令和4年12月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。

はじめに、提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況について御説明いたします。

まず、10月28日、11月4日並びに11月11日に3例続けて市内養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが発生しました。市では、1例目発生と同時に対策本部を立ち上げ、家畜伝染病予防法に基づいて防疫措置を担う岡山県からの要請に応じ、早期の事態収束に向けて、鶏の殺処分や消毒、汚染物処理、焼却場での廃棄物運搬などの防疫作業に延べ710人の職員を派遣するとともに、農場の従業員や出入りの事業者、防疫作業に当たった職員の健康観察業務等に医師、保健師など延べ36人の職員を派遣しました。市民の皆様に向けては、感染した鶏肉や卵が市場に出回ることはないこと、国内ではヒトに感染した事例は確認されていないことなどについて、学校園や公民館など公共施設への文書掲示やチラシの配布、市ホームページでの情報発信などにより、風評被害の防止に向けた周知に努めました。なお、市内における一連の防疫措置については、12月9日に全て終了する予定となっておりますが、全国の農場で昨日までに22例の高病原性鳥インフルエンザが発生していることから、引き続き県との情報共有と連携強化に努めてまいります。

次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてですが、7月から感染が再拡大したオミクロン株BA.5による感染第7波は、9月下旬には、感染者数も減少傾向となりましたが、11月22日には、倉敷市保健所管内で530人の感染者が発生し、岡山県全体でも2か月半ぶりに2,000人を突破するなど、再び増加傾向となっています。

感染対策の要となるワクチンの接種については、特に、10代から40代までの若い世代の接種率が、依然として低い状況であるため、本市では、ワクチン接種率の更なる向上に向けて、医療機関での接種のほか、仕事や学校等の都合で予約の取りづらい方のために、休日・夜間に予約無しでも接種が可能な集団接種会場を10月25日から天満屋倉敷店5階に開設しています。接種実績は、今までに開設した26日間で5,062人となっており、うち10代から40代までが約半数となるなど、若い世代が多く接種されています。なお、予約無し接種については、引き続き12月7日から11日、14日から18日、及び令和5年1月4日から8日までの計15日間で実施を予定しています。オミクロン株対応ワクチンは、初回接種(1・2回目接種)を終え、前回接種の完了から3か月が経過した12歳以上の全ての方が接種可能であり、現在、対象となる方に接種券を送付していますので、第8波による感染拡大に備えるためにも早期の接種を御検討いただきたいと思います。また、初回接種がまだお済みでない方は、倉敷市休日夜間急患センターにおいて、毎週木曜日・土曜日の夜間に初回接種を実施していますので、早期の接種を御検討いただきたいと思います。

また、この冬は、季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されており、医療提供体制がひっ迫するおそれがあります。市民の皆様には、季節性インフルエンザ及び新型コロナウイルスのワクチン接種に加え、これまで同様に、3密回避、マスクの着用、手指消毒、寒い時期でも十分な換気を行うなど、引き続き感染対策への御協力をお願いいたします。

次に、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興状況について御説明します。

真備地区では、建設型仮設住宅に入居されていた全世帯が住まいを再建され、9月26日までに退去されております。見守りや心のケア等の支援については、真備支え合いセンターが中心となって、借上型仮設住宅にお住まいの方をはじめ約35世帯に定期的な個別訪問を行うなど、引き続き支援を行っております。

治水対策については、令和5年度末までの完成に向けて、国の小田川合流点付替え事業が、68パーセントまで工事が進捗しています。

復興防災公園(仮称)については、11月下旬に公園の敷地造成工事に着手しました。

また、真備地区復興懇談会を10月9日の午前と午後の2回、マービーふれあいセンターで開催しました。主な御意見として、「河川工事の進捗はどうなっているか」「完成した施設や河川の維持管理をしっかり実施してほしい」「コミュニティタクシーの路線変更や空き地の雑草対策を考えてほしい」「復興防災公園の整備内容や活用方法を教えてほしい、名称は公募するのか」などの御意見を頂きました。

次に、真備地区復興計画推進委員会を11月2日に、真備保健福祉会館で開催し、7地区のまちづくり推進協議会や各種団体などの代表から、地域のコミュニティ活動の再開状況や地域の防災活動についての報告や、今後の復興に向けた御意見を頂きました。

今後も、被災された皆様に一日も早く安心して落ち着いた生活を取り戻していただけるよう引き続き全力で復興に向けた取組を進めてまいります。

次に、令和5年4月22日、23日に開催となるG7倉敷労働雇用大臣会合についてですが、10月11日に庁内組織「G7倉敷労働雇用大臣会合推進室」を立ち上げ、11月10日には、倉敷市をはじめ、岡山県や岡山県警、地域の労働雇用団体や経済団体、商工観光団体などで構成する「G7倉敷労働雇用大臣会合推進協議会」を開催し、官民一体となって準備を進めていくこととしました。今後、大臣会合開催に向けて、将来を担う若者や地域の皆様に、これまでの労働科学の歴史や現代の労働雇用の多様性について理解を深めていただくために、働くことをテーマにして意見交換を行い、地元から広く提言を発信していく地元主催イベントを開催したいと考えております。まずは、3月4日に、マービーふれあいセンターにおいて、市内の中学校26校の代表生徒が集う「倉敷こどもサミット」を開催する予定です。その後、3月下旬頃には、旭化成株式会社の名誉フェローでノーベル化学賞受賞者の吉野彰博士による基調講演をはじめとした、カーボンニュートラルやDXなど大きな構造変化の時代を迎える中での今後の労働雇用と社会のあり方について考えるシンポジウムを開催したいと考えています。また、市民の皆様とともに、まち全体での心温まるおもてなしを目指して、1月から、おもてなし英語講座の実施や、市民参加型の一斉清掃活動、花の植栽イベントなどを行ってまいります。さらに、世界から大臣や代表団が集われる大臣会合開催期間中には、開催場所となる倉敷美観地区をはじめとする本市の紹介と地域の食や文化なども紹介する地元主催歓迎レセプションの開催、労働と雇用が一体となって発展してきた地域の産業を紹介する視察などを通じて本市の魅力を世界に発信してまいります。

次に、大阪アンテナショップ事業についてですが、東京圏に次いで人口が多い大阪圏において、本市地域資源の更なる認知度向上による販路開拓や拡大、インバウンドを含めた国内外からの観光客誘致、移住促進など地方創生への取組強化を図るため、かねてより大阪中心部に本市の情報発信拠点を設けたいと考えておりました。そうした中で、令和5年春に、西日本最大のターミナル駅であるJR大阪駅に関空特急はるかの乗り入れが開始され、関西国際空港と直結することとなりました。また、令和7年には大阪・関西万博が開催され、大阪駅周辺に国内外から多くの観光客が訪れることが見込まれる状況の中、令和6年4月にJR大阪駅直結の大型複合施設がオープンし、自治体アンテナショップの集積フロアが開設されることとなり、全国の自治体に向けて出店募集が行われました。このため本市では、これを好機と捉えて、アンテナショップを開設したいと考えております。

次に、山陽ハイツ跡地整備事業についてですが、「自然や地形を活かした多世代が集う都市防災公園」をテーマに、都市公園の整備、防災・災害対応拠点の整備、公共施設の複合化・効率化と民間活力の導入などを基本方針として整備を進めるにあたり、11月11日に整備事業の優先交渉権者が決定しましたので、その内容などについて説明させていただきます。

山陽ハイツ跡地の約10ヘクタールを、レクリエーション・交流ゾーン、イベントゾーン、遊び・多目的広場ゾーン、自然ゾーン、駐車ゾーンの5つのエリアに区分して、災害時の利用も見据えて整備を行うこととしています。

まず、体育館及びグラウンドがあった場所を、レクリエーション・交流ゾーンとして、体育館跡地に2階建ての複合施設を整備します。この複合施設は、文化交流会館の文化練習室機能と、山陽ハイツの研修室機能を備えるとともに、75%以上の一次エネルギー消費量削減を満たすニアリーZEB(ゼブ)に適合した環境にやさしい施設とします。また、現在のグラウンドの一部はレクリエーション広場として、防球ネットやナイター照明、トイレ等を整備し、引き続き球技等の練習場所や各種レクリエーション活動等に御利用いただく予定としています。また、災害時には、マンホールトイレや自衛隊など災害派遣車両の駐車スペースとして活用します。

次に、体育館北側のテニスコート4面があった場所を、イベントゾーンとして、マルシェやフリーマーケットなどの多様なイベント利用ができる広場を整備するとともに、複合施設と一体的に活用できるように、野外ステージやテラスを設けます。また、災害時には、災害ボランティアの活動拠点となるほか、スマートフォン等の充電に利用可能なUSB電源が確保できるソーラーパネル付き照明や、炊き出しのための、かまどベンチの導入も予定しています。

次に、宿泊棟や研修棟があった場所を、遊び・多目的広場ゾーンとして、広い芝生広場を整備するとともに、岡山県内で最大級の規模となる大型総合遊具や、健康遊具、障がいのある子どもも利用できるインクルーシブ遊具を整備します。また、災害時に備えて耐震性貯水槽を整備するとともに、ヘリポートや仮設住宅用地としての活用も予定しています。

次に、宿泊棟南側の山林は、自然ゾーンとして四季を感じられる樹木を補植し、自然と触れ合いながらウォーキングなど健康づくりにつながる遊歩道を整備してまいります。

山頂のテニスコート2面があった場所は、駐車ゾーンとして、災害時の利活用も見据えた駐車場の整備、防災用あずまや・パーゴラの導入を予定しております。

なお、平常時には各ゾーン合わせて約300台の駐車区画となっていますが、災害発生時には一時避難場所として、レクリエーション広場やイベント広場、多目的広場も活用し、最大約1,000台の駐車を可能とする予定です。

現在、優先交渉権者と仮契約締結の準備中であり、今後は、今回の提案を基に具体的な設備やデザイン等を協議するとともに、来年2月に本契約を締結し、既存施設の解体工事や、新しく整備する施設の設計、建設工事に順次着手し、令和7年5月の完成を目指してまいります。