令和3年11月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。

はじめに、10月4日に岸田文雄内閣総理大臣が就任されました。岸田首相は、所信表明演説において、新型コロナウイルス感染症への対応や、成長戦略と分配戦略を両輪とした新しい資本主義の実現、国民を守り抜く外交・安全保障などに重点的に取り組むと表明しました。10月11日には、全国市長会として、早速、官邸に赴き、新型コロナウイルス感染症への対応、経済の回復、防災・減災、国土強靱化に向けた対策等について、国と地方が一体となった取組を強力に進めていただきたい旨を首相に対して直接、要望をしたところです。

それでは、提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況について御説明申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症への対応状況について御説明いたします。現在は、第5波がほぼ収束し、市では11月25日から新規感染者数ゼロが続いています。市民の皆様の感染対策への取組や、ワクチン接種が進んできている効果が表れていると考えております。

そのワクチン接種の状況についてですが、11月末までに希望する全ての方に接種いただけるよう取り組んでまいりましたが、11月18日には、目標に掲げていた接種率80パーセントを上回り、11月29日現在で、1回目接種済の方が、36万5,203人(84.1パーセント)、2回目接種済の方が、35万4,820人(81.7パーセント)となっています。これも、これまでワクチン接種に御協力いただいております市内の医療機関の皆様や、市との連携協定に基づき大学拠点接種を実施いただきました川崎学園様、職域接種を実施いただきました企業の皆様をはじめとする関係者の皆様の御尽力の賜物であり、この場をお借りして感謝申し上げます。

次に、3回目の接種のスケジュールについて御説明いたします。接種対象者は、2回の接種が完了した方のうち18歳以上の全ての方で、接種時期は2回目接種から原則8か月以上経過後となります。まずは、今年4月30日までに2回の接種を終えた方に、11月17日に接種券を発送させていただきました。また、5月中に2回の接種を終えた方には、12月中旬以降に接種券を発送いたします。その後も同様に、1か月ごとに8か月を経過する月の前月に、接種券を発送する予定としております。なお、岡山県では接種券が到着した人から接種の予約、及びワクチン接種を可能とする方針となっていますので、本市においても同様の取扱いとしています。来年2月と3月は、接種対象者数がピークとなりますので、この時期に合わせて十分な接種体制を整えられるよう、市内医療機関との調整を進めてまいります。

本市では、新たに12歳になる方や何らかの事情でワクチン接種ができていない方への接種を医療機関で継続しています。これから年末年始に向かって人の移動も多くなり、また、アフリカ南部で確認された変異株であるオミクロン株は、ヨーロッパ等で感染が拡大し、11月28日に日本の国立感染症研究所により「懸念すべき変異株」に指定されたこともありますので、ワクチン未接種の方につきましては、改めて早急にワクチン接種の検討をお願いいたします。予約は、市のワクチン接種専用コールセンターや、スマートフォン・パソコンを利用して予約システムから可能です。

今後も感染拡大防止のために、ワクチン2回接種済の方も含めて、これまで同様に、マスク着用と手指消毒、換気の実施など、徹底した感染対策をお願いいたします。

また、感染拡大の第6波も見据えて、ウィズコロナにおける地域経済の活性化を目指すために、さらに安心して過ごせる地域づくりを推進してまいります。まず、観光誘客の要となり、経済波及効果の大きい宿泊施設や文化観光施設、観光バス事業者が行う、感染防止対策の更なる充実への取組や、ワーケーションの推進などコロナ禍におけるビジネスモデル多様化の取組等を支援する「安心して過ごせる観光地づくり推進事業」に取り組んでまいります。来年度は、瀬戸内国際芸術祭や岡山デスティネーションキャンペーン等が開催される予定であり、旅行業者等を対象に、新たな旅行商品化に向けたモニターツアーの実施や体験サービスの開発等を支援する「観光誘客推進事業」を進めてまいります。次に、国のワクチン・検査パッケージ制度の動向も踏まえ、ワクチン接種済証などを提示して宿泊した観光客を対象に、市内の飲食店・土産物店等で利用可能なクーポンを配布する「倉敷観光プレミアムクーポン事業」を実施し、観光関連事業者への支援にもつなげてまいります。また、飲食店については、国が決定した行動制限の緩和では第三者認証制度が活用される予定であることから、本市の新型コロナウイルス対策取組宣言店が、県の感染防止対策に係る第三者認証を取得した場合に奨励金を支給する「取組宣言飲食店応援事業」により支援してまいります。

また、コロナ禍で外食需要が停滞して、米販売農家が米価下落の影響を受けたことから、主食用米の販売農家(3反以上の作付けを行った個人及び法人)に対して、次期の作付用種苗費等の一部を支援してまいります。

次に、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興状況について御説明いたします。

まず、小田川合流点付替え事業は、現在、南山(みなみやま)の掘削は山頂から約50メートル下までが完了し、掘削した法(のり)面を安定させるための工事を実施し、掘削土を有効活用した築堤工事も実施しています。柳井原貯水池の下流の締切堤防上の道路を橋梁(りょう)に付け替えるための橋梁上部工は、橋桁の架設を実施しています。

次に、国と市で連携して進めている小田川の堤防強化については、有井・川辺地区北側など工事が完了した区間において、堤防道路を供用開始しており、その他の区間についても、一部を除き、令和3年度内に全て工事完了する予定です。県管理の末政川・高馬川・真谷川については、引き続き堤防嵩(かさ)上げ・強化等の工事を実施しています。

次に、県は、末政川の陸閘(りっこう)の解消を図るため、4月1日から有井橋の架け替え工事に着手しており、現在、橋台工や取付道路工などを実施しています。

次に、国による高梁川の堤防強化の工事は、高梁川の井原鉄道から川辺橋の区間においては、令和2年8月下旬より堤防強化工事を実施しており、川辺橋から上流の区間についても、令和3年4月上旬より堤防強化工事に着手し、両区間とも令和3年度末までに築堤や護岸工事が、令和4年度末までに堤防道路の舗装が完了する予定です。

次に、国が実施している小田川・高梁川の河道掘削については、小田川では、全体で30万8千立方メートルの土砂撤去が6月に完了し、高梁川では、全体で約62万立方メートルのうち57万8千立方メートルの土砂を撤去しております。

次に、復興防災公園(仮称)については、令和5年度の整備完了に向けて、8月から整備予定地の盛土工事に着手し、11月に公園と建屋の実施設計について、オオバ・隈研吾建築都市設計事務所設計共同体が委託業者に決定しました。今後は、住民の皆様の御意見を伺いながら検討を行い、災害時の防災拠点や一時避難場所の機能を有し、平常時には防災教育の場、川を感じて楽しんでいただける場、真備の魅力を発信できる場として活用できるように整備を進めてまいります。

次に、公共施設の復旧状況については、まきびの里保育園が11月に新園舎で再開したことにより、被災した公共施設の全25施設の復旧を完了しました。

次に、仮設住宅については、平成30年12月に8,780人であった入居者は、令和3年10月末現在で220人まで減少しており、97パーセント以上の方々が住まいの再建をされています。仮設住宅の供与期間は、令和4年7月5日まで再延長され、現在、79世帯の延長が決定しています。また、リバースモーゲージ型融資の申請については、現在136件となっており、災害公営住宅の代替として設けた、倉敷市被災者向け民間賃貸住宅家賃助成事業の活用により、現在、15世帯が入居されております。さらに、災害復興住宅融資の申請期限が令和4年8月末まで延長されます。

次に、被災者生活再建支援金については、10月末現在で基礎支援金を5,447世帯、加算支援金を4,590世帯が申請されています。被災者の見守りや心のケア等の支援については、倉敷市真備支え合いセンターが中心となって、10月末時点までで、延べ約45,200世帯への個別訪問を行い、現在も仮設住宅にお住まいの方をはじめ約250世帯に定期的な訪問を行っています。

また、中小企業等の再興に向けては、グループ補助金や持続化補助金、緊急融資制度、事業継続奨励金などの取組によって、約9割の事業者の方が事業を再開されています。

次に、真備地区の復興に向けて、令和3年3月に改定した真備地区復興計画の復旧・復興の取組状況を住民の皆様に御説明し、御意見をお伺いするために、令和3年度真備地区復興懇談会を11月7日の午前と午後の2回、マービーふれあいセンターで開催しました。主な御意見としましては、「河川工事(小田川、県河川)の進捗はどうなっているか」「河道掘削の完了後も計画的な維持管理をしてほしい」「復興防災公園の整備に、子育て世代や子どもたちの意見も取り入れてほしい」「真備の復興につながるイベント開催支援や情報発信をしてほしい」など、多くの御意見を頂きました。

また、令和3年度真備地区復興計画推進委員会を11月29日、真備支所で開催し、取組の進捗状況等を御説明し、今後の復興に向けた御意見を頂きました。

今後も、被災された皆様が、一日も早く安定した生活を取り戻していただけますように、引き続き全力で復興に向けた取組を進めてまいります。

次に、ガバメントクラウドへの取組についてですが、去る10月26日に、デジタル庁より先行事業実施団体として、本市が採択されました。この事業は、今年7月に、自治体の情報システムについて、共通的な基盤・機能を提供するクラウドサービスの利用環境の検証を目的として全国の自治体を対象に公募されたものです。本市は、高松市と松山市の3市共同で提案を行い、応募のあった52団体中、有益な提案のあった8団体11自治体の一つとして採択されました。先行事業自治体として、ガバメントクラウドの導入・利用に際して、全国の自治体にも安心して利用していただけるように検証や課題整理を行うとともに、本市の他の業務のガバメントクラウドへの移行も円滑に実施できるよう取り組んでまいります。

次に、企業誘致の取組についてですが、この度、日清製粉株式会社が、水島コンビナート内の児島塩生に新工場を建設することが発表されました。これは、岡山工場と坂出工場を集約して、物流コスト削減による競争力の強化を図るために移転を決定されたものと伺っており、これまでに本市が、国や県とともに進めてきた水島港における国際バルク戦略港湾の整備促進が評価されたものと考えております。引き続き、貨物船の大型化への対応など水島港の機能強化に努め、企業立地の促進、さらには水島コンビナート全体の競争力強化につなげてまいりたいと考えています。

次に、倉敷市では、倉敷市第七次総合計画及び第四次くらしきハーモニープランに基づき、その人らしさが尊重され、多様な価値観や生き方を認め合う社会の実現を目指すことを目的に、性的マイノリティに係るパートナーシップの宣誓手続について定める倉敷市パートナーシップ宣誓制度の運用を、明日、12月1日から開始することといたしました。この制度は、一方又は双方が性的マイノリティである2人が、互いを人生のパートナーとして、日常生活において相互に協力し合うことを約束した関係であることを、パートナーシップ宣誓書により宣誓し、本市がその宣誓書を受領したことを証明するものです。これにより、性的マイノリティの方を応援することはもとより、様々な多様性について、更に理解が深まるよう、啓発事業の実施なども行いながら、取り組んでまいります。

次に、本市は、不世出の棋士、大山康晴十五世名人の生誕の地でありますが、10月1日に、倉敷市出身で大山名人記念館の将棋教室などで腕を磨いてきた狩山幹生棋士が、四段に昇格され、大山名人以来81年ぶりに地元からプロ棋士が誕生しました。心よりお祝い申し上げます。また、11月20日及び21日には、第29期大山名人杯倉敷藤花戦(3番勝負)の第2局と第3局を倉敷市芸文館で開催し、大熱戦の末、里見香奈倉敷藤花が2勝1敗で加藤桃子清麗を下し、7期連続通算12期の就位となりました。また、11月25日及び26日に円通寺において開催される予定であった第34期竜王戦第5局は、藤井聡太三冠の4連勝により、幻となりましたが、11月25日には、藤井聡太新竜王を倉敷市にお迎えして、あちてらす倉敷において祝う会を開催し、翌26日には、大山名人記念館を訪問されました。このように、「将棋のまち倉敷」が、ますます熱くなっており、今後も将棋文化の発信に努めてまいります。