令和2年11月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。

はじめに、9月16日に菅義偉内閣総理大臣が就任され、新たな内閣が発足しました。菅内閣では、第203回臨時国会の所信表明演説において、新型コロナウイルス感染症への対応や行政のデジタル化の推進等によるデジタル社会の実現をはじめ、地方への新たな人の流れの創出などに重点的に取り組むこととされております。特に、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症への対応については、感染拡大防止と経済回復という難しい舵(かじ)取りが必要な状況にありますが、国と地方が力を合わせて、この難局を乗り越えてまいりたいと考えております。

それでは、提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況につきまして御説明申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症への対応状況について御説明いたします。11月に入り、全国の新規感染者数が8月のピーク時を上回るなど感染拡大傾向にあります。倉敷市内の感染者数は、11月24日までに52人の感染が確認されており、そのうち半数が11月に入ってからの確認となっています。現在、第3波と見られる重要な局面を迎えていることから、マスク着用や身体的距離の確保など「新しい生活様式」を引き続き実践していただくことに加え、感染リスクが高まる5つの場面である「飲酒を伴う懇親会等」「大人数や長時間におよぶ飲食」「マスクなしでの会話」「狭い空間での共同生活」「居場所の切り替わり」において十分な注意を払っていただくとともに、家庭内感染にも気を付けていただき、会食の時は、できるだけ会話をせずに静かに食べる、あるいは、会話する時はマスクを着用するなど、皆様には、感染リスクを下げる取組を行い、拡大防止に努めていただきますようお願いいたします。

一方、長引く新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい状況にある地域経済の活性化に向けては、9月に実施しましたスマートフォン決済を利用した方にポイントを還元する「お店を応援☆キャッシュレスでお得事業」の第2弾として、複数のキャッシュレス決済事業者の活用やポイント付与率のアップ、参加事業者の拡大などによるキャッシュレス決済の普及促進と、より一層の消費喚起を、また、「買って応援!『made in くらしき』応援事業」として、スーパー、百貨店等の大規模な小売店舗で市内製造製品等の販売支援を、「食べて応援!新型コロナウイルス対策取組宣言店応援事業」として、来年3月末まで4人以下での利用で30パーセント、4月から9月末までの利用で40パーセントのプレミアムを付与する新型コロナウイルス対策取組宣言店で利用できる食事券の前売りでの発行を、さらに、「立ち上がろう!『まち活』応援事業」として、商工関係団体や事業者グループ等が、販売促進を目的としてイベント等を行うことを応援するなど、特に影響を受けている飲食店などの市内事業者の売上回復を後押ししながら、感染拡大防止と地域経済活性化の両立を図ってまいります。

次に、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興状況について御説明いたします。

まず、小田川合流点付替え事業は、現在、南山(みなみやま)の掘削とその土砂を使用した柳井原貯水池内への築堤や、柳井原貯水池の下流の締切堤防上の道路を橋梁(りょう)に付け替えるための橋梁下部工を実施しています。また、国と市で連携して進めている小田川の堤防強化については、出水期明けの10月21日から右岸の有井・川辺地区で基盤漏水対策、服部地区で堤防強化を再開し、今年度末までに完了する予定です。左岸の有井地区では、10月21日から堤防強化工事に着手しています。川辺、箭田、尾崎、妹地区では、令和3年度以降の着手を前倒しして、今年度中に堤防強化工事に着手する予定です。県の管理する末政川・高馬川・真谷川については、引き続き堤防嵩(かさ)上げ・強化等の工事を実施しています。なお、県は、末政川堤防嵩上げ及び有井橋架け替えにより陸閘(りっこう)の解消を図ることとしており、令和3年度より工事着手し、4月からおおむね2年間、川辺146号線が全面通行止めとなる予定と聞いております。また、市が管理する大武谷川・背谷川・内山谷川では、堤防嵩上げの詳細設計を完了し、県が実施する陸閘解消工事と合わせて、今月から順次、工事に着手しています。そして、高梁川の川辺地区においては、引き続き堤防強化工事を実施し、令和3年度末までに完了する予定です。川辺橋上流の堤防強化工事については、今年度第4四半期の工事着手に向けて現在設計中です。また、国による河道掘削について、高梁川では、全体で約77万立方メートルのうち、これまでに約36万9千立方メートルの土砂を撤去しています。

次に、公共施設の復旧状況についてですが、真備図書館は、令和3年1月中に再開予定です。マービーふれあいセンターは、復旧工事完了後に備品搬入等の準備期間が必要となるため、令和3年6月中の再開予定となります。

次に、仮設住宅については、平成30年12月に8,780人であった入居者は、約1,500人まで減少しており、8割を超える方々が住まいの再建をされ、リバースモーゲージ型融資への申請も116件となっています。また、住宅の自力再建が困難な方のための災害公営住宅については、川辺団地では3階部分までの施工が完了し、1階部分の内装を施工しており、有井団地では3階部分を、箭田南団地では2階部分を施工しています。また、抽選の結果、災害公営住宅に入居できない67世帯に対して、真備地区の既存市営住宅を再度案内し、24世帯の入居が決定しました。入居が決まっていない方につきましては、真備地区の民間賃貸住宅に災害公営住宅と同程度の家賃で入居できる新たな制度を設け、9月より物件情報の提供を開始したところです。そして、応急仮設住宅の供与期間延長については、11月13日現在で773世帯から延長希望があり、724世帯で延長が決定され、その他の世帯についても県が順次可否を決定していきます。

次に、被災者生活再建支援金については、11月13日現在で基礎支援金を5,439世帯が申請され、加算支援金を4,276世帯が申請されています。被災者の見守りや心のケア等の支援については、倉敷市真備支え合いセンターが中心となって、11月13日現在で、延べ約38,900世帯への個別訪問を行っています。

次に、中小企業等の再興に向けては、グループ補助金や緊急融資制度、持続化補助金、事業継続奨励金などの取組によって、約9割の事業者の方が事業を再開されています。

また、10月31日、11月1日に、令和2年度真備地区復興懇談会を箭田小学校体育館で、11月10日には、令和2年度真備地区復興計画推進委員会を真備保健福祉会館で開催しました。今後も、復興懇談会や委員会で頂いた御意見を踏まえ、真備地区復興計画に基づく復旧・復興の取組を着実に進めてまいります。

次に、10月29日に倉敷アイビースクエアを主会場として、全国60の中核市の市長をはじめとする関係者約350人が一堂に会する「中核市サミット2020in倉敷」を開催しました。サミットでは、「災害から『生き抜く』ためのまちづくり」と「コロナに『打ち勝つ』観光文化のまちづくり」をテーマに議論を深め、その内容を「中核市サミット倉敷宣言」として全国に発信しました。本来であれば、平成30年に開催する予定でしたが、豪雨災害によりやむなく中止としたため、この度の開催となったもので、各中核市には、被災直後より、支援物資の提供や延べ3,800人を超える職員派遣など多大なる御支援を賜っており、倉敷市が力強く復興している現状を見ていただくことで、改めて感謝の想いを伝えることができたものと考えております。そして、開催にあたっては、マスク着用の徹底や入館時の検温・手指消毒をはじめ、分散受付や収容人数を定員の半分以下にして間隔を確保した座席の配置、飛沫(まつ)防止のための約300枚のアクリル仕切り板の活用など、徹底した新型コロナウイルス感染症対策を講じたことで、感染拡大防止と交流促進の両立を図る新たなコンベンションの形を内外に示すことができたものと考えております。

サミットに合わせて、倉敷市・高松市・松山市の瀬戸内3市による、県域を越えた中核市の自治体クラウドとして全国初の連携事例となる「自治体クラウドの推進に関する協定」を締結しました。これは、これまで各自治体で行っている情報システムの管理・運用を、外部のデータセンターでの共同利用に変更して、業務効率化や経費削減、災害時の業務継続等につなげるもので、このたび利用を予定する住民記録システムの調達仕様書は、平成30年度から中核市市長会で本市が事務局となって進めている「中核市における自治体クラウド実現に向けた研究会」において、業務の標準化に向けて全中核市で検討を重ねて作成し、国の標準仕様書の基となっているものです。今後、全国に先駆けた3市での導入を契機として、自治体システムの標準化が進展していくよう引き続き貢献してまいりたいと考えております。

次に、山陽ハイツについてでございますが、施設の老朽化が進む中で、これまで再整備に向けた調査や検討を行ってまいりました。その結果、施設を再整備する場合は、建て替えが必要となり、現施設と同様の規模で建て替える場合には約54億円、事業採算性の観点から施設規模を現状の3分の1に縮小してPFIで再整備した場合でも約35億円の整備費が必要なことから、再整備することは困難であるとの結論に至りました。今後は、跡地の活用方法について検討を行うため、この度の補正予算案において、アドバイザリー業務委託費を計上し、喫緊の課題である防災備蓄倉庫や学校給食共同調理場などの施設整備を含め検討してまいります。

また、倉敷市児島モーターボート競走場において、施設整備基本構想を策定しました。基本方針として、老朽化している既存スタンド棟のコンパクト化や駐車場など遊休スペースの有効活用、新規ファンの獲得や防災機能の導入などを掲げており、時代の変化や多様化するニーズに対応した拓(ひら)かれた施設整備に取り組んでまいりたいと考えています。

次に、倉敷市第七次総合計画についてでございますが、現在、倉敷市総合計画審議会において、策定に向けての協議・検討を進めていただいております。現在実施中のパブリックコメントの意見等も踏まえて、分かりやすい総合計画の策定に努め、また、この中には、人口減少対策や東京一極集中の是正を目指す第2期倉敷みらい創生戦略も組み込み、地方創生やSDGsの推進、自然災害への備えなど、持続可能なまちづくりに向けた取組を進めてまいります。

次に、10月27日に、国の文化の向上に関し特に功績を残された方に与えられる称号である文化功労者に、倉敷市在住の美術作家、高橋秀(しゅう)氏が選定されました。高橋氏は、長年にわたり国内外で活動され、絵画・版画・彫刻などの生命感あふれる大作を手がけられており、また、秀(しゅう)桜(おう)基金を設け、若手美術作家の活動を支援されるなど、本市の文化芸術の発展にも御尽力をいただいており、倉敷市文化章も受章されております。この度の選定を心よりお慶び申し上げますとともに、今後ますますの御活躍をお祈り申し上げます。

最後に、11月12日から、全国市長会の副会長を務めさせていただくこととなりました。全国市長会は、地方自治法に基づく地方六団体のひとつであり、国との協議や提言を行うなど、基礎自治体の円滑な行政運営に向け、重要な役割を担っております。現下の新型コロナウイルス感染症対策や自然災害への備え、地域の活性化をはじめ、喫緊の課題が山積しておりますので、倉敷市におけるこれまでの取組や経験をもとに、しっかりと現場の声を国に伝え、地方創生の実現に向けて精一杯努めてまいりたいと考えております。