試料の調整    [戻る]


1 試料を耳かき約1杯分以上の量を取る。肉眼で見ながらできるだけ,不純物を取り除いておく。数mm以上の塊は乳鉢では潰れないので,鉄板上に置き,金づちなどで1〜2mm以下に砕いておく。

2 きれいに洗浄したアルミナ製またはメノウ製の乳鉢に1で分離した試料を入れ,無水エタノールを小さじ半分程度加えて鉱物粒子が飛び散らないようにし,乳棒で磨り潰す(石英のように硬い試料は約5分,ろう石のような軟らかい試料は約2分)。粉の粒度は0.001〜0.01mm程度が良く,指頭にざらつかない程度に磨り潰す(磨り潰した後,エタノールが残存している場合,蒸発するのを待つか,数分静置した後でちり紙で上澄みを吸い取り,乾かす)。
※乳鉢・乳棒の洗浄法:水道水でおおまかに洗った後,試薬としての石英砂(珪砂。不純物の少ないペグマタイトなどから産した石英を砕いて作ったものでもよい)を小さじ1/4程度・大さじ1杯の水を乳鉢に入れ,その石英砂を約2分間磨り潰す。その後,水道水でよく洗って乾かし,次の使用に備える。

3 X線回折用の無反射ガラス製(完全に非晶質)の試料板に,2で粉砕した試料を薄いプラスチックの小片(プラスチックフィルムのような弾性のあるものが良い)などを用いて小山になるように移し,それに2〜3滴の無水エタノールを滴下し,つまようじの先で試料をエタノールになじませて,乾かして固定する。なお,試料が多い場合はエタノールを使わず,乾いた状態で試料板の窪みに盛ってスライドグラスなどで軽く圧し,試料を固めて固定する。 なお,試料板として28×48mmの岩石プレパラート用のスライドグラスが使用できる場合はその新品のものをきれいに洗って試料板として用いても良い(この場合,X線回折専用の無反射ガラス製の試料板のくぼみ(X線が照射される所)の位置に対応する場所に試料がつくように前述と同様な方法でエタノールで固定する。
※岩石プレパラート用のスライドグラスは完全に非晶質ではないので回折チャートの10〜30°付近にバックグラウンド状の弱い盛り上がりが見られる。しかし試料の同定に支障がある程ではない)。

岩石プレパラート用のスライドグラスに装着した粉末試料


4 試料板はX線の照射部分以外を無水エタノールをしみこませたティッシュなどでできれいに拭き,X線粉末回折装置に取り付ける。なお,手荒くすると粉状の試料が外れて飛び散るので注意する。