令和4年9月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。

はじめに、提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況について御説明いたします。

去る7月8日、安倍晋三元内閣総理大臣が突然の凶弾に倒れられました。安倍元総理は、長きにわたり我が国の発展に力を尽くされましたが、特に、平成30年7月豪雨災害では、発災直後に倉敷市を訪れて甚大な被害の状況を確認し、各省庁に大号令をかけて真備地区の早期の復旧・復興に多大なる御尽力をいただきました。心より感謝申し上げますとともに、衷心より哀悼の意を表します。

今年も、全国各地で豪雨被害が発生しており、8月3日からの大雨では、東北・北信越地方をはじめ各地で河川の氾濫や土砂災害による大きな被害が生じました。被災されました皆様に心よりお見舞い申し上げます。本市では、平成30年7月豪雨で被災した経験を基に、8月7日から、被害の大きかった新潟県村上市、関川村(せきかわむら)、山形県飯豊(いいで)町(まち)に職員6人を派遣し、飲料水・土のう袋・マスクなどの物資提供や災害廃棄物の円滑処理のための支援を行い、また、倉敷市社会福祉協議会が、8月15日から8月28日までの間、職員延べ6人を村上市に派遣して、災害ボランティアセンターの運営支援を行いました。

次に、新型コロナウイルス感染症への対応状況について御説明します。

感染力が強いオミクロン株BA.5の影響で、7月に入って第7波となり、新規感染者数が8月17日にはこれまでで最高の1,273人となり、8月20日まで4日連続で千人を超えました。多くの方が現在でも自宅療養されていることから、増大する保健所業務に対応するため、全部局から1日当たり約200人の職員を継続して派遣しています。

ワクチン接種につきましては、9月1日現在、3回目接種を終えた方は、60代以上では89.9パーセントが接種済に対して、60歳未満では58.1パーセント、とりわけ20代では50.8パーセント、30代では54.0パーセントなど若い世代の接種率が低い状況となっています。新型コロナウイルス感染症は、若い世代の方であっても、感染から回復した後も、倦(けん)怠感、頭痛、睡眠障害など様々な後遺症が報告されています。ワクチン接種は、感染による後遺症の軽減にも効果があるとされており、また特に、重症化リスクのある方については、重症化予防効果もありますので、3回目・4回目未接種の方は、御自身や大切な家族を守るためにも早めのワクチン接種の検討をお願いいたします。なお、9月7日から11日までの間、イオンモール倉敷において、休日・夜間に予約なしでワクチン接種できる会場を設けますので、仕事や学校で接種予約が取りづらい方にもご利用いただきたいと考えております。

また、国は、オミクロン株に対応した新たなワクチン接種を、2回目接種を終えられた満12歳以上の方全員を対象に10月開始予定を前倒しして実施するとされております。詳細がわかり次第、市民の皆様にお知らせしてまいりますが、このワクチンを自分が接種できる時期まで待たれると、前回の接種からの経過期間によっては抗体価が大幅に低下してしまいますので、既存のワクチン接種の検討もお願いいたします。現在、県のBA.5対策強化期間が9月30日まで延長されています。市民の皆様には、これまで同様に、できるだけ予防効果の高い不織布マスクの正しい着用、手指消毒、十分な換気の徹底、3密回避など、引き続き徹底した感染対策をお願いします。

次に、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興状況について御説明します。

平成30年7月豪雨から4年となる7月6日、災害によりお亡くなりになられました方々を追悼するとともに今後の復興への誓いを新たにするため、マービーふれあいセンターにおいて、「平成30年7月豪雨災害 倉敷市追悼式」を行いました。今年も、新型コロナウイルス感染症対策のため規模を縮小して行うこととし、御遺族や住民代表など約60人が参列され、式典後には、400人を超える市民の皆様が会場を訪れ、追悼の記帳・献花をされました。
現在、真備地区では、昨年度までに全ての公共施設が再開し、住まいの再建も仮設住宅に入居されている方が22人にまで減少するなど、復興は着実に進んでおりますが、引き続き見守りや心のケア等の支援として、倉敷市真備支え合いセンターが中心となって、仮設住宅にお住まいの方をはじめ約50世帯に定期的な個別訪問を行うなど、それぞれの状況に合わせた支援を行っております。

治水対策については、令和5年度末までの完成に向けて、国の小田川合流点付替え事業は、67パーセントまで工事が進捗し、8月17日には、新たな小田川の河道となる場所に架かる新柳(しんやな)井原(いはら)橋(ばし)が開通いたしました。高梁川の堤防強化は、既に川辺橋の上下流で護岸強化整備が完成し、今後、堤防道路の嵩(かさ)上げ及び居住地側の浸透対策を実施予定です。県の3河川は、引き続き、堤防嵩(かさ)上げ・強化等の工事を行っており、末政川では、陸閘(りっこう)解消を図るための有井橋架替工事が令和4年度中の完成に向けて進められています。

復興防災公園(仮称)については、6月下旬から国が河川敷の整備工事に着手しております。市も令和5年度末の完成を目指して設計を進めており、年内に公園工事に着手する予定です。 なお、今年中止となった「真備・船穂総おどり」の代替イベントとして、「真備・船穂小田川ふれあいフェスティバル」を、9月18日に小田川河川敷や堤防道路で開催することとなってり、スタンプラリーやステージイベント、地元農産物の直売などを行う予定で、地域のにぎわい創出につながることを期待しています。

今後も、被災された皆様に一日も早く安心して落ち着いた生活を取り戻していただけるよう引き続き全力で復興に向けた取組を進めてまいります。

また、全国的に頻発している自然災害から市民の皆様の安全を守るための防災・減災対策は、早急かつ最優先で取り組むべき課題であり、排水機場、河川、水路、ため池の改修や整備など市全体の浸水対策に積極的に取り組んでまいります。具体的には、福田東排水機場や連島第2排水機場の改修、倉敷川、西部排水路、汐入川、道口川等の河川浚渫(しゅんせつ)、玉島大川の護岸改修工事などを行うほか、別所池(真備地区)ほか4か所のため池改修及び19か所の防災重点ため池のハザードマップを作成いたします。

次に、コロナ禍における物価高騰対策として、水道を利用する皆様が新たに申請手続きをすることなく、家庭と企業の水道料金の基本料金2期分(4か月分)相当額を、市が経済支援として負担いたします。また、経済活動の停滞や自然災害による収入減少の影響を受ける農家に対して、リスクへの備えを強化し、経営安定化を図るため、農業経営収入保険料の一部を助成します。さらにウィズコロナにおける観光振興の推進として、修学旅行の誘致拡大に向けて、市内に宿泊する修学旅行生に対する助成金の対象人数拡大や、インバウンド回復に向けた外国語パンフレットやWEBページの作成、海外雑誌での情報発信等に取り組みます。また、移住定住を促進するため、3大都市圏をはじめとする都市部からの移住を希望される方等が、地域密着・交流型の暮らしやテレワークを体験できる滞在施設を下津井町並み保存地区内の古民家を活用して整備します。次に、コロナ禍により利用が大幅に減少している公共交通の利用促進や、外出機会の創出による地域経済活性化を図ることを目的として、路線バス・水島臨海鉄道の無料デーを、市内でのイベント開催日に合わせて9月24日(土)、10月9日(日)、10月16日(日)、11月5日(土)の4回実施いたします。多くの皆様が、公共交通機関を日常の移動手段として利用するきっかけとしていただくとともに、イベント等へもお出掛けいただき、地域経済活性化につなげてまいりたいと考えております。

次に、ゼロカーボンシティへの取組として、水島清掃工場で発電した電気を中国電力ネットワークの送電網を活用して本庁舎、下水処理施設等、計9つの公共施設にも自己託送により供給することで、1年間当たり約252t相当のCO2排出量削減を行い、また現在の燃料費調整単価で換算すると約7,000万円の電気料金削減効果を見込んでいます。さらに、倉敷市水道局片島浄水場内の敷地を活用して、県内の自治体では初の取組みとなるPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)モデルによる太陽光発電設備の導入を行うことで、1年間当たり約270t相当のCO2排出量削減を行い、電気料金で約400万円の削減効果を見込んでいます。また、原油価格高騰対策にも資する家庭用電気自動車の購入に対して、エコタイヤの装着と、車両の走行距離等に関する実績報告に御協力いただける方に、購入費補助金として1台当たり15万円で300台を対象に助成してまいります。

最後に、倉敷市モーターボート競走場について、ファンの皆様のニーズに対応した観覧席の設置、子どもの遊び場、フードコート、屋外と一体利用可能な多目的イベントホールの新設などに加え、環境に配慮し、防災機能も備えたコンパクトなスタンド棟施設整備基本設計を8月に策定しました。今後の施設整備に当たっては、「だれもが訪れ 快適な時間を過ごせる 拓(ひら)かれたボートレース児島」を基本理念として進め、令和8年度中の事業完了を目指してまいります。