【タングステン】(6族 元素記号:W)     [周期表へもどる]
 
<自然界での産出>
 タングステンは鉄マンガン重石や灰重石が重要な鉱石鉱物で,多くはを伴って産 し,花こう岩地域に鉱床がある。
 岡山県内では倉敷市北部から総社市にかけて,小規模ながら多くのタングステン鉱床があり,戦前から1950年代にかけて採掘が行われた。
<用途>
 単体のタングステンは非常に融点が高く(3400℃),電球のフィラメントなどに用いられる。
 また,タンガロイと呼ばれているのはタングステンを含んだ合金で,非常に硬く,切削工具などの部品として多用される(タンガロイはタングステンとアロイ (合金)の合成語)。軍需物資に用いられることが多く,戦時に価格が高騰する元素。
 なお,密度が金と同じ(19.3g/cm3)なので,タングステンに金メッキをしたものは金塊と区別しにくく,偽金貨・偽金塊に用いられることもある。

鉄マンガン重石
鉄マンガン重石    wolframite     
成分:鉄・マンガンのタングステン酸塩 (Fe,Mn)WO4
 気成鉱床に産したもの。黒色の板状結晶で,白い石英中に埋没している。
・岡山県倉敷市真備町吉備鉱山産
灰重石 
灰重石      scheelite
成分:カルシウムのタングステン酸塩 CaWO4
 これはスカルン鉱床に産したもので,灰重石は淡い褐色の粒状をなし,緑黒色の灰鉄輝石中に散在している。250nm程度の波長の紫外線を照射すると青 白く光る。
・山口県喜和田鉱山産
左:自然光
右:同じものに暗所で紫外線を照射