。

次に、国による高梁川の堤防強化の工事は、現在、川辺地区及び川辺橋を挟んだ下原地区において実施しており、両地区とも令和3年度末までに完了する予定です。

次に、国が実施している小田川・高梁川の河道掘削については、小田川では、全体で30万8千立方メートルの土砂撤去が6月に完了し、高梁川では、全体で約62万立方メートルのうち、57万8千立方メートルの土砂を撤去しております。

次に、復興防災公園(仮称)については、令和5年度の整備完了に向けて、8月から整備予定地の盛土工事に着手しており、10月から公園と建屋の設計を行う予定です。

次に、公共施設の復旧状況については、まず、真備地区最大の公共施設であるマービーふれあいセンターにおいて、6月24日に再開を記念した式典を開催し、全ての業務を再開しました。また、記念事業として、6月26日に「第46期碁聖戦第1局」を開催し、囲碁のまち・真備の復興の現状を全国に発信することができました。また、真備柔剣道場も8月に再開するとともに、現在、仮設園舎で運営中のまきびの里保育園も11月には新園舎が再開予定であり、これにより、被災した公共施設は全て復旧いたします。

次に、仮設住宅については、平成30年12月に8,780人であった入居者は、令和3年7月末現在で425人まで減少しており、約95パーセントの方々が住まいの再建をされています。仮設住宅の供与期間は、やむを得ない理由の場合は、令和4年7月5日まで再延長され、現在、70世帯の延長が決定しています。リバースモーゲージ型融資への申請については、受付期間が令和4年7月31日まで延長され、現在136件となっています。住宅の自力再建が困難な方のための災害公営住宅については、3月に完成し、4月末までに入居が完了しましたが、抽選の結果、災害公営住宅に入居できなかった世帯に対しては、真備地区の民間賃貸住宅に災害公営住宅と同程度の家賃で入居できる制度により、これまでに15世帯の入居が決定しております。

次に、被災者生活再建支援金については、7月末現在で基礎支援金を5,446世帯、加算支援金を4,529世帯が申請されています。被災者の見守りや心のケア等の支援については、倉敷市真備支え合いセンターが中心となって、7月末時点までで、延べ約44,400世帯への個別訪問を行い、現在も仮設住宅にお住まいの方をはじめ、約580世帯に定期的な訪問を行っています。

また、中小企業等の再興に向けては、グループ補助金や持続化補助金、緊急融資制度、事業継続奨励金などの取組によって、約9割の事業者の方が事業を再開されています。

次に、災害から3年を経て、被災者の生活再建の状況や課題などを把握し、復興に向けた今後の取組を検討するため、11月頃にアンケート調査等を実施する予定です。

次に、真備地区復興計画に基づく取組の進捗状況を説明し、御意見を伺う復興懇談会及び真備地区復興計画推進委員会を11月頃に開催し、住民の皆様等の御意見を反映しながら、必要に応じて取組の見直しを行っていきたいと考えております。

今後も、被災された皆様が、一日も早く安定した生活を取り戻していただけますように、引き続き全力で復旧・復興に向けた取組を進めてまいります。

次に、東京2020オリンピック競技大会が8月8日に閉幕しました。日本選手団が獲得したメダル数は58個と過去最多となりました。8月24日からは、東京2020パラリンピック競技大会が開催されておりますが、開催に先立ち市の採火式を8月16日に真備支所で開催しました。倉敷まきび支援学校、倉敷支援学校、真備地区の小学校6校の児童の皆さんがリレーで火を繋ぎ、採火された火は、復興に向けて応援をいただいた全国の皆様との絆を大切にするため、「真備復興への絆の火」と名付け、東京に送りました。コロナ禍で開催が1年延期されるという困難な状況の中で、倉敷市出身の6名をはじめとするアスリートの皆様が、精一杯競技に取り組む姿は、多くの人に感動と希望を届けてくれました。倉敷市では、これまでジュニア選手の育成・強化に取り組み、地元からオリンピアン・パラリンピアンが育ったことを誇りに思うとともに、今後も、スポーツを通じて市民の皆様の健康の保持・増進や体力の向上につなげてまいりたいと考えております。