令和2年9月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申しあげます。

はじめに、8月28日に安倍首相が辞任する意向を表明されました。内閣総理大臣として歴代最長期間在任されましたことに敬意を表しますとともに、今後の御健康をお祈り申し上げたいと存じます。倉敷市に対しては、特に、平成30年7月豪雨において、発災直後に真備地区を訪問して被災状況を確認され、復旧・復興に向けて政府一体となって取り組んでいただいておりますことに感謝いたしております。政策面でも、地方創生を重視され、地方を予算や制度の面から応援いただいており、今後もしっかりと取組を進めていきたいと考えております。

次に、令和2年7月豪雨では、熊本県の球磨川をはじめとした多くの河川の氾濫や土砂災害が発生しました。お亡くなりになられました皆様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました皆様に心よりお見舞い申し上げます。本市としましては、発災直後の7月5日に、熊本県人吉市に職員4人を派遣し、支援物資を搬送するとともに、被害状況の調査等を行い、引き続き保健師、栄養士などを派遣し、避難所等での健康管理や栄養指導を行いました。さらに7月28日からは、環境省からの要請に基づき、平成30年7月豪雨災害において災害廃棄物処理業務に従事した職員を熊本県に派遣し、被災自治体職員を対象に、公費解体の事務手続きに関する説明会等を実施したほか、8月26日から作業車両及び職員5人を熊本県八代市へ派遣し、現在も災害廃棄物撤去支援業務に従事しています。今後も、関係機関と連携を取りながら、必要な支援を行ってまいります。

それでは、提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況につきまして御説明申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症への対応状況について御説明いたします。倉敷市内の感染者数は、7月後半以降の県内の感染拡大に伴い増加し、これまでに21人の感染が確認されています。いずれも軽症ですが、10代から90代までの幅広い層で感染が確認されており、これまで以上に、一人ひとりの自覚を持った行動が大切ですので、市民の皆様には、引き続き「新しい生活様式」を実践していただきたいと思います。また、マスクを常時着用することから、熱中症対策も必要となりますので、周囲の人との距離を十分に確保できる場合には、適宜マスクを外すなど、感染症予防と熱中症予防の両立にも努めていただきたいと思います。

6月1日から再開した小・中学校の通常授業では、7月31日までの授業実施と8月25・26日からの授業開始、また、土曜授業日の設定や学校行事の縮減などの授業時数の確保に向けた取組により、1学期に計画されていた学習は、ほぼ終えることができました。

そして、長引く新型コロナウイルス感染症の影響から、市民生活や経済活動を支える取組が大変重要になっています。まず、国民一人当たり10万円を給付する「特別定額給付金」については、6月中旬までに対象世帯の約90%に給付しており、残りの未申請の世帯に対しましては、7月に再度、申請書類を送付するなど、給付漏れの防止に努めました。その結果、8月21日の申請期限までに、213,228件の申請があり、最終的な給付率は99.8%となる見込みです。また、国の特別定額給付金では対象外となる令和2年4月27日時点において妊娠中で、その日を超えて生まれたお子様に対し、市独自で一人当たり10万円を給付する「出産育児応援特別定額給付金給付事業」を実施し、これまでに1,040人分の給付を行っています。さらに、コロナ禍においても継続して保育業務等に従事し、地域社会を支えていただいた民間の保育所、幼稚園、認定こども園、放課後児童クラブ等の職員の方々に、市独自で1人5万円を上限として給付する「特別支援給付金給付事業」を実施し、8月末までに職員個人への給付を概ね終えたところです。

次に、市内事業者等に対しては、「事業継続支援金交付事業」「ふんばる事業者応援事業」に加え、本日から9月30日までの期間、「新しい生活様式」に取り組む市内の対象店舗においてスマートフォン決済を利用した方に最大20%のポイントを還元する「お店を応援☆キャッシュレスでお得事業」を推進し、本事業では25億円の消費効果を見込んでおります。併せて、安心して食事や買い物、宿泊していただけるよう、店舗等に対して感染症対策を実施するための対策チェックリストの配布や、対策をお客様に分かりやすく見える化する「取組宣言シート」の店頭表示についても、市内5商工団体と連携して進めております。

また、観光業では、4月、5月と約9割減となっていた宿泊客数は、7月には5割程度まで回復しましたが、現在もバス専用駐車場の利用はほとんどなく、団体旅行の需要の回復には時間がかかるものと考えています。倉敷市では、5月から、観光関連事業者がすぐに収入を得られるようにするため、お得な宿泊前売りプランの企画・販売を支援する「ぼっけぇお得な「倉敷みらい旅」事業」を実施し、販売期間中に延べ3千人以上の宿泊プランの販売につなげました。今回の補正予算案でも、観光客受入環境の充実等に取り組む宿泊事業者を支援する「安心して過ごせる観光地づくり推進事業」を計上しています。8月25日には、改装のため休館していた大原美術館が開館されており、本市の取組との相乗効果により、観光事業の活力を取り戻すきっかけになればと考えております。

次に、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興状況について御説明いたします。

未曽有の大災害から2年となる7月6日、災害によりお亡くなりになられました方々を追悼するとともに、今後の復興への誓いを新たにするため、真備支所において、「平成30年7月豪雨災害 倉敷市追悼式」を行いました。今年は、新型コロナウイルス感染症対策のため、規模を縮小して行うこととし、御遺族や住民代表など、51人が参列しました。式典後、7月6日・7日の2日間にわたって、約500人の市民の皆様が会場を訪れ、追悼の記帳・献花をされました。

また、平成30年9月14日に、天皇皇后両陛下(現在の上皇上皇后両陛下)が小田川堤防上において、河川の決壊状況や家屋の被災状況などを御視察されましたことを記念して、7月3日、真備町尾崎(宮田橋北東側の土手)に、行幸啓記念碑を設置しております。

次に、小田川合流点付替え事業は、現在、南山(みなみやま)の掘削とその土砂を使用した柳井原貯水池内への築堤などや、柳井原貯水池の下流の締切堤防上の道路を橋梁(りょう)に付け替えるための橋梁下部工を実施しています。また、国と市で連携して進めている小田川の堤防強化については、小田川右岸の下二万地区は6月に完了し、有井・川辺・服部地区では、今年度末までに完了する予定です。小田川左岸の有井地区では、10月中旬頃に堤防強化工事に着手します。また、高梁川の川辺地区においては、9月上旬から堤防強化工事に着手し、来年度末までに完了する予定です。次に、国による河道掘削については、高梁川では、全体で約47万立方メートルのうち、これまでに約30万2千立方メートルの土砂を撤去しています。また、市が管理する大武谷川・背谷川・内山谷川では、河川堤防の安全性向上を図るため、現在、堤防嵩(かさ)上げの詳細設計を実施しており、8月26日には地元説明会を市・県合同で開催し、11月頃より順次、工事を行ってまいります。また、堤防嵩上げ工事にあわせて、背谷川・内山谷川では、県が国道486号部分に防水擁壁を施工して陸閘(りっこう)を解消します。

次に、災害対策本部機能の強化を目的として、気象観測情報や被災状況、避難所の状況等の災害関連情報をリアルタイムに収集し、一元的に管理を行う、「倉敷市総合防災情報システム」の運用を8月1日より開始しました。本システムでは、避難情報の発令に必要な情報を常に監視し、避難情報の発令判断に活用します。また、システムの運用開始と同時に、市民の皆様がインターネットを通じて様々な情報収集に活用できる「倉敷防災ポータル」も開設しました。

次に、仮設住宅については、8月末現在で建設型仮設住宅102戸に208人が、借上型(みなし)仮設住宅732戸に1,759人が、仮の住まいでの生活を余儀なくされていますが、平成30年12月に8,780人であった入居者は、約2,000人まで減少しており、これまでに仮設住宅を退去された方のうち、約9割の方が真備に戻って住まいの再建をされています。本市が住宅金融支援機構とともに新たに設けたリバースモーゲージ型融資への申請も、現在までに113件となっています。

また、住宅の自力再建が困難な方のための災害公営住宅については、川辺地区では5月27日に、有井地区では6月23日に、箭田地区では8月5日に、それぞれ工事に着手しております。入居者については、申込みがあった160世帯を対象に6月23日に抽選会を開催し、84戸の入居者が決定しました。また、申込みがなかった住戸5戸と取下げの2戸については、二次募集を行い、全戸の入居者が決定しています。そして、抽選の結果、災害公営住宅及び真備地区の既存市営住宅に入居できない方には、代替として真備地区の民間賃貸住宅を活用して、災害公営住宅と同程度の家賃負担となるよう助成制度を設けています。8月にはアパートなどを運営する不動産業者等を対象に説明会を実施し、18事業者が参加しました。今後は、8月28日現在で入居対象となる67世帯に対して、9月中に物件情報の提供を開始する予定です。

また、応急仮設住宅の供与期間延長については、建設型及び借上型(みなし)仮設住宅にお住まいの方で、住宅再建に時間がかかるなど、やむを得ない事情を抱えている方については、最長1年間の供与期間の延長が認められることとなりました。8月13日現在で747世帯から延長希望があり、684世帯で延長が決定され、その他の世帯についても県が順次可否を決定していきます。

次に、被災者生活再建支援金(基礎支援金)については、7月末に県が申請期限を令和3年8月4日まで延長したところですが、8月末現在で5,437世帯、99%を超える世帯が申請されています。被災者の見守りや心のケア等の支援については、倉敷市真備支え合いセンターが中心となって、8月28日現在で、延べ約36,400世帯への個別訪問を行っています。

今後も、被災された皆様が、一日も早く安定した生活を取り戻していただけますように、引き続き全力で復旧・復興に向けた取組を進めてまいります。

次に、7月17日に、国が推進する「SDGs未来都市」に倉敷市が選定され、さらに、その中で特に先導的な取組を行う「自治体SDGsモデル事業」にも選定されました。このたびの選定は、全国に先駆けて高梁川流域7市3町で形成した連携中枢都市圏の取組や、平成30年7月豪雨災害の経験を市民と共有して進めている災害に強いまちづくり等の取組が、SDGsの達成に向け優れた取組として評価されたものと受け止めております。引き続き、SDGsの観点をもって地方創生の実現に取り組んでまいりたいと考えております。

次に、昭和45年に倉敷市や水島地区関係企業等の出資により設立された水島臨海鉄道株式会社が、今年で50周年を迎え、8月7日に記念式典が開催されました。「ピーポー」の愛称で親しまれる水島臨海鉄道は、昭和、平成、令和へと時代が移り変わるなか、現在も年間旅客数184万人、年間貨物輸送量38万トンの西日本唯一の旅客輸送と貨物輸送を行う臨海鉄道として、今日の本市の発展に重要な役割を担っています。これからも市民の暮らしと地域の産業を支える公共交通機関として、本市の発展の一翼を担っていただきたいと思います。

最後に、8月27日、三菱自動車工業で16年の長きに渡り経営トップとして御活躍された前会長の益子修様が急逝されました。益子様は、水島製作所における、世界初の量産電気自動車「ⅰ-MⅰEV」の生産、日産とのアライアンスによる軽自動車生産、RVRの岡崎工場からの生産移管、このたび発表された新型軽EVの生産決定及び大型投資等をはじめ、平成30年7月豪雨災害や、今回のコロナ禍においても、いつも倉敷市の状況を気にかけてくださり、大きな御支援をいただきました。心から御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。