平成30年9月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。

提案理由説明に先立ち、本市に甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨災害に関しまして、御説明申し上げます。

このたびの豪雨は100年に1度の大雨と言われており、倉敷市においては、2日間で年間降水量の約3割に相当する降雨となり、7月6日には平成25年の制度運用開始以来で初めて大雨特別警報が発令されました。真備町では、国管理の小田川をはじめ、県管理所管の末政川・高馬川・真谷川・大武谷川において8か所で堤防が決壊し、7か所で一部損壊・損傷となり、大規模な浸水被害が発生しました。この災害により、真備町4,400ヘクタールのうち約1,200ヘクタール、5,700棟超の住家が浸水するとともに、児島・水島地区においては土石流が発生し、倉敷・玉島地区では市道への土砂崩れ等が発生し、庄地区ではため池の堤防法面が損傷しました。災害救助法の適用、激甚災害の指定、さらには豪雨災害として初めて特定非常災害の指定となるなど、本市始まって以来の未曾有の大災害となり、市全体で52名もの尊い命が失われました。改めまして、お亡くなりになられました皆様の御冥福をお祈りしますとともに、御家族・関係者の皆様に衷心よりお悔やみを申し上げます。そして、被災されました皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

本市では、7月5日に災害対策本部を設置し、翌6日の11時30分には、市内全域の山沿いに、土砂災害の避難準備・高齢者等避難開始を発令するとともに、避難所を開設しました。さらに、18時30分には倉敷川・吉岡川の水位が上昇する恐れがあるため、両河川沿いの地域に避難準備・高齢者等避難開始を発令し、19時30分には土砂災害の危険度を表す土壌雨量指数が高くなり、土砂災害に対する避難を促すため、市内全域の山沿いに避難勧告を発令しました。また、小田川の水位が上昇してきたことに伴い、22時に真備地区全域に避難勧告を発令し、その後、真備支所からの情報に基づき、23時45分に小田川右岸に避難指示を発令し、また、高梁川の水位も急激に上昇したため、7日の0時に倉敷地区の高梁川沿いをはじめとする地域に避難勧告を発令しました。さらに、0時47分には、国から小田川右岸での越水情報があり、その後、小田川左岸の高馬川でも堤防周辺から異常な出水があるとの真備支所からの情報により、1時30分に小田川左岸に避難指示を発令するとともに、足守川の水位も上昇したため、庄地区の矢部・日畑に避難勧告を順次発令しました。本市では、携帯電話やスマートフォンを活用した緊急速報メール、緊急告知FMラジオへの割り込み放送、テレビを活用したLアラート発信等による情報提供を行うとともに、屋外拡声塔を用いた緊急情報提供無線システムで私自らも切実に避難を呼びかけましたが、このような大きな被害となりましたことについて、本当に胸が張り裂ける思いでございます。

災害発生後、まずは人命最優先に救助捜索活動に全力で取り組むため、発災直後の7日2時過ぎには、人命救助、そしてその後の災害廃棄物撤去や防疫活動の必要性を見込み、自衛隊災害派遣を要請しました。そして、自衛隊、倉敷市消防局を含む緊急消防援助隊をはじめ、消防岡山県隊、岡山県警察とともに救助捜索を行い、2,350名の方を救出しました。また、市内では39か所の避難所を開設し、発災直後の7月7日には、把握しているだけでも約4,800名の方を避難所に受入れました。そして、市内及び全国各地に支援物資を要請するとともに、災害医療チーム派遣をお願いし、被災者の医療対応をすべく、市保健所に対策本部を設けました。

また、浸水状態が続く真備町の排水作業に全力で取り組むべく、国土交通省の緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)により、全国から排水ポンプ車23台、照明車11台を配備して24時間体制で排水作業を行い、7月11日に作業を完了しました。

水が引くことで、ライフライン復旧に取り組むことが可能となり、約8,900戸で断水していた水道を、飲用不可の状態ではありましたが、被災された皆様の片付けと衛生状態確保のため通水することを決断し、7月9日から試験通水を開始し、自衛隊や全国からの給水支援・復旧支援も受け、16日には小田川の南側にて、そして24日には北側を含む真備町全域で飲用が可能となりました。また、下水道につきましても、機能停止していた真備浄化センターを7月10日に、箭田川南浄化センターを12日に利用可能としました。

災害廃棄物の撤去につきましては、水が引いた直後から被災者の皆様が住宅の片付けを始められたことに併せて、7月11日には倉敷市災害ボランティアセンターを開設し、全国から集まられたボランティアの方々の御協力により、家の前や地域の広場、道路脇などへの片付けごみの搬出がすすみました。真備町内から西部ふれあい広場などの1次仮置場への搬送については、大幅増員をお願いして千三百人を超える体制としていただいた自衛隊をはじめ、環境省、岡山県建設業協会、岡山県産業廃棄物協会、全国一般廃棄物環境整備協同組合連合会、その他多くの自治体職員の皆様の御協力をいただき、8月25日までに真備町内の住宅地や身近な仮置場からの災害廃棄物撤去を完了しました。今後は、これまでに発生した片付けごみ4万3千トンと、これから行う公費解体等に伴い発生する16万8千トンの解体廃棄物を、岡山県への事務委託により岡山県環境保全事業団水島処分場で処分を行うこととしております。

国・県に対しては、早急に河川の復旧に取り組んでもらうことを要請し、国管理の小田川の緊急復旧工事は7月22日までに、県管理所管の高馬川・真谷川・大武谷川・末政川の緊急復旧工事は8月3日までに完了しました。さらに、本市からの要請に対応して、国・県は、このたび被害が発生した小田川の5か所、末政川・高馬川・真谷川の各1か所の計8か所に、河川の水位を確認するための危機管理型水位計を設置し、地域の皆様も水位を確認できるようになったことから、8月7日10時をもって、避難指示を解除いたしました。

次に、被災された皆様への支援ですが、8月末までに約5,700件の罹(り)災証明を受け付けております。本市としましては、災害義援金をお配りするとともに、災害見舞金については、このたびの被害の甚大さに鑑み、支給額を3倍にして対応しております。また、被災者生活再建支援金の申請受付や生活日用品をお配りすることに加え、自衛隊による入浴支援、防衛省のチャーター船「はくおう」をはじめ、宿泊施設の御協力による宿泊支援、多くの団体の御協力による炊出しや食事配布を行ってまいりました。また、真備地区の被災者の所在や健康状態の把握を行うため、7月13日から市保健師が中心となって全戸把握事業を行っており、8月末時点で22,368人、98.6パーセントを把握しております。仮設住宅に入居され、避難生活が長期となるため、今後も戸別訪問による見守りや生活相談の対応を行ってまいります。

また、住宅支援について、借上型仮設住宅は8月末で2,804件の入居が決定し、建設型仮設住宅はこれまで第1次・第2次整備分を合わせて266戸の入居者が決定しました。また、被災住宅の応急修理は8月末で924件の申込を受け付けており、今後、被災住宅の「公費解体」も行うこととしております。現在も、真備町内の小学校をはじめ、総社市の施設等にもお世話になるなど、避難所には約600人もの方々が避難されておりますが、1日も早く落ち着いた住家で暮らしていただけるよう、取り組んでまいります。

被災した学校・園は、9月3日に再開しました。現在、川辺幼稚園は薗幼稚園にて、箭田幼稚園は二万幼稚園にて合同保育を行っています。また、通学バスを運行し、川辺小学校は連島東小学校と連島東幼稚園に、箭田小学校は玉島小学校と県立玉島高校に、真備東中学校は霞丘小学校に、真備中学校は倉敷芸術科学大学に、真備陵南高校は市立工業高校と県立倉敷工業高校にて授業を再開しております。10月中には薗小学校、二万小学校、真備東中学校及び真備陵南高校の敷地内に仮設校舎を整備し、真備地区で授業を再開する予定としております。

また、被災した保育施設に通う児童につきましては、他地区の保育施設で代替保育を実施するとともに、7月・8月には、真備地区の公立幼稚園3園で預かり保育を実施いたしました。9月1日からは、まきびの里保育園を再開し、旧穂井田幼稚園において、保育を開始しており、11月中に現在の園敷地内に仮設園舎を整備し保育を再開する予定としております。また、民間保育施設についても、現在部分的に保育を開始している施設もあり、主な施設は11月中に保育再開の予定となっております。

商工業では、8月17日時点で商工会等の報告に基づき県がとりまとめたところでは、真備地区で260事業所が被害を受け、被害総額約84億円となったことが示されています。本市としましては、グループ補助金、持続化補助金及び融資に関する資金繰り支援の制度に対する被災事業者向け説明会を開催したほか、8月16日からは、真備総合公園体育館に被災事業者向けワンストップ相談窓口を開設し、融資・補助金相談、雇用相談及び経営相談を実施しております。また、グループ補助金の復興事業計画の公募は9月3日に始まっております。

また、農作物等の被害については、水稲330ヘクタールをはじめ、3億9千万円の被害、農業用機械等約900台をはじめ、7億8千万円の被害がありました。本市としましては、このたび被災した農業者が早期に営農を再開できるよう農機具や農業用ハウス等の修繕料や購入費用を助成するなど総合的な支援を行うほか、農業従事者に向けた支援及び農地災害復旧に関する説明会も開催しており、9月1日からは農業者支援事業の申請受付窓口を設置しております。

真備支所については、8月4日に被災者生活支援制度の申請受付等の一部業務を再開し、8月16日には全業務を再開しております。例えば、8月末に開始した日用品配布の手続きでは、真備支所での申請が、本庁での申請の2倍近くの件数となるなど、支所再開は復興に向けた第一歩と考えております。

このたびの災害対応におきましては、議員の皆様には、発災当初から御支援をいただいており、また、多くの市民・団体・企業の皆様から、心のこもった支援物資や多くの義援金を寄せていただくとともに、8月末までに延べ42,141人もの全国各地からのボランティアの皆様に、復旧・復興に大きなお力添えをいただいております。また、国の機関(11省庁)、他自治体(対口支援、関西広域連合、中核市市長会など、18都県182市区町)をはじめ、多くの支援団体、医療機関等から人的支援をいただき、人命救助・救援捜索活動、物資支援、応急給水活動、避難所運営業務、罹(り)災証明関係業務及び災害廃棄物搬出等に携わっていただき、今も一部の業務において御協力をいただいている状況です。改めまして、心より深く感謝申し上げます。

発災以来、災害対策本部を中心として様々な角度から災害対応、復旧及び被災者支援を行ってきたところでありますが、今後は、これに加えて被災者の生活再建、地域経済の再生及びまちづくりなど、地域の復興に向けて、本格的に取り組むことが重要と考えております。

そこで、倉敷市の各部局が一体となって、迅速かつ強力に被災地の復興を進めていくため、9月3日に「倉敷市災害復興本部」を設置し、併せて、8月4日に先行して設置した被災者生活支援室に続き、新たに復興業務を専門に担う行政組織として、災害復興推進室、災害廃棄物対策室、被災者見守り支援室、被災者住宅支援室、被災中小企業支援室及び被災農業者支援室を設置しました。

また、市といたしましては、これまでに、7月9日に小此木防災担当大臣、11日に安倍首相、15日に石井国土交通大臣に対して、今後に備え、小田川及び高梁川の河道の樹木伐採、浚渫(しゅんせつ)等をお願いするとともに、河川改修事業に係る予算の大幅な増額と事業の大幅なスピードアップを図っていただくよう強く要望しております。具体的には、小田川合流点付替え工事は、現計画では、本年秋から着手して2028年度に完成する予定となっていますが、予算を大幅に増額して工事期間を半分以下とするなど、事業の大幅なスピードアップを図っていただくことや、小田川の堤防が、今後二度と切れることが無いように、決壊した堤防よりも幅を広げるなど強固な堤防として改良復旧していただくように強くお願いをしております。また、県に対しても、管理所管の末政川・高馬川・真谷川・大武谷川について、抜本的な治水対策事業を強力に推進していただくよう要請しております。

今後、一日も早く、被災された皆様が生活を再建し、自らの生活を取り戻されますよう、全庁一丸となって、取り組んでまいりますので、議員の皆様・市民の皆様の御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。