令和2年2月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。

まず、令和2年度諸議案の提案理由説明に先立ち、最近の倉敷市を取り巻く状況について御説明し、そして、今議会は、私にとりまして今任期最後の市議会となりますので、この間の取組も含めて御挨拶を申し上げさせていただきたいと存じます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症についてですが、日本においても感染者が増加しています。倉敷市では、1月31日に倉敷市新型コロナウイルス感染症対策本部を、2月7日には保健所内に「帰国者・接触者相談センター」を設置し、24時間体制で受診についての相談を受け付け、感染の疑いがある場合には、専門の「帰国者・接触者外来」を紹介する体制を整備しています。2月17日には、国から新型コロナウイルスについての相談や受診の目安も公表されており、市では、医療現場での感染を防ぎ、今後も市民の皆様に安心して医療機関を受診していただくため、市内の約570の医療機関にマスク10万枚及び手指消毒用アルコールを配布しました。今後も、市民の皆様に、手洗いと咳(せき)エチケットの徹底など啓発を行い、感染予防に努めてまいります。感染拡大により、インバウンドが減少し、観光関連事業者に影響が生じていることや、製造業等のサプライチェーンへの影響を踏まえて、国では、中小企業の資金繰りについて、セーフティネット4号等の迅速な発動に向けた調査を開始し、また、国内での生産体制強化に向けた設備投資や販路開拓支援、雇用調整助成金の支給要件の緩和等の施策も示されています。このため、市では、市内中小企業や小規模事業者向けの相談窓口を、本日2月19日から開設することといたしました。今後も関係機関と連携し、対応に努めてまいります。

平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興状況について御説明いたします。まず、国・県・市の連携・協力により、小田川及び末政川・高馬川・真谷川において、小田川合流点付替え事業や堤防強化・嵩(かさ)上げ等の重点的な堤防整備を行うとともに、国が高梁川及び小田川の河道掘削等を実施しています。

小田川合流点付替え事業は、本年1月23日から南山(みなみやま)掘削工事に本格的に着手し、また、今後、柳井原貯水池下流の締切堤防を撤去するため、堤防上の市道の付替え道路として整備する橋梁(りょう)の下部工に着手しています。国と市で連携して進めている小田川の堤防強化については、昨年10月中旬から、有井・川辺地区では、矢形橋から二万橋までの右岸側において堤防拡幅工事に先立つ基盤漏水対策工事に着手し、服部地区でも堤防強化工事に着手しています。また、県が管理する末政川・高馬川・真谷川については、現在、下流部分の堤防嵩上げ・強化等の工事に着手しています。

国による河道掘削については、小田川では全体で約19万6千立方メートルのうち、これまでに下流付近において、約14万8千立方メートルの土砂を撤去し、高梁川では、全体で約47万立方メートルのうち、これまでに約8万9千立方メートルの土砂を撤去し、昨年12月からは酒津地区の河道掘削に着手しています。

市が管理する大武谷川・背谷川・内山谷川では、安全性向上を図るため、現在、堤防嵩上げの測量及び詳細設計を実施しており、令和2年度から工事を行ってまいります。

次に、真備地区内の学校園の授業再開につきましては、川辺小学校が1月8日の3学期始業式から、川辺幼稚園は2月12日から、箭田小学校と箭田幼稚園は2月18日から再開しており、今後、真備中学校が3月2日から再開することで、全ての学校園が元の校園舎で授業を再開することとなります。また、川辺児童クラブは1月6日から、箭田児童クラブは2月18日から再開しており、真備児童館は3月22日からの再開を予定しています。

次に、仮設住宅につきましては、平成30年12月に8,780人であった入居者は、1月末現在で、約4,200人まで減少しており、また、これまでに仮設住宅を退去された方のうち、約9割の方が真備に戻って住まいの再建をされています。本市が住宅金融支援機構とともに新たに設けたリバースモーゲージ型融資への申請も、現在までに83件となっています。

住宅の自力再建が困難な方のための災害公営住宅については、昨年12月24日に有井地区・箭田地区のそれぞれに事業者を選定したところであり、川辺地区では、今月末から既存の市営住宅の解体に着手し、3地区とも令和2年度末までの完成を予定しております。1月24日から26日までに計4回の入居説明会を開催し、2月10日から3月31日まで入居申込受付を行っております。また、住宅再建に時間が掛かるなど、やむを得ない事情を抱えている方もおられるため、市は国・県に対して仮設住宅の入居期限延長を要請しておりましたが、昨年末に、河川改良工事等により自宅再建に支障が出ている場合などについては最長1年間の延長が認められることとなり、県が順次、仮設住宅入居者に意向確認を行っています。こうしたなか、県は、仮設住宅からの転居費用及び民間賃貸住宅に入居する場合の賃貸借契約に伴う初期費用(敷金・礼金)の助成制度を創設しました。対象は、今後、仮設住宅を退去する世帯及び既に退去した世帯となっておりますが、市では、被災後、市営・県営・国家公務員住宅や親戚宅等に仮住まいされた世帯も対象となるよう、県に要請しているところです。

次に、被災された方の生活再建に向けた支援についてですが、公費解体は、昨年末までの申請期限に1,510件の申請があり、取下げ等を除いた解体予定の1,396件のうち、1月30日時点で9割を超える1,286件が解体済みとなっています。また、被災者生活再建支援金(基礎支援金)については、1月末現在で5,415世帯が申請されています。被災者の見守りや心のケア等の支援につきましては、倉敷市真備支え合いセンターが中心となって、1月末現在で、延べ約27,300世帯への個別訪問を行っています。

次に、中小企業等の再興に向けてのグループ補助金につきましては、昨年11月29日で公募が終了し、計310事業者が構成員である9グループの復興事業計画が認定され、そのうち261事業者に対して補助金交付決定が行われています。また、被災後の事業復旧を支援する緊急融資制度や、小規模事業者が商工会等の支援を受けて取り組む事業再建を支援する持続化補助金や、事業継続に取り組む事業者への事業継続奨励金などの取組によって、8割を超える事業者の方が事業を再開されています。

最後に、平成31年3月に策定した真備地区復興計画につきましては、事業の着実な推進を図っており、住民の皆様等の御意見を反映しながら、毎年度、復興の段階に応じた見直しをすることとしております。現在、令和2年度に向けて改定作業を進めており、主なものとしては、新たに「市管理河川の堤防嵩上げ」や「復興防災公園(仮称)」の整備等を加えることなどを検討しており、本日から3月10日まで実施する改定案へのパブリックコメントに加え、真備地区復興計画推進委員会での御意見なども踏まえて、3月末までに復興計画を改定してまいります。特に、「復興防災公園(仮称)」については、住民の皆様によるワークショップでの御意見などを踏まえて、小田川沿いに災害時の防災拠点や一時避難場所となり、平常時には防災教育の場、住民が川を感じ楽しめる場、真備の魅力を発信できる場等としても活用できるよう検討を進めているところであり、整備予定地として、真備地区の各地区から利用しやすい場所、小田川河川敷を含めて一定規模以上の面積が確保できる場所といった観点などから、市としては小田川と高馬川の合流点付近(倉敷まきび支援学校西側)を考えており、本日から実施するパブリックコメントの結果などを踏まえて検討を進めてまいります。

今後も、被災された皆様が、一日も早く安心して落ち着いた生活を取り戻していただけるよう、引き続き全力で復旧・復興に向けた取組を進めてまいります。

さて、私は、今期の任期の中で、公約に掲げた5つの政策である「子育てするなら倉敷でと言われるまち」「温(ぬく)もりあふれる健康長寿のまち」「安心と活力あふれる元気なまち」「世界に向けて発信するまち」「みらいに責任を果たすまち」の実現に向けて、全力で取り組んでまいりました。この4年間の主な取組につきまして、御報告させていただきたいと存じます。

第1に「子育てするなら倉敷でと言われるまち」の実現につきましては、安心して結婚・出産・子育てができ、仕事と子育ての両立ができる環境の充実を図るとともに、子ども達が確かな学力を身に付け、それぞれの個性と能力に応じ、健やかに成長できる環境づくりに努めてまいりました。

まず、妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援では、平成29年7月にワンストップ相談窓口として、子育て世代包括支援センター「妊婦・子育て相談ステーション すくすく」を市内5か所に開設し、昨年末までに延べ18,215人に御利用いただくなど支援体制の充実を図りました。待機児童対策では、まず、保育所や認定こども園の新設、増改築等により、定員を、平成28年4月の11,372人から、令和2年4月には12,294人に増員しました。また、幼稚園の3歳児保育・預かり保育の拡大や、保育士確保のための処遇改善や負担軽減に取り組むなど、待機児童の解消に努めています。また、いわゆる育休退園への対応として、3歳児の就園率の高まりを受けて、平成29年4月からは、上の子どもが3歳児以上の場合は、下の子どもが継続して通園できるように運用を見直し、さらに令和2年4月からは、保護者の養育環境に配慮して、生まれた子どもが1歳になるまでは、上の子どもの年齢にかかわらず継続して通園できるように改善を図ることとしました。放課後児童クラブについても、施設等の環境整備を進めることで、平成28年4月の4,504人から、令和2年4月には5,801人へと受入児童数の拡大を図ってまいりました。

教育に関する取組につきましては、児童生徒の学力向上を目指し、非常勤講師や学習支援員を追加配置することで学力向上を支援する事業等に取り組むとともに、教育環境の充実につながる施設整備として、南中学校、東陽中学校、倉敷支援学校の校舎等の建替や、茶屋町小学校屋内運動場と茶屋町東幼稚園園舎の合築、西阿知小学校校舎と西阿知幼稚園園舎の合築、西中学校木造校舎保全のための大規模改修等を進めるとともに、学校園へのエアコン整備として、平成28年度には、中学校3年生の普通教室と特別支援学級、平成29年度には、中学校1・2年生の普通教室に設置し、さらに、今夏までには全ての小学校の普通教室と公立幼稚園でも利用できるように、現在、整備を進めています。また、平成31年4月から稼働した倉敷中央学校給食共同調理場は、高度な衛生管理・アレルギー対応や食育の拠点施設としての役割も担っています。また、生涯学習の拠点施設であるライフパーク倉敷では、平成31年3月に科学センターのプラネタリウムを世界最高水準の技術を導入してリニューアルオープンしました。

第2に「温(ぬく)もりあふれる健康長寿のまち」の実現につきましては、誰もが活躍できる社会の実現を目指し、高齢者や障がいのある方々の社会参加、生きがいづくり、健康づくりなどを推進するとともに、医療や介護が安心して受けられ、地域で安心して暮らし続けられる助け合い・支え合いのまちづくりに取り組んでまいりました。

高齢者の社会参加や介護予防等を推進するためのふれあいサロンは、活動団体数が平成27年度末の164団体から令和2年1月末には275団体に、平成28年度から開始した、認知症の方や家族を支援する認知症カフェも、令和2年1月末には17団体となっています。また、医療機関や介護事業所において、医療従事者や介護専門職と地域の方々が協働で実施している、健康いきいきサロンの利用促進や、地域支えあい活動の普及啓発に努めてまいりました。平成28年度から配置した地域での通いの場の創出や担い手の育成などを行う生活支援コーディネーターも令和元年度には5人に増員するなど、地域で交流し、支えあえる環境づくりを進めています。

医療・介護体制の強化の取組として、平成28年10月には、児島市民病院での分娩(べん)受入れを再開するなど、順次、診療体制を整えるとともに、建て替えも行い、平成30年4月には、倉敷市立市民病院として開院しました。新病院では、3Dマンモグラフィー等の最新医療機器を導入して休日乳がん検診を実施するなど、更なる充実を図っています。また、地域密着型特別養護老人ホーム等14か所や障がい者支援施設等2か所の整備に対する助成を行うなど、高齢者や障がいのある方々が地域で安心して暮らせるための環境整備に努めました。

次に、地域での健康スポーツ活動の拠点となる運動公園等の整備については、水島中央公園の噴水広場や芝生広場などを改修したほか、中山運動公園の多目的広場などの整備を行うとともに、水島緑地福田公園体育館の耐震改修やテニスコートの増設などをはじめとする大規模改修工事を進めております。また、令和元年10月には、倉敷川沿いの福原緑地に、天然芝4コース、計32ホールを備えた県内最大規模となる「倉敷市グラウンド・ゴルフ場」を整備するなど、身近な場所でスポーツを楽しめる環境整備に努めてまいりました。そして、こうした環境整備とともに、市民の皆様が楽しく健康行動を実践できるよう、ウォーキングなどの取組等に対して健康ポイントを付与し、市内の協賛店で特典が受けられるなどの「くらしき健康応援事業」に取り組み、健康意識の向上を図っています。

さらに、総合福祉会館の建て替え整備については、令和4年度のオープンに向けて、倉敷児童館、有城荘、ふじ園の3施設での複合化を進めています。

第3に「安心と活力あふれる元気なまち」の実現につきましては、耐震化の推進や平成30年7月豪雨災害を踏まえた自然災害への備えの強化などに取り組んできました。また、地域の産業力強化を図るとともに、人や企業を大都市圏から呼び込み、まちの賑(にぎ)わい創出と地域経済の活性化を進めてまいりました。

まず、市長就任以来、小・中学校校舎等の耐震化を積極的に進め、2期目には耐震化率100パーセントを実現しました。今期は、さらに、公立幼稚園、保育所等の耐震化を進めております。また、地域防災力向上につながる自主防災組織の組織数は、平成27年度末の390団体から、令和2年1月末までに456団体にまで増加し、防災士も、平成28年4月の163人から、令和2年1月末までに341人を養成したほか、台風や大雨による浸水対策として、各地区の排水機場、排水ポンプ、樋(ひ)門等の新設や更新・改修に積極的に取り組みました。そして、平成30年7月豪雨災害を踏まえ、市内59か所に新たに浸水時緊急避難場所を設置し、防災用備蓄倉庫の整備を進め、倉敷市災害に強い地域をつくる検討会の開催や、令和2年度からは、全小学校の3年生と5年生を対象に防災教育を始めるなど取組を進めております。

次に、地域産業の振興については、創業支援や人材確保・育成、地場産品の大都市圏・海外への販路開拓に加え、事業承継や事業継続計画作成の支援に努めるとともに、企業誘致の面では、玉島ハーバーアイランドにおいて、平成29年にJA西日本くみあい飼料株式会社・全農サイロ株式会社・株式会社J-オイルミルズの3社による西日本の穀物取扱拠点となる食料コンビナートが本格稼働したほか、この4年間で、食品大手の株式会社明治やプラスチック製品加工の岐阜プラスチック工業株式会社をはじめ製造業や物流業など、幅広い分野の企業8社が新規立地するとともに、2社が本社機能を移転しました。また、設備投資促進奨励金制度により、計36社の92件、約1,988億円の投資について後押しし、生産性向上・増産等に伴う雇用や税収増加につなげております。平成29年3月には、国直轄臨港道路の倉敷みなと大橋を開通いただき、水島地区・玉島地区の港湾貨物輸送競争力が大きく向上するとともに、渋滞緩和など市民生活の利便性向上にもつながっています。令和2年度には、玉島ハーバーアイランド7号ふ頭の供用開始も予定しており、国際バルク戦略港湾としての更なる競争力強化に向けて進んでおります。

農業の振興につきましては、本市を代表する農産物の産地力の強化やブランド化に向けて取り組み、特に、平成28年12月には、本市特産の連島ごぼうが、ごぼうとして日本初の地理的表示保護制度(GI)に登録されました。また、東京・大阪において新規就農相談会を実施するなど担い手の確保・育成に努め、地産地消の推進をはじめ、6次産業化に取り組む農業者への支援や、次世代施設園芸の振興を図る取組など農業の成長産業化に向けた取組を実施してまいりました。

また、移住定住施策につきましては、三大都市圏における移住相談会への出展回数の拡大、移住受入れコーディネーターの配置、移住体験ツアーなどの実施に加え、東京23区等からの移住者を対象とした移住支援金制度を設けるなど、支援の充実を図っております。さらに、高梁川流域圏域への移住を検討している方が利用する「お試し住宅」も利用が順調に進んでおり、平成27年10月の開設から令和2年1月末までに639人の利用があり、そのうち115人が移住されております。

第4に「世界に向けて発信するまち」の実現につきましては、倉敷市の自然・歴史・文化や町並み、特産品などの地域資源を世界に発信し、海外からのお客様の受け入れ環境の整備も進め、国内に加え世界から人々が訪れるまちを目指してまいりました。

まず、地域の歴史的魅力や特色を通じて、我が国の文化や伝統を語るストーリーを国が認定する日本遺産につきまして、平成29年4月に、「一輪の綿花から始まる倉敷物語」が認定を受けたことに加え、平成30年5月には、その倉敷物語に大きくつながる北前船寄港地の繁栄の物語、そして、本市の楯築遺跡や箭田大塚古墳も含まれる、桃太郎伝説の舞台となった古代吉備の遺産の物語の2つが日本遺産の認定を受けました。全国最多の3つの日本遺産を有し、物語を構成する文化財が市内全域に広がるまちとなり、これを活用した魅力発信や普及啓発に取り組んでおります。

次に、観光客の増加を目指して、国の地方創生拠点整備交付金を活用し、国民宿舎良寛荘と鷲羽山レストハウスを大規模に改修し、ふなおワイナリーの赤ワイン醸造棟も増設しました。また、倉敷美観地区内の町家・古民家の再生・利活用を推進し、工房付き複合型商業施設「クラシキ・クラフトワーク・ビレッジ」や、倉敷の歴史文化及びまちなか生活様式を伝える「語らい座大原本邸」などの新たな広域集客拠点創出への支援や、電線類地中化整備などの取組により、中心市街地の賑わい創出につなげております。また、平成26年に創設した倉敷市まちづくり基金を活用して、市内全域で約50件の町家・古民家等の再生・利活用を行い、新たな魅力拠点を創出し、移住起業や、新規雇用を生み出しています。

また、倉敷美観地区の中橋前に位置する倉敷館の耐震化・大規模改修工事も完了し、2月16日より運営を再開しました。2階を休憩コーナーとして活用できるようにし、エレベーターや授乳室の新設や、洋式トイレの改修など来館者の利便性向上を図りました。

さらに、市内の観光地に要望が高かったFree Wi-Fiを整備するとともに、案内看板やメニュー表の多言語化等を行う施設への支援に取り組み、国内外からのお客様へのおもてなしの充実を図りました。こうした取組により、外国人観光客の市内宿泊者数は、平成26年の25,219人から、平成30年には77,073人へと大幅に増加しています。

児島地区については、平成29年1月の第193回通常国会の安倍首相の施政方針演説において、繊維産業を核に、商工会議所、商店街、自治体が一体となって整備した児島ジーンズストリートが地方創生の取組の好事例として紹介され、今や年間18万人を超える観光客が訪れています。ジーンズトイレなども整備し、更なる魅力向上を図りました。また、本市にとっての重要な観光資源である瀬戸大橋については、平成30年4月に開通30周年を記念して、様々なイベントを実施するとともに、これまで地元が強く要望してこられたライトアップの通年点灯について、環境省・県・本四高速との協議を重ね、これまでの年間300時間の点灯時間制限から、令和2年4月からは、大幅に点灯時間が延長する見込みとなりました。

次に、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」については、倉敷市はニュージーランドのホストタウンとして、事前キャンプの受入れを行い、また、国際おもてなし講座の実施などを通じて、おもてなし機運の醸成、受入れ環境整備に努めてまいりました。

また、倉敷市が誇る将棋・囲碁文化の全国への発信として、新たに平成29年8月には、「全国将棋サミット2017」を、令和元年5月には将棋の名人戦7番勝負第3局を倉敷で開催しました。さらに、平成29年11月には、各地域の風景や特産品などをデザインした個性あるマンホール蓋の展示・紹介により、下水道への関心を高めていただく等を目的に、中四国地方初の「マンホールサミット2017in倉敷」を開催するなど、様々な機会を捉えて、倉敷市の魅力を発信してまいりました。

そして、一昨年に豪雨災害の影響で開催を中止しました、全国の中核市市長が一堂に会する「中核市サミット2020in倉敷」を、本年10月29日、30日に倉敷アイビースクエアを主会場として開催したいと考えております。中核市の各市長とともに、全国の市議会議員や関係者など多くの方々が参加する予定であり、中核市をはじめ全国から温かい御支援をいただき復興に向かう真備地区の姿や、本市の魅力を発信する機会にできればと考えております。

第5に「みらいに責任を果たすまち」の実現につきましては、豊かな自然環境を守るとともに、暮らしの向上につながる都市機能の充実・強化を図ってまいりました。また、市民の皆様とともに考え行動する協働によるまちづくりや行財政改革を引き続き推進し、さらに、高梁川流域連携中枢都市圏の中核都市として、関係する自治体相互の発展と連携強化を図ってまいりました。

まず、環境保全への理解を促進し、地球温暖化対策により豊かな自然環境を守る取組として、平成29年度に環境交流スクエア敷地内に設置した水素ステーションと燃料電池自動車を環境学習に活用するとともに、庁舎、学校屋内運動場や道路の照明をLEDに順次更新するなど、省エネルギーの推進に努めました。また、太陽光発電・太陽熱利用・家庭用燃料電池・リチウムイオン蓄電池の設置、次世代エコハウス整備に対する助成は、制度開始以来、令和元年度末で延べ約10,300件に、電気自動車等の購入に対する助成も約850台となっております。こうした取組により、平成29年度の温室効果ガスの排出量は、基準年度である平成25年度比で6.1パーセント減少するなど、環境にやさしいまちづくりを進めてまいりました。

次に、都市機能の充実・強化の取組につきましては、幹線道路整備の推進として、都市計画道路である柏島道越線、西阿知矢柄線,矢柄西田線、新田上富井線の整備を推進し、また、3月14日には、国道2号玉島バイパスの高梁川大橋を含む片島町から船穂町船穂間の4車線化工事も完了し、これにより朝夕の渋滞が大きく緩和されます。中心市街地の活性化としては、倉敷駅前東土地区画整理事業を平成29年3月に完了し、倉敷駅周辺第二土地区画整理事業は、区域全体の仮換地指定を平成30年1月に完了し、現在、公共施設整備や宅地造成工事を進めています。さらに、倉敷駅南地区の活性化の核となる阿知3丁目東地区市街地再開発事業は、令和3年度中の完成に向けて、昨年9月中旬から再開発ビルの建築工事に着手しております。このように、高梁川流域の広域拠点となる倉敷駅周辺整備を積極的に推進するとともに、JR山陽本線等倉敷駅付近連続立体交差事業につきましても、事業の推進に向け、事業主体である県や関係機関と引き続き、協議・検討を行ってまいります。

次に、地方創生への取組として、平成27年3月に全国に先駆け、高梁川流域7市3町で連携中枢都市圏を形成して令和元年度までの5年間を計画期間とする「高梁川流域圏成長戦略ビジョン」を策定し、圏域における産業振興や福祉の充実、移住定住の推進など様々な分野で取組を進めてきました。また、平成27年9月には、同じく令和元年度までを計画期間とする「倉敷みらい創生戦略」を策定し取組を進めているところです。高梁川流域連携中枢都市圏事業は、「倉敷みらい創生戦略」の地域と地域をつなぐ取組の柱であり、今後も、第2期ビジョンを策定し、連携強化を図るとともに、次期「倉敷みらい創生戦略」については、「倉敷市第七次総合計画」の重点施策として位置付け、地方創生への更なる取組を進めてまいります。

次に、市民協働のまちづくりの推進では、地域で主体的に取り組むコミュニティ活動への支援のほか、市民企画提案事業や、倉敷市と高梁川流域の他市町に拠点を置く団体が連携して共通の地域課題解決に向けて取り組む活動への支援を行ってきました。また、平成30年7月豪雨災害後には、市内をはじめ、全国からの多くの団体や個人が、ボランティア活動にそれぞれの特色を生かして、また、協働しながら復旧・復興への取組を行っていただいたことは、本市の市民協働の推進にも、大変大きな意義があったと考えております。

平成28年度から令和元年度までを計画期間として取り組んでいる「行財政改革プラン2016」につきましては、4年間で約24億円の効果目標に対し、平成30年度までの3か年で目標を上回る約59億円の効果をあげております。また、公約にも掲げた負債の削減につきましては、外郭団体等を含めた全会計の借入金が、平成27年度末の2,902億円から令和元年度末には2,855億円となる見込みですが、想定し得なかった平成30年7月豪雨災害の復旧等に要した市債を除くと、約214億円の削減となる見込みです。また、民間活力の導入を図り、デザインビルド方式、PFI手法を用いて、(仮称)倉敷西部クリーンセンターや中央斎場、少年自然の家の施設整備を進めるとともに、平成31年2月には倉敷市住生活基本計画に基づき、中庄団地に300戸の市営住宅を再整備したほか、白楽町ごみ焼却処理場等の解体・整備事業、道路ストック長寿命化事業を実施するなど、より効果的、効率的な施設更新を行ってまいりました。

以上、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興への取組や、公約に掲げた5つの政策への主な取組について述べさせていただきましたが、このように取組を進めることができておりますのは、ひとえに市議会の皆様並びに市民の皆様の御理解と御協力があればこそのものであり、心より厚くお礼を申し上げる次第でございます。