議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。
はじめに、今年も全国各地で風水害が発生しており、特に、10月に関東地方・東北地方等に記録的な大雨をもたらした台風第19号では、多くの河川で堤防が決壊するなど、広い範囲で甚大な被害が発生しました。被災されました皆様に、心よりお見舞い申し上げます。本市としましては、発災翌日から、昨年の災害時に応援いただいた長野市、相馬市、南相馬市に対して、職員が支援物資を搬送するとともに、引き続き現地で避難所運営の支援等を行いました。その後も、常陸大宮市に家屋被害認定調査、いわき市、郡山市、越谷市、川越市などに災害ボランティアセンター運営支援等のために職員を派遣しています。また、ボランティア不足が課題となっていた、いわき市へは、11月21日から24日まで,及び11月28日から12月1日までの2回、倉敷市社会福祉協議会と共同でボランティアバスを運行し、計42名の方々が被災した家屋の片づけや土砂撤去作業等に従事しました。今後も、関係機関と連携を取りながら、必要な支援を行ってまいります。
それでは、提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況につきまして御説明申し上げます。
はじめに、昨日、宮内庁にて、真備地区内の全小学校(6校)の児童が地域の方々と田植え・稲刈りを行った今年の新米を、上皇上皇后両陛下に献上してまいりました。これは、昨年9月に天皇皇后両陛下が真備地区を御訪問いただきました際に、被災者の生活再建とともに、農業の復興についても大変御心配をいただきましたことから、今年度、農業者の方々の御努力により、浸水から復旧し、およそ9割の水田で水稲の作付・収穫を行うことができた復興状況を両陛下に御報告したいと、私より宮内庁に申し入れ、特別にお取りはからいいただいたものです。お受け取りいただいた河相(かわい)上皇侍従長には、併せて、河川の復旧状況や、現在も多くの被災者の方々が仮設住宅に居住されている現状等についても御説明してまいりました。説明内容については、献上したお米とともに両陛下にお伝えをいただけるとのことでした。今後も両陛下にも御安心いただけますよう、復興に向けて進んでまいりたいとの思いを新たにいたしました。
平成30年7月豪雨から、1年5か月になります。今なお、真備地区では、約4,800人の方々が自宅を離れ、市内外の仮の住まいでの生活を余儀なくされています。被災された皆様が、一日も早く安心して落ち着いた生活を取り戻していただけるよう、復旧・復興に向けた取組を進めております。
まず、国と市との連携・協力のもと、概ね令和3年度までの完成を目指して進めている小田川の堤防強化等については、現在、国と市で地区毎に工事概要等の説明会を実施したところであり、現地においては、順次、用地調査・補償等の作業に入るとともに、用地の取得が不要な箇所については、9月から既に工事に着手しております。具体的には、矢形橋から二万橋までの右岸側において、堤防拡幅工事に先立ち、基盤漏水対策を行うため、9月下旬より準備工事を始め、10月中旬より護岸工と矢板工による本格的な工事に着手しています。服部地区の右岸側においては、築堤盛土工などの堤防拡幅を実施するため、9月下旬より準備工事を始め、10月中旬より本格的な堤防強化工事に着手しています。
なお、県管理河川の末政川・高馬川・真谷川については、令和5年度までに堤防強化を行うこととしており、現在は、権利者等との用地補償の手続を行っており、今後、工事が可能となった箇所から着手していくと聞いております。
また、小田川の河道掘削については、全体で約19万6千立方メートルのうち、これまでに下流付近において、約12万7千立方メートルの土砂が撤去されています。高梁川についても、全体で約47万立方メートルのうち、約6万2千立方メートルの土砂が撤去されており、酒津地区についても、今月から樹木伐開・河道掘削等に着手すると聞いております。
次に、真備地区内の学校園の復旧状況と授業再開につきましては、全ての学校園において、年内には校園舎本体の復旧工事を完了し、川辺小学校については、3学期の始業式である令和2年1月8日から、川辺幼稚園は2月12日から、箭田幼稚園と箭田小学校は2月18日から、真備中学校は3月2日から、元の校園舎での授業を再開します。また、真備地区内の公共施設の復旧状況につきましては、公民館及び分館の復旧が11月までに全て完了しました。真備健康福祉館につきましては、10月23日から、敷地内の仮設プレハブで業務の一部を再開しています。
次に、仮設住宅につきましては、現在も建設型仮設住宅175戸に405人が、借上型(みなし)仮設住宅1,720戸に4,355人が、仮の住まいでの生活を余儀なくされていますが、平成30年12月に8,780人であった仮設住宅の入居者数は、4,760人まで減少しており、これまでに仮設住宅を退去された方のうち、約9割の方が真備に戻って住まいの再建をされています。一方で、住宅再建に時間がかかるなど、再建に向けてやむを得ない事情を抱えている方もおられるため、市は県に対して仮設住宅の入居期限の延長を要請しているところです。また、年齢などにより通常の融資を受けることが困難な方が活用しやすくなるものとして、本市が住宅金融支援機構とともに新たに設けたリバースモーゲージ型融資への申請は、現在までに74件となっています。
次に、安定した住まいの確保に向けて、住宅の自力再建が困難な方のための災害公営住宅につきましては、建物の屋上などを地区の浸水時緊急避難場所として利用することも考慮し、一定規模以上の大きさを持つ建物として、市営川辺団地敷地内に整備する40戸に加え、新たに有井地区の旧雇用促進住宅西側店舗跡地に約20戸、箭田地区の吉備真備駅北側にある高齢者施設西側に約30戸の計約90戸を整備してまいります。川辺地区につきましては、9月30日に事業者を選定し、本議会において事業契約の締結について御審議いただく予定です。有井・箭田地区につきましては、現在、事業者を公募しているところであり、3地区とも令和2年度末までの事業完了を予定しております。
被災された方の生活再建に向けた支援についてですが、公費解体は、11月末現在までの1,460件の申請に対して、1,356件まで発注を進めています。また、被災者生活再建支援金(基礎支援金)につきましては、11月末現在で5,411世帯から申請があったほか、倉敷市真備支え合いセンターが中心となり、被災者の見守りや心のケア等の支援を行い、11月末現在で、延べ約23,400世帯への個別訪問を行っています。
中小企業等の再興に向けてのグループ補助金の申請・交付決定につきましては、これまでに計318事業者が構成員である9グループの復興事業計画が認定され、そのうち206事業者に対して補助金の交付決定が行われています。また、小規模事業者が、商工会等の支援を受けて取り組む事業再建を支援する持続化補助金や、本市独自の支援として、市内中小企業向け緊急融資や、グループ補助金又は持続化補助金を活用して事業継続に取り組む事業者への事業継続奨励金などの取組によって、10月末時点で8割を超える事業者の方が事業を再開されています。
次に、10月26日、27日に、令和元年度真備地区復興懇談会を開催し、真備地区復興計画の復旧・復興の取組状況を住民の皆様に御説明し、御意見をお伺いするとともに、11月11日には、復興計画に基づく事業を着実に推進するため、真備地区復興計画推進委員会を設置し、第1回の委員会を開催しました。今後、委員会等でいただいた御意見を踏まえて、真備地区復興計画の改定案を作成し、年度内に改定・公表してまいります。
次に、真備地区復興計画に掲げた、地域資源の魅力をのばすまちづくりへの取組として、10月13日に、「まび竹林音楽祭」を2年ぶりに開催しました。地域の実行委員会と市、そして今回は文化庁等も関わり、日本遺産のストーリーを構成する文化財である箭田大塚古墳をライトアップした舞台でのコンサートによって魅力発信を行いました。さらに、11月23日には、横溝正史ゆかりの地、真備を金田一耕助などの登場人物に扮(ふん)して散策する「1000人の金田一耕助」を開催し、全国から多くの方々が訪れ、交流を深めたところです。引き続き、豊かな自然・歴史・文化を発信して、復興につなげてまいります。
次に、教育環境の充実についてでございます。倉敷市教育委員会では、来年度から市立小学校における2学期の開始時期を早め、8月下旬に新たに5日間の授業日を設けることといたしました。授業日数を増やすことで、ゆとりある教育課程の編成が実現し、児童に対するよりきめ細やかな指導が可能になると考えております。また、このたびの補正予算案におきましては、昨今の気象状況を踏まえ、公立幼稚園の遊戯室へのエアコン設置費を計上しており、来年の夏には、全ての公立幼稚園で、全園児が集まって涼しい環境で昼食がとれるようにしたいと考えております。また、老朽化が進んでいる大高小学校の給食調理場・校舎の整備に向けた調査に要する経費を計上しており、給食調理場の調理環境の改善や、児童数増加に伴う教室不足への対応、運動場面積の拡大などにつながる施設の整備について検討してまいりたいと考えております。
次に、中心市街地の都市機能の充実・強化についてでございます。倉敷駅南の活性化の核となる阿知3丁目東地区市街地再開発事業は、令和3年度の完成を目指し、9月に建築工事に着手したほか、倉敷駅北西に隣接する倉敷駅周辺第二土地区画整理事業についても、昨年度より建物調査、建物移転、道路改良等を順次行っており、このたび、事業の進捗に伴う事業費の追加分を計上しております。こうしたなか、駅周辺の一体的な発展、高梁川流域の広域拠点としての機能強化等を図る上でも、JR山陽本線等倉敷駅付近連続立体交差事業の必要性はさらに高まっており、直近では、11月18日に開催した地元選出県議会議員との市政懇談会においても、連続立体交差事業の早期実現を強く要望したところです。現在進めている土地区画整理事業は、連続立体交差事業を前提としていることから、引き続き、岡山県等と協議を重ねながら、早期事業化の実現に向けて取組を進めてまいります。
最後に、本市の最上位計画である第六次総合計画が令和3年3月をもって期間が満了することから、次の10年間を見据えた倉敷市第七次総合計画を策定するため、11月22日に第1回倉敷市総合計画審議会を開催しました。併せて、「教育・子育て」「文化・産業」「生活環境・防災・都市基盤」「保健・医療・福祉」「SDGs・市民協働・コミュニティ・行財政」の5つの分科会を設置し、今後の検討の進め方等について意見交換を行いました。新たな総合計画は、令和2年度末までに策定したいと考えており、審議会・分科会等を通じて議論を重ねてまいります。
令和元年12月議会における所信表明