平成28年9月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。
 
提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況につきまして御説明申し上げます。
 
まず、8月30日に上陸した台風10号は、東北と北海道に大きな被害をもたらしました。亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。また、この台風は、東日本大震災の被災地を直撃しており、度重なる被害に心が痛むとともに、震災復興への影響が最小限となるよう願っております。
また、倉敷市におきましては、6月22日から23日にかけて発生した大雨によって、水路やため池、樋門などの農業施設127か所、林地2か所、道路190か所に被害が発生しました。一刻も早い安全・安心の確保につながるよう、早期の復旧に取り組んでまいります。
 
次に、リオデジャネイロで開催された第31回オリンピック競技大会が閉幕し、日本選手団が獲得したメダル数は41個と過去最多となりました。そして、バレーボール女子日本代表として出場した倉敷市出身の荒木絵里香選手と石井優希選手が、見事5位入賞を果たしました。御活躍された両選手の栄誉を称えるとともに、市民の皆様に大きな夢と感動を与えてくれた郷土の誇りとして、本日、市長特別賞を贈呈することとしております。また、日本時間の明日からは、リオ2016パラリンピック競技大会が始まり、高梁川流域圏では浅口市から木山由加選手が車いす陸上競技に出場されます。御健闘をお祈りし、引き続き応援してまいります。
そして、7月下旬から約1か月にわたり、岡山県が39年ぶりにメイン会場となった平成28年度全国高等学校総合体育大会が開催され、中国5県で熱戦が繰り広げられました。15歳以下の水球選手による全国大会「桃太郎カップ」を開催している倉敷市では、児島マリンプールが水球競技の会場となり、市内中学校出身の8名が所属し、選手全員が桃太郎カップ出場経験者の関西高校が4位と健闘しました。陸上競技では、倉敷中央高校の斎藤愛美選手が3冠を達成し、倉敷高校の留学生2人も優勝するなど、うれしいニュースが多くありました。
 
また、9月11日には、第6回倉敷国際トライアスロン大会を開催し、全国から約700人の選手の方々が倉敷に集まります。大会には、地元をはじめ約3,400人ものボランティアの方々に御協力いただく予定となっており、多くの皆様とともに大会を盛り上げるととともに、スポーツ振興の更なる機運醸成に努めてまいりたいと考えております。
 
次に、三菱自動車工業株式会社では、7月4日に軽自動車の生産を再開し、関連企業への補償等の手続きも対応が進んでおります。こうした中、8月30日に国土交通省から、同社が6月17日に公表した燃費値の測定方法に不正な取り扱いがあり、国土交通省の確認試験では、軽自動車以外の8車種におきましても公表値を下回っているとの発表がありました。倉敷市としましては大変遺憾に思っており、地域に多くの関連企業を抱える責任を再認識し、企業体質の改善と信頼回復に取り組んでいだだくよう強く申し入れたところです。一方で、自動車関連中小企業への影響を憂慮しており、今後とも必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
 
次に、地方創生への取組について御説明申し上げます。
昨年9月に、「結婚・出産・子育ての希望をかなえるまち倉敷」「ひとを惹きつけるまち倉敷」「働く場を創るまち倉敷」「安心な暮らしを守り、地域をつなぐまち倉敷」の4つの基本目標を掲げた倉敷市の地方版総合戦略となる「倉敷みらい創生戦略」を策定しました。そして、昨日の市議会地方創生等特別委員会におきまして、平成27年度の事業実績や目標値に対する現時点での進捗状況などを御説明申し上げたところです。主な内容として、人口につきましては、目標とする平成31年12月末の487,000人に対し、基準となる平成27年3月末の483,537人から平成27年12月末には483,970人へと増加しており、また、対三大都市圏との社会増減につきましても、平成31年に均衡を目指す目標に対し、基準となる平成26年の年間742人転出超過から、平成27年は705人転出超過に縮小しております。ただし、出生者数につきましては、目標とする平成31年の年間4,782人に対し、基準となる平成26年の4,536人から平成27年は4,419人へと減少する状況となりました。平成28年度は、地方創生の本格展開の年として、当初予算及び6月補正予算、さらに、この度の9月補正予算案においても、その取組を大きな柱として掲げ積極的な予算編成を行っておりますが、目標達成に向けて実効ある取組としていくことが重要となっています。こうした観点から、市を取り巻く最近の状況や今後の取組内容等につきまして、御説明申し上げたいと存じます。
まず「結婚・出産・子育ての希望をかなえるまち倉敷」につきましては、待機児童数が昨年の180人からは減少したものの未だ111人いる状況や、来年度から育休退園対象となる子の年齢を「4歳未満」から「3歳未満」に引き下げることなどを考慮し、210人程度の保育施設の整備計画を募集し、この度、3施設190人分の整備を選定しました。このうち、今年度末までに工事の進捗が一定程度見込めるものという国の補助対象の要件を満たす2施設、定員130人分の整備をこの度の補正予算案に計上しており、定員60人の1施設につきましては、今後の補助金交付に係る国のスケジュールにあわせて予算化してまいりたいと考えております。さらに、地域型保育事業及び企業主導型保育事業により70人程度の受入れを予定しており、全体として約260人の増員を見込んでいます。
 
2点目の「ひとを惹きつけるまち倉敷」につきましては、来年3月に公開される下津井を舞台としたアニメ映画「ひるね姫」とタイアップし、東京都内の主要映画館で倉敷市の観光PR映像を上映するなど様々な観光プロモーションを実施したいと考えております。世界から注目されている日本のアニメ映画で倉敷市が取り上げられるのは初めてであり、魅力発信の絶好の機会と捉え、関東圏からの観光客を呼び込むことで宿泊客増加にもつなげていきたいと考えております。また、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、市民や事業者を対象に国際おもてなし講座を開催し、英語対応力の向上とおもてなし機運の醸成を目指してまいります。また、町並みの景観美の更なる向上を図るため、本年度から電線類地中化を美観地区北西部の本通り商店街や阿知町東部商店街などへ延長する取組に着手することとしております。
 
3点目の「働く場を創るまち倉敷」につきましては、ヤンマー株式会社が船穂町柳井原地区に整備していた植物関連の研究・開発拠点施設「バイオイノベーションセンター倉敷ラボ」が、8月26日より本格稼働を始めました。平成27年度に市が創設した本社機能移転等促進奨励金の認定第1号であり、大学・研究機関等との連携により、バイオ技術などを活用した栽培手法の開発・実用化を目指す施設として、我が国の農業の競争力を高める研究に大きな期待をしています。また、8月13日には、玉島ハーバーアイランドに両備テクノカンパニーが、重機の部品製造や整備等を手掛ける中四国最大で最新鋭の設備を備える新工場の建設に着手し、来年4月の稼働を予定していると伺っております。今後とも、こうした企業誘致への取組を積極的に進めてまいります。
 
4点目の「安心な暮らしを守り、地域をつなぐまち倉敷」につきましては、広報くらしき9月号に併せて、倉敷市洪水・土砂災害ハザードマップの改訂版を配布しました。今回の改訂版では、土砂災害警戒区域の指定箇所を最新の情報に更新し、また、新たに、建物が壊れるなど住民に著しい危険が及ぶ恐れがある区域として、岡山県が指定した136か所の土砂災害特別警戒区域を表示しました。さらに、指定避難所・指定緊急避難場所ごとに、洪水・土砂災害・高潮・地震・津波といった災害種別による使用の可否を表示しており、いざというときに素早く安全な場所に避難できるよう、このマップを御活用いただきたいと考えております。