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1軸性・2軸性(光軸角)と光学的正負
(クロスニコルで,40倍以上の対物レンズ・ベルトランレンズ・鋭敏色検板を用いて観察)
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1軸性・2軸性(光軸角)と光学的正負は等軸晶系以外の鉱物同定できわめて重要な光学的性質です。


1軸性なら六方晶系・正方晶系に属し,2軸性なら斜方晶系・単斜晶系・三斜晶系に属します。また,1軸性・2軸性それぞれの光学的正負も鉱物により決まっています。
さらに2軸性結晶では光軸角を決めることで鉱物種をさらに絞り込むことができます。そして2軸性結晶における固溶体鉱物では光軸角はその化学組成(固溶体比)とともに変化するので,特にかんらん石や斜方輝石などでは固溶体組成(おおまかなマグネシウム(Mg)と鉄(Fe)の比率)を決めることができます。

等軸晶系以外の鉱物は複屈折を示し,その複屈折量は結晶方位により異なります。その結晶方位の内で複屈折量が最小で0に近い方向を光軸方向といい,その方向では本来,高い干渉色を示す鉱物でも複屈折量が小さく,干渉色は1次の灰色程度です。そのような粒子を薄片の中から探して観察に供します(下写真の矢印先の粒子)。

例:玄武岩中のかんらん石
干渉色(複屈折量)は同種の鉱物でも結晶方位によって異なり,上写真のように同じかんらん石でも紫・青・桃・橙・黄,灰色など異なった色に見える。そのうちで干渉色が低い(1次の灰色程度)の粒子が光軸方向の粒子(矢印先)。


次に,対物レンズを40倍以上のものに換え,光軸方向の粒子をクロスヘアーの中心に持ってきます(この場合,視野の20%以上の大きさの粒子が望ましい)。
次いでベルトランレンズを用いて見ると視野にぼやけた黒く太い線(アイソジャイアー)が見えます(ベルトランレンズがない場合は接眼レンズを外して見る)。
ステージを回転させながら観察すると,アイソジャイアーが動きます。以下に,このアイソジャイアーの動きについて,1軸性結晶と2軸性結晶に分けて紹介します。

1軸性結晶
鉱物のうちで,六方晶系・正方晶系に属するものは1軸性結晶であり,光軸はC軸と一致している。1軸性結晶はステージを回転させてもアイソジャイアーが大きく斜めになったり,かなり湾曲することはない。光軸方向では常に十字,光軸方向からややずれている場合はほぼ縦横の直線として見える。
→ 1軸性結晶の場合



2軸性結晶
鉱物のうちで,斜方晶系・単斜晶系・三斜晶系に属するものは2軸性結晶である。ステージを回転させるとアイソジャイアーが大きく斜めになったり,かなり湾曲することが多い。
→ 2軸性結晶の場合


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なお,光軸にかなり斜交する粒子(干渉色が高い)では,アイソジャイアーの動きはつかみにくい。しかし,このような場合でもアイソジャイアーが縦と横に近い状態で動く場合は1軸性(六方晶系・正方晶系)であり,大きく斜めになったりかなり湾曲する場合は2軸性(斜方晶系・単斜晶系・三斜晶系)と判断でき,ある程度,同定に役立つ。