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消光角(クロスニコルで観察)   [戻る]

クロスニコルでステージを回転させると干渉色の所で述べたように,個々の鉱物の結晶が明るくなったり暗くなったりします。1つの鉱物の結晶に注目すると,ステージを1回転するときに4回暗くなります。最も明るい時の結晶の位置を対角位といい,暗黒になった位置を消光位といいます。対角位と消光位は45°ずつずれています(等軸晶系の鉱物(ざくろ石,ダイヤモンド等)や非晶質のもの(火山岩中のガラス)はクロスニコル下でステージを回転させても常に暗黒で,このようなものは光学的等方体といい,消光角・干渉色はありません)。

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直消光
へき開が発達する鉱物や,断面が1方向に伸びた鉱物の中で,正方晶系・六方晶系・斜方晶系の鉱物や,フィロケイ酸塩鉱物の大部分は,クロスヘアーとへき開線・伸び方向が平行になったときに暗黒になり,これを直消光するといいます(直消光する鉱物の消光角は0°)。

六方晶系/ブルース石,リン灰石など
正方晶系/ジルコン・ルチル・柱石・ベスブ石など
斜方晶系の鉱物/斜方輝石・紅柱石・ケイ線石・灰れん石・ぶどう石・ローソン石など
フィロケイ酸塩鉱物/雲母類(黒雲母・白雲母など)・緑泥石・滑石・スチルプノメレンなど

直消光する鉱物の例:黒雲母 直消光する鉱物の例:ケイ線石


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斜消光
へき開が発達する鉱物や,断面が1方向に伸びた鉱物の中で,フィロケイ酸塩鉱物を除く単斜晶系・三斜晶系の鉱物の多くは,クロスヘアーと平行の位置では暗黒でなく,それと斜めの状態で暗黒になります。このようなものは斜消光するといいます。
斜消光する鉱物を消光させた場合,クロスヘアーから何度,鉱物のへき開線が傾いたかという角度を消光角といいます。なお,長石類では消光位における双晶境界とクロスヘアーとのなす角度を消光角とすることが多いです。
しかし,消光角は結晶方位によっては小さく見えることもあります(※斜消光する鉱物である普通角閃石や普通輝石はb軸方向の断面で消光角が最大で,a軸方向の断面の消光角は0°)。鉱物の消光角は最大の消光角をもって表記されます。なお,固溶体の成分で消光角は大きく変化することがあり,長石類はその典型例です(この場合,逆に消光角から固溶体の成分がわかる)。

単斜晶系の鉱物/アルカリ長石の一部(消光角は固溶体の成分で大きく変化),普通角閃石(消光角は5〜25°),普通輝石(消光角は40°前後)など
三斜晶系の鉱物/アルカリ長石の一部(消光角は固溶体の成分で大きく変化),斜長石(消光角は固溶体の成分で大きく変化),藍晶石(消光角は30°前後),ケイ灰石(消光角は3〜5°)など

斜消光する鉱物の例:普通角閃石 斜消光する鉱物の例:普通輝石
注意

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なお,へき開が不明瞭で不規則な形状の鉱物は消光角はわかりません。→ きん青石,あられ石,花こう岩中の石英,はんれい岩中のかんらん石など。