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玄武岩(げんぶがん) basalt※流紋岩とは異なり,玄武岩はアルカリ長石や石英を含まず,全体に暗色である。
※玄武岩は安山岩よりもさらに暗色で,かんらん石を含むことが多い。
※玄武岩は,流紋岩(2.5g/cm3程度)や安山岩(2.7g/cm3程度)よりも,やや密度が高いため(2.8〜3.0g/cm3程度),わずかに重く感じることがある。
※玄武岩は石基に磁鉄鉱の微粒子を多く含み,ひもに吊した磁石が吸い寄せられることがある。
玄武岩には以下のような見かけのものなどがある。
@全体が黒く,きめ細かく,その中に黄緑色透明のかんらん石,暗褐〜緑黒色の輝石類などの粒(斑晶)が点々と入っているもの。しかし,これらの斑晶は1mm程度で少なく小さく,あまりはっきり認め られない。これは最もよく見かける玄武岩。 |
A斜長石や輝石類などの粒(斑晶)を多く含み,明らかな斑状組織を示すもの。 マグマに含まれていた水分などの揮発成分が,噴出時の圧力の減少で発泡して抜けた孔が石基にたくさん見られる。玄武岩のマグマは粘りけが少なく,孔の形はBの玄武岩のように丸いことが多いが,これは流動しながら冷えて固まったので不規則になっている。 |
B斑晶をほとんど含まず石基だけからなり,かつ,マグマに含まれていた 水分などの揮発成分が,噴出時の圧力の減少で発泡し,抜けた孔がたくさんあるもの(多孔質組織)。この孔は右のCの玄武岩のように,方解石や沸石類などの白っぽい鉱物で満たされていることがある。 玄武岩のマグマは粘りけが少なく,孔の形は丸いことが多い |
C左の多孔質組織の玄武岩(B)が水中(海底など)でできた際,その水がマグマの熱で温められて熱水となり,それが玄武岩自身にしみ込んで,その中のカルシウム分などを溶かしだし,その孔に白っぽい方解石や沸石類などが沈殿(充填)し,全体に白い霰が散っているように見えるもの(なお,この方解石や沸石類などは斑晶ではない)。これを特に杏仁状組織と呼び,水中でできた証拠とされる。 白い方解石や沸石類の一部は割れ目を満たして白い細脈状をなしている。 |
玄武岩中に斑晶として含まれる主な鉱物 | |||
斜長石 | 輝石類 | かんらん石 |
玄武岩の溶岩流の色の違い この玄武岩の溶岩流の内部は空気に触れなかったため,還元的になり石基の鉄分が磁鉄鉱(Fe3O4)となって灰黒色である。一方,溶岩流の表面部分は空気に触れて空気中の酸素により酸化的になり石基の鉄分が赤鉄鉱(Fe2O3)となってやや赤っぽくなっている。 このような火山岩の石基の鉄分の酸化状態による色の違いは,玄武岩に限らず,安山岩などにもよく見られる。 |
玄武岩の磁性 黒い玄武岩には磁鉄鉱(Fe3O4)の微粒子がたくさん含まれる場合が多い。このようなものはひもに吊した磁石が吸い寄せられる。 なお,赤鉄鉱(Fe2O3)を多く含む暗赤色の玄武岩はあまり磁石につかない。 |
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岡山県内の玄武岩について
玄武岩は県内の所々に分布し,河原にもよく見られる。起源により,(1)海洋底の玄
武岩と(2)アルカリ玄武岩とがある。
(1)海洋底の玄武岩
古生代(約3億年前)に,海洋底の海嶺やホットスポットからマグマが噴出して固まってでき,1年に数cmの海洋プレートの動きにより,現在の岡
山県の場所まで移動してきたもの。高梁市川上町上大竹,井原市芳井町日南などで,古生代の石灰岩を伴っ
て分布していることもある。
変質して暗緑色や暗赤色になっていることが多い。また,脆くなっているものも多い。
海洋底の玄武岩が海洋プレートの動きで岡山県の場所まで移動してきたもの(高梁市川上町上大竹産) 白い部分は少ないものの,上のCの玄武岩(杏仁状組織の玄武岩)に該当するもの。 |
ア
ルカリ玄武岩/新見市哲多町荒戸山産。上部マントルの黄緑色のかんら
ん岩や緑黒色の輝石類の
1cm大の破片を含むことがある。 |
新 見市哲多町荒戸山/アルカリ玄武岩からなる残丘。 |
荒
戸山のでき方/数100万年前に地下深部のマントルからマグマが噴出して, 玄武岩の台地でき,それが侵食され,マグマの噴出したときの通り道(火道)のみが侵食に耐えて残丘(荒戸山)になった。 |