測定条件について [戻る]
回折に用いる特性X線について
通常は対陰極に純銅を用いた銅管球を用い,それから発せられるCuKαの特性X線(波長(λ)=1.5418Å(0.15418nm)を回折に使う。しかし,鉄やマンガンを多く含む試料(粉末にしたときにこげ茶色や黒く見えることが多い)の場合は回折データのバックグラウンドが高くなり,やや回折ピークがわかりにくくなるので,できれば対陰極に純鉄を用いた鉄管球のFeKαの特性X線(波長(λ)=1.9373Å(0.19373nm)を回折に使う方がよい(なお,いずれの場合も乾球のX線取出口のベリリウム窓には決して手を触れてはいけない)。
そして試料への入射X線の経路の途中にはKβ線を取り除くフィルターを入れておく(銅管球の場合はNi板,鉄管球の場合はMn板)。
銅管球のCuKαの特性X線(波長(λ)=1.5418Å(0.15418nm)を用いて得た,鉄を多く含む試料の回折チャート (左は赤鉄鉱/Fe2O3,右は硫砒鉄鉱/FeAsS) 鉄(Fe)やマンガン(Mn)を多く含む試料は回折データのバックグラウンドが高くなり,試料の量が十分多くても,回折ピークがややわかりにくくなる(特に相対強度が20%以下の小さなピークは不明瞭)。この場合,対陰極に純鉄を用いた鉄管球のFeKαの特性X線(波長(λ)=1.9373Å(0.19373nm)を回折に使う方がバックグラウンドが低くなり,同定しやすい回折チャートが得られる。 |
管球の電圧,電流について
通常は,管球電圧30kV,管球電流15mAで測定する。
ゴニオメーターの走査角度
試料が格子面間隔の大きい粘土鉱物やゼオライトなどと予想される場合はゴニオメーターの走査角度は2〜60°,それ以外の場合は10〜70°が普通であるが,肉眼では見当がつかないことが多いのであらかじめ2〜70°を走査する方が良い。ゴニオメーターの走査速度は2°/分の速さが一般的である。したがって1試料につき測定は34分かかる。
なお,格子定数の測定では0.5°/分,あるいは,0.25°/分というゆっくりとした走査速度で測定する。