結晶度の悪い鉱物   [戻る]

 鉱物には結晶度の悪い(原子配列がかなり不規則になっている)ものがある。この例として,地表付近の風化作用でできた二酸化マンガンを主成分とする黒色のマンガン鉱物,水酸化鉄鉱物(いわゆる褐鉄鉱),アルミニウムとケイ素の酸化物(アロフェン)などがある。これらは試料の量が十分あっても,回折ピークが現れないか,バックグラウンド状の弱い盛り上がりのある回折チャートを与え,同定は困難である。肉眼では鈍い脂肪光沢や樹脂光沢があり,緻密で,へき開がなく,硬度が低く,脆いものが多い。
 また,ウランやトリウムなどの放射性元素を主成分とするメタミクト鉱物(ウランやトリウムを主成分とするニオブ・タンタルの複酸化物,ケイ酸塩)も同様に結晶度が悪く,同様な回折チャートを与える。

アロフェンと思われるものの回折チャート
バックグラウンド状の弱い盛り上がりのある回折チャートで,同定は困難である。


二酸化マンガンを主成分とする黒色のマンガン鉱物
弱い3本のピークが認められ,かろうじてクリプトメレンと同定される二酸化マンガンを主成分とする鉱物の回折チャート。