令和3年2月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。

はじめに、2月13日に、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生し、東北地方を中心に大きな被害となり、現在も余震が続いている状況であり、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。市としては、被害状況や必要な支援などについて、中核市市長会及び全国市長会と連携して状況確認を行い、現時点では応援要請はありませんが、今後も現地の必要に応じて支援を行ってまいります。

それでは、提案理由説明に先立ち、令和3年度の市政運営や予算編成につきまして基本的な考え方を述べさせていただき、皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症への対応状況について御説明いたします。全国の感染者数は、減少傾向にあるものの医療体制がひっ迫した状況が続いていることから、国による緊急事態宣言が、10の都府県において3月7日まで延長されました。倉敷市内においては、新規感染者が、12月に入って急激に増加し、12月は295人、1月は285人と大変厳しい状況が続きましたが、2月に入ってからは、市民の皆様の感染防止対策の御努力により、感染者がゼロ、もしくは2人以下の日が続いています。これまでの感染経路を見ますと、マスクを外す機会の多い、家庭内や会食での感染が、全体の50%を超えており、特に家族間で感染する事例が増えています。そのため、市民の皆様には、外出時だけでなく、家庭内でもマスクを着用していただくとともに、「3密の回避」、「手指消毒」、「こまめな換気と適度な湿度(40%以上)」など、日頃からの感染防止対策を徹底していただきますよう引き続きお願い申し上げます。

新型コロナウイルス感染症の収束に向けた大きな取組となるワクチン接種については、1月20日付で保健所保健課内に6人の職員で構成するワクチン接種対策班を設置し、接種体制の構築、接種券の発送、予約システムの整備等の準備を進めています。市内では県が中心となって進めている医療従事者等への接種の後、4月以降、65歳以上の高齢者から順次ワクチンの接種を行う予定です。3月1日には専用のコールセンターを設置し、市民の皆様からの問い合わせ等の対応を行っていくこととしています。現在も、国によるワクチンの供給時期や供給量などが不透明な状況にありますが、早期に市民の皆様に接種していただくためには、できるだけ多くの病院、診療所等で接種できるようになることが重要と考えますので、倉敷市連合医師会、岡山県病院協会倉敷支部などの関係機関と連携し、体制を整えてまいります。

一方、長引く新型コロナウイルス感染症の影響で、地域経済は引き続き大変厳しい状況にあります。本市としましては、この度の2月補正予算から令和3年度当初予算にかけて、切れ目ない取組を行うことで、地域経済の回復、さらには活性化に取り組んでまいりたいと考えております。

さて、倉敷市は、平成30年7月豪雨災害からの復興に全力で取り組んでおりますが、同時に、人口減少や地方創生などの中長期的な課題に向き合い、財政とのバランスを保ちながら、将来を見据えた施策にも着実に取り組んでいく必要があると考えております。そうした観点を踏まえ、私の公約である「災害からの復興とみらいに向かうまちづくり」に向け、持続可能な未来へ着実な歩みを進める取組を行ってまいりたいと考えています。それでは、公約に掲げた5つの政策「真備地区の復興推進と、災害に強いまちづくり」「子育てするなら倉敷でと言われるまちづくり」「温もりあふれる健康長寿のまちづくり」「個性と魅力ある文化と産業を育む活力あるまちづくり」「みらいに向かって持続可能なまちづくり」に沿って、令和3年度に取り組む主な事業や新規・拡充を図る事業等について御説明いたします。

第1に「真備地区の復興推進と、災害に強いまちづくり」の実現に向けてでございます。

平成30年7月豪雨災害により、今もなお、1,209人の方々が自宅を離れ、仮の住まいでの生活を余儀なくされています。これまでに、国・県・市の連携・協力による堤防強化などの治水対策については、目に見える形での安全度の向上が図られつつあり、被災した公共施設については、多くの施設で復旧が完了するなど、真備地区の復興は着実に進んでいます。被災された皆様が、一日も早く安定した生活を取り戻していただけるよう全力で取り組むとともに、この経験を倉敷市全体で共有し、防災・減災への備えを進めることで、災害に強いまちづくりを進めてまいります。

まず、真備地区の復旧・復興状況についてですが、小田川合流点付替え事業については、現在、南山(みなみやま)の掘削や柳井原貯水池掘削で発生した土砂や岩砕を有効活用した築堤や、柳井原貯水池の下流の締切堤防上の道路を橋梁(りょう)に付け替えるための橋梁下部工を実施しています。また、国と市で連携して進めている小田川の堤防強化については、有井・川辺地区では基盤漏水対策工事を令和3年3月までに完成予定です。服部地区・箭田(南側)地区では、令和3年3月までに、有井地区では、令和3年6月中旬までに堤防強化工事を完成予定です。川辺・箭田(北側)・尾崎・妹地区では、令和3年2月から堤防強化工事に着手予定です。県の管理する末政川・高馬川・真谷川については、引き続き堤防嵩(かさ)上げ・強化等の工事を実施しています。県は、末政川堤防嵩上げ及び有井橋架け替えにより陸閘(りっこう)の解消を図ることとしており、令和3年度より工事着手予定です。これに伴い、4月からおおむね2年間、川辺146号線が全面通行止めとなる予定で、1月17、18日に、県が地元説明会を行いました。なお、工事期間中の陸閘閉鎖作業については、県と施工業者が協力して実施します。また、市の管理する大武谷川・背谷川・内山谷川については、引き続き堤防嵩上げを実施するとともに、県が国道486号にある2か所の陸閘を解消する工事を実施しています。そして、高梁川の川辺地区においては、国が引き続き堤防強化工事を実施し、下原地区においても、令和3年春より堤防強化工事に着手し、両地区とも令和3年度末までに完了する予定です。また、高梁川においては、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」により、国が令和3年度以降の発注予定を前倒しして堤防強化や浸透対策などを実施します。施工予定箇所は、右岸堤防は玉島上成から船穂町までの護岸工事、左岸堤防は連島町鶴新田の高潮耐震工事と西之浦の護岸工事などと伺っています。そして、国による河道掘削については、小田川では全体で約19万6千立方メートルのうち、これまでに約16万7千立方メートルの土砂を撤去し、高梁川では、全体で約82万立方メートルのうち、これまでに約45万6千立方メートルの土砂を撤去しています。

次に、公共施設の復旧状況については、真備図書館は、1月30日に再開し、真備健康福祉館(まびいきいきプラザ)は、2月11日より本館での事業を再開しました。また、敷地内の仮設園舎で運営しているまきびの里保育園は、令和2年7月から本体工事に着手しており、令和3年秋頃に本園舎の完成を予定しています。

次に、仮設住宅については、平成30年12月に8,780人であった入居者は、令和3年1月末現在で1,209人まで減少しており、8割を超える方々が住まいの再建をされ、リバースモーゲージ型融資への申請も、121件となっています。応急修理については、昨年末までに1,033件全てが完了しました。また、応急仮設住宅の供与期間については、やむを得ない事情により、延長した供与期限までに住まいの再建が間に合わない世帯に対して、令和4年7月5日までの再延長を県が昨年末に公表しました。延長希望世帯には、県が順次可否を決定していきます。そして、住宅の自力再建が困難な方のための災害公営住宅については、今年度中の完成に向けて、川辺、有井、箭田南団地では内装及び外構を施工しています。1月30日、31日には、入居予定者に対する説明会を真備支所で開催し、入居に向けた手続きやスケジュールについて説明しました。また、抽選の結果、災害公営住宅に入居できない世帯に対しては、真備地区の民間賃貸住宅に災害公営住宅と同程度の家賃で入居できる新たな制度を設け、これまでに10世帯の入居が決定しました。引き続き、物件情報の提供を行ってまいります。

次に、被災者生活再建支援金については、1月末現在で基礎支援金を5,441世帯が申請され、加算支援金を4,361世帯が申請されています。被災者の見守りや心のケア等の支援については、倉敷市真備支え合いセンターが中心となって、1月末現在で、延べ約40,900世帯への個別訪問を行っています。

次に、中小企業等の再興に向けては、グループ補助金や緊急融資制度、持続化補助金、事業継続奨励金などの取組によって、約9割の事業者の方が事業を再開されています。復興商店街については、4事業者が、事業所の本復旧が完了したことなどにより既に退去し、残り1事業者についても2月末で退去予定です。3月末までには、仮設店舗を撤去、マービーふれあいセンター駐車場の舗装補修を行い、事業を完了いたします。

平成31年3月に策定、令和2年3月に改定した真備地区復興計画につきましては、事業の着実な推進を図っており、住民の皆様の御意見を反映しながら、毎年度、復興の段階に応じた取組の見直しを実施することとしております。現在、パブリックコメントを実施しており、3月末までに復興計画を改定し、引き続き、復旧・復興に向けた取組を進めてまいります。

次に、自然災害への防災・減災対策の推進については、浸水対策としての排水機場改修工事やため池改修事業のほか、地震への備えとして、建築物耐震改修等助成事業の補助率を2分の1から5分の4に、限度額を60万円から100万円に拡大するほか、大規模盛土造成地の現地調査や、倒壊などの恐れがある空家対策等を進めてまいります。

また、災害に強いまちづくりに向けては、本年度、真備地区において、本市初の地区防災計画が策定され、現在、市内26地区で策定に向けた取組が進められています。今後も地区防災計画の策定促進に向けて、オープンデータの活用による防災マップの作成支援を行うほか、小学生を対象とした防災教育の推進や、避難所運営研修の実施、自主防災組織の結成促進と活動の活性化に向けた取組等により、市民の皆様とともに防災・減災力の向上に努めてまいりたいと考えております。

第2に「子育てするなら倉敷でと言われるまちづくり」の実現に向けてでございます。

市長就任以来、一貫して取り組んでいる施策であり、安心して結婚・妊娠・出産ができ、仕事と子育ての両立ができる環境と、子どもたちが個性と能力を伸ばし健やかに成長できる環境の更なる充実を図ってまいります。

まず、妊娠・出産・子育て期にわたる切れ目のない支援に向けては、特定不妊治療への助成をはじめ、新たに、保険適用外の不育症検査に対する助成を行います。また、妊娠後は、倉敷、児島、玉島、水島、真備での子育て世代包括支援センター「妊婦・子育て相談ステーションすくすく」による支援、産後は、助産所等で保健指導等を行う産後ケア事業の利用期間を産後4か月から1年に拡充し、産婦の負担を軽減します。また、子育て期には、親子が気軽に集まって遊んだり交流したりできる市内19か所の地域子育て支援拠点による支援等を行います。さらに、結婚支援については、結婚相談所に、AIを活用した新たなマッチング支援システムを導入するなど、利用者の利便性の向上を図ってまいります。

次に、待機児童対策につきましては、令和2年4月1日現在の待機児童数は98人でしたが、令和3年度の保育所等定員につきましては、民間保育所の増改築3施設に加え、民間認定こども園2施設での定員増、小規模保育施設を4か所増やして20施設に、事業所内保育施設を1か所増やして14施設に、公立認定こども園への移行1施設により、274人の定員増加を見込んでいます。あわせて、様々な保育ニーズへの対応として、民間保育所等での延長保育や一時預かり保育の充実を引き続き図ってまいります。さらに、保育士の確保や保育サービスの向上に向け、市独自の保育士等の処遇改善や保育士宿舎借り上げ支援事業の継続的な実施や、保育士・保育所支援センターを中心とした高梁川流域圏域での保育士確保・離職防止に向けた研修等の実施のほか、保育士の負担軽減につながる保育補助者等の雇用に対する助成等を行ってまいります。また、放課後児童クラブにつきましては、令和2年度中のクラブ室の新設や小学校余裕教室の改修、民間施設の確保等により、457人の受入児童数の増加を見込んでいます。

次に、教育に関する取組につきましては、児童生徒の学力向上支援や、英語教育の強化、また、教育環境の整備を進めてまいります。学力向上に向けては、非常勤講師を配置して少人数指導を行う「確かな学力」向上支援事業や、学習支援員を配置する学力向上支援事業、放課後学習サポート事業等に取り組みます。また、令和2年度から小学校5・6年生において英語が教科となったことから、英語力向上を目的に、市独自に英語音読教材を導入し、個々の習熟度に応じた活用ができるように取り組んでまいります。また、防災教育の推進については、引き続き全ての小学校3年生と5年生において、市内同一のカリキュラムで学習に取り組み、防災意識の向上に努めます。また、様々な困難を抱える家庭の小学生等への巡回訪問による学習支援や、市内5か所の学習教室「くらすぽ」での中学生への学習支援を行うほか、地域連携による学校支援事業の実施校を71校から73校へと拡大し、子どもたちを社会全体で支える環境づくりに努めてまいります。さらに、教育環境の整備として、国が進めるGIGAスクール構想への対応では、義務教育段階の児童生徒及び、特別支援学校を含む高等学校の生徒への1人1台パソコンと高速大容量の通信ネットワークを整備し、授業等で活用を図ってまいります。また、小・中学校の外壁工事を7校、屋上防水工事を5校、トイレ洋式化改修工事を8校で実施し、計画的に教育環境の充実・改善を図ってまいります。また、高馬川の堤防拡幅に伴う箭田小学校プール移転にあわせて、天候や水温変化の影響が抑えられる上屋付きプールを整備することで、円滑な授業の実施や近隣小学校との共同利用を可能とします。加えて、児童の増加に対応するための取組としてデザインビルド方式による大高小学校給食調理場・校舎の合築による建設工事を進めてまいります。

このほか、生涯学習や人権教育の一環として、子どもの文化芸術等に触れあう機会を提供するいきいきパスポート事業では、これまでの土・日・祝日に加え、7、8月の平日も無料で施設を利用できるよう拡充するほか、新たに性的マイノリティの方への理解を促進するための映画上映会を開催します。

第3に「温もりあふれる健康長寿のまちづくり」の実現に向けてでございます。

市民一人ひとりが健康で元気に活躍する社会の実現を目指して、スポーツや社会・文化活動を通じて健康増進を図るとともに、医療や介護の充実により、誰もが人との関わりのなかで、生活を楽しめる健康長寿のまちづくりを進めてまいります。

まず、スポーツの推進につきましては、平成30年度から6か年計画で進めている水島緑地福田公園の再生整備事業では、人工芝のグラウンドや、グラウンドの外周園路の整備等を実施することとしています。今年の夏には、東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されており、市では、5月19日には聖火リレーが実施され、また、事前キャンプの受入も行う予定となっているほか、ニュージーランドのホストタウンとして、オリンピック・パラリンピック会場の近くに設置されるホストタウンハウスで本市のPRを行います。さらに、35歳以上の全国大会である日本スポーツマスターズ2021(ニーマルニ―イチ)岡山大会が9月に県内で開催されることとなっており、倉敷市では、水泳、バスケットボール、軟式野球、ボウリングの4種目を実施予定であり、生涯スポーツへの機運を高めてまいります。

次に、フレイル対策につきましては、高齢者の社会参加や介護予防等を推進するためのふれあいサロン活動を促進し、令和3年1月末の290団体から325団体へと拡大を目指すとともに、地域の関係団体間の連携や調整を行う生活支援コーディネーターの配置や、介護施設や子育て支援施設等でボランティア活動を推進する「いきいきポイント制度」の実施等により、高齢者の社会参加や健康増進につなげてまいります。また、認知症予防の推進につきましては、地域での見守り等を担う認知症サポーターや実践的な支援を行う認知症マイスターの養成に取り組むほか、医師や保健師等の専門職を配置し、早期に初期の認知症の方やその家族を支援する取組や、認知症の方等を地域で支援する取組などを行います。さらに、37か所目となる憩の家を倉敷中部圏域に整備してまいります。そして、健康診断の受診率につきましては、「倉敷けんしんガイド」の配布のほか、歯周病検診の受診啓発に併せて、翌年度に40歳になる市民にがん検診等の案内通知を送付することなどにより受診率向上を図ってまいります。

次に、障がい者等に対する支援につきましては、障がい者等への情報提供や障がい福祉サービスの利用等について、専門職員による相談支援を行うとともに、障がい者が自立した生活に必要な訓練等を行う地域活動支援センター等への支援のほか、障がい者支援施設の施設整備にかかる助成や、A型事業所の経営者等を対象とした経営支援塾の実施等により、就労場所の確保や定着支援を図ってまいります。

次に、医療・介護体制の充実についてでございますが、医療機関・医療従事者の皆様には、新型コロナウイルス感染症から市民の命を守るため、最前線で多大なる御尽力を賜っており、感謝申し上げます。まずは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、PCR検査のほか、倉敷市連合医師会などの関係機関と連携しつつ、ワクチン接種を実施してまいります。また、市民病院においては、入院・外来患者がコロナ感染症の影響により減少し、経営状況が厳しくなっておりますが、地域の中核病院として医療体制の強化に取り組んでまいります。さらに、特別養護老人ホーム等において新型コロナウイルス感染症予防対策として、多床室のプライバシー改修や災害への備えとして非常用自家発電設備、給水設備の整備等への助成を行います。また、老人福祉施設での介護人材を確保するための取組として、新たに介護職員用宿舎の整備助成や、介護ロボットやICT導入支援などにより介護従事者の負担軽減を図ってまいります。

第4に「個性と魅力ある文化と産業を育む活力あるまちづくり」の実現に向けてでございます。新型コロナウイルス感染症の拡大は世界経済を揺るがし、倉敷市においても大きな影響を及ぼしていますが、未来を見据え、受け継がれた自然・歴史、伝統や文化、町並みなどを、3つの日本遺産を活用しながら世界に向けて発信し、観光客誘致を推進するとともに、国内有数の地域産業の競争力強化に取り組んでまいります。また、コロナ禍において東京一極集中の脆弱性が取りあげられ、地方の優位性が再認識されている昨今の状況を踏まえ、機を逃すことなく、移住定住の推進や地元就職の促進にも着実に取り組んでまいります。

まず、コロナ禍における経済対策として、市内ものづくり産業の応援を目的に、スーパー、百貨店等での市内製造製品等の販売を支援する「買って応援!『made in くらしき』応援事業(第2弾)」、消費喚起イベントやキャンペーンを行う事業者や商工団体を支援する「立ち上がろう!『まち活』応援事業(第2弾)」、そして、市内5商工団体と連携し、「事業継続相談・『新しい生活様式』普及啓発事業」の一環として、取組宣言を行う事業者に対して感染症対策への支援を行ってまいります。なお、市内の感染症対策取組宣言店の食事券を前売りする「食べて応援!新型コロナウイルス対策取組宣言店応援事業」は、国の緊急事態宣言や感染状況等を踏まえて、現在、実施を見送っていますが、状況をみながら実施の検討を行ってまいります。

また、国のGoToキャンペーン等により徐々に回復傾向にあった市内の観光業では、12月28日からのGoToトラベル事業の全国一時停止や1月8日からの緊急事態宣言の影響により、1月の宿泊客数が再び前年比で半数以下に減少するなど、大変厳しい状況にあります。こうした状況から、「ぼっけぇお得な『倉敷みらい旅』事業」の第3弾を実施し、市民・市内就業者には40%、全国の方には35%の割引販売により、宿泊事業者への支援を行ってまいります。

次に、倉敷市の魅力を生かした観光客誘致の推進につきましては、アフターコロナを見据えて「アートのまち倉敷」をテーマとして市内の美術館やアートギャラリー等と協力して市内周遊観光の促進に取り組んでまいります。また、令和4年度には、JRの大型観光キャンペーンである「岡山デスティネーションキャンペーン(岡山DC)」が開催されることから、JR西日本や航空会社等と連携し、効果的な情報発信やプロモーションを行います。特に、JR西日本の社員を倉敷観光コンベンションビューローに「倉敷市 岡山DC・観光推進マネージャー」として派遣いただき、岡山DCや修学旅行誘致など観光誘客促進に強力に取り組んでまいります。

次に、地域産業の競争力強化を目指す取組では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、グローバル・サプライチェーン・リスクが明らかとなったことから、海外生産拠点等の国内回帰と国内での製造拠点化を促進する(仮称)国内投資促進奨励金制度を新たに創設いたします。また、大都市圏から地方への新たな人の流れを呼び込むため、通信回線使用料やシェアオフィス利用料をオフィス開設奨励金の対象として拡大し、サテライトオフィス開設やテレワークを活用する情報通信系企業等の誘致を推進してまいります。また、倉敷市や高梁川流域圏域の中小企業等への商品開発や国内外への販路開拓に対する支援のほか、将来の地域経済の担い手となる起業家支援の取組等により、新たな地域活力を創出してまいります。

農林水産業活性化の取組につきましては、令和2年度中にはじめて策定する農業振興ビジョンに掲げる基本目標の実現に向け、担い手の確保・育成、農地や農業用施設の保全など総合的・計画的に事業を推進し、持続可能で魅力ある農業の実現を目指します。また、ふなおワイナリーにおいて新ブドウ品種の開発と赤ワイン醸造に向けた研究を行うほか、高梁川流域圏域の農林水産物の販売促進に向け、PRイベント等を実施してまいります。

次に、移住定住施策につきましては、1月29日に総務省がまとめた令和2年の人口移動報告によると、東京では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による転入者の減少やテレワーク普及による都外への転出等が要因となり、転入超過人数が大幅に減少しました。こうした状況を踏まえ、転職に限らずテレワークを活用した県外からの移住者を本市に呼び込むための新たな助成制度を創設します。また、就職等で東京23区から移住した方への助成制度の対象者に、テレワークによる移住者も加えるほか、移動を伴わずに気軽に移住の検討ができるよう、オンラインでの移住相談会の充実を図るとともに、新たにオンライン移住ツアーを実施します。そのほか、企業の人材マッチングやインターンシップ支援による移住促進の取組やお試し住宅の運営等により、一層の移住促進に努めてまいります。

第5に「みらいに向かって持続可能なまちづくり」の実現に向けてでございます。

倉敷市は、昨年7月に、「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」に選定されました。今を生きる私たちの使命として、SDGsの目標年限である2030年、さらには、その先を見据え、環境にやさしく都市機能が充実した暮らしやすいまちをつくるとともに、高梁川流域圏域における官民連携を一層強化し、未来に向かって持続可能なまちづくりを進めてまいります。

まず、地球温暖化対策の推進につきましては、SDGsの観点や、気候変動の影響を踏まえ、恵み豊かな環境を未来に残すための施策として、住宅用太陽光発電システム設置費補助金については、300件から350件へ、リチウムイオン蓄電池設置費補助金については、200台から300台へ、自動車用普通充電設備設置助成については、5基から10基へ、それぞれ拡大したほか、認定エコハウスの普及や中小企業への省エネ設備等の導入に対する助成等を引き続き実施してまいります。また、街灯や学校屋内運動場照明のLED化を進め、市民や事業者の皆様とともに脱炭素社会の実現に向けた取組を推進してまいりたいと考えています。また、(仮称)倉敷西部クリーンセンターや(仮称)白楽町汚泥再生処理センター等の整備により、持続可能な循環型社会への取組に力を入れてまいります。

都市機能の充実・強化につきましては、幹線道路整備の推進として、都市計画道路である新田上富井線、西阿知矢柄線、矢柄西田線の整備を推進してまいります。また、コンパクトで持続可能なまちづくりに向けて、令和2年度中にはじめて倉敷市立地適正化計画を策定し、住宅や医療・福祉・商業等の今後の立地適正化を図ってまいります。本計画では、拠点や利便性の高い公共交通沿線に居住誘導区域を定め、安全・安心な居住環境の形成や住み替えの円滑化に向けた既存住宅の積極的な活用などを進めることとしており、空家等に居住していただくための改修費用の支援などを行ってまいります。また、都市機能が集積した魅力的な拠点を形成するため、主要な駅の周辺などに都市機能誘導区域を定めます。このうち市全域及び高梁川流域圏域の広域拠点となる倉敷駅周辺における主な取組としまして、倉敷駅周辺第二土地区画整理事業は、道路・水路等の公共施設整備や宅地造成工事を進め、完成した土地については順次引き渡しを行っております。また、倉敷駅南地区の活性化の核となる阿知3丁目東地区市街地再開発事業は、令和3年9月のグランドオープンに向けて建築工事が着実に進んでおります。このように、都市機能の集積強化に向け倉敷駅周辺整備を積極的に推進するとともに、JR山陽本線等倉敷駅付近連続立体交差事業につきましても、事業の推進に向け、事業主体である県や関係機関と引き続き、協議・検討を行ってまいります。さらに、新たな取組の一つとして、歴史的な町並みと都市景観の調和した本市の顔としてふさわしい景観を形成するため、JR倉敷駅南口から倉敷中央通りの市立美術館までを令和3年4月に景観形成重点地区に指定し、外観修景や屋外広告物の改修に対する費用の支援などを行ってまいります。

高梁川流域連携中枢都市圏における地方創生の取組につきましては、令和3年度は、64事業を実施し、新たな取組として、圏域内企業の異業種間の連携促進に向けた交流事業や、宿泊クーポン発行等による圏域への誘客を促進する取組のほか、結婚や子育てを機に離職した女性の再就職支援の取組や、圏域におけるSDGsの普及啓発・連携推進に向けた取組などを実施し、持続可能な流域暮らしの実現を圏域の中心市として積極的に進めてまいります。

行財政改革の推進につきましては、4年間で負債総額200億円以上の削減を目指し、将来世代への負担軽減につながる財政健全化への取組を進めてまいります。ふるさと納税では、インターネットを活用した寄附受付ポータルサイトをこれまでの1事業者から4事業者に拡大し、倉敷の魅力を広く発信するとともに、御寄附を考えられている方の選択手段を拡充することで寄付金額の増加につなげてまいります。また、国が進める自治体情報システムの標準化・共通化など行政手続きのデジタル化や、マイナンバーカードの普及促進に努めてまいります。さらに、民間活力の導入による中央斎場、新共同給食調理場、少年自然の家等の整備推進や、道路ストック・公園施設・農業用排水機場などの長寿命化対策に計画的に取り組むことにより、市民サービスの向上とともに財政負担の軽減・平準化を図ってまいります。

以上、令和3年度の取組や私の考え等について御説明いたしました。令和3年度は、本市の最上位計画である第七次総合計画のもと、次の10年に向けて新たなスタートを切る大きな節目の年となります。本市を取り巻く環境は、少子高齢化や人口減少への対応、平成30年7月豪雨災害からの復興や、感染防止と地域経済の回復の両立を図る新型コロナウイルス感染症対策、さらに、近年の異常気象に伴う豪雨災害や今後30年間での発生確率が70から80%とされている南海トラフ巨大地震への備えとしての防災・減災対策などの課題への対応も含め、大変重要な時期を迎えております。この度、市民の皆様からの思いを託されました市議会の皆様方や市民の皆様方とともに、倉敷市のより良い未来に向けて、持続可能なまちづくりを進めてまいりたいと考えておりますので、御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。