岩石カッターの構造  [戻る

岩石カッターの刃(ブレード)は金属製の丸鋸の周囲にダイヤモンドの粒子を埋め込んだ構造になっている。
これを岩石カッター本体に取り付け(→ 取り付ける際に刃に記している回転方向に注意する),カッターの刃が深さ1〜2cm程度水につかるように本体のタンクに水を入れ(あるいはホースを通じた水を流すタイプもある),水で刃を冷却しながら高速で回転させて,岩石・鉱石試料を切断する。
切断時に,必ず試料はしっかり固定して進路を平行に,かつ,ゆっくりと前進させながら切断する。
※試料を強く押して前進させたり,試料の進路が曲がったり(→ 切断時に試料が傾いたり,割れたりすることで試料の進路が曲がることも多い)するとカッターの刃が曲がって使えなくなったり,時には割れて手指切断などの重傷を負うこともある。


なお,カッターの刃は周囲に埋め込まれているダイヤモンドの粒度により用途が異なっている。粗い粒子が埋め込まれている刃は一般的に用いられ,硬い試料も切断でき,かつ,切断速度が速い。細かい粒子が埋め込まれている刃は軟質試料を切断するためのもので,切断速度は遅いが切断面はきれいである。
また,カッターの刃は,厚いものは曲がりにくく耐久性に富むが摩擦部分が広いため切断速度は遅い。厚さが薄いものは曲がりやすく耐久性に劣るが,摩擦部分が狭く切断速度が早い。

カッターの刃は石英質の硬い試料を多く切断すると,円周上のダイヤモンド粒子が多数欠落し,切りにくくなる(刃の周囲がつるつるの状態になる)。この場合,時代の若い軟質の安山岩を数回切断すると,円周上の金属がすり減り,埋め込まれていたダイヤモンド粒子が露出して切断できるようになる(刃の周囲がざらざらの状態になる)。
円周上のダイヤモンド粒子が埋め込まれているゾーンが無くなるとその刃は寿命が来ており,切断できない(試料の硬さにもよるが,通常はカッターの刃の直径の1/3程度の大きさの試料1000個程度は切断できる)。



岩石カッターの刃(ブレード)の構造
金属製の丸鋸の周囲のゾーンにダイヤモンドの粒子が埋め込まれている(右の拡大写真)。