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熱水鉱脈鉱床    
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溶質(ケイ酸分・炭酸イオン・硫化水素・硫酸イオン・銅・鉛・亜鉛・金・銀・アンチモン・ヒ素など)を溶かし込んだ熱水(150〜374℃程度)が,すでに存在していた岩石の割れ目の中に入り込み,その中でそれらの溶質が沈殿してできる。


       金鉱脈のでき型の例

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鉱脈は岩石の割れ目を満たしたもので板状の形態だが,地表(露頭)では帯状の断面として見える(下写真)。熱水鉱脈鉱床は数〜数10枚の鉱脈が集まってできていることが多い。



地表での鉱脈の例
これは小規模な石英を主とする灰白色の鉱脈だが,少量のタングステン鉱物の鉄マンガン重石を含む金属鉱脈(タングステン鉱脈)である。鉱脈は下図のように板状だが,野外ではその断面が露出していることが多いので,このような細長い帯状に見える場合が多い。


地表での鉱脈の例
これは小規模な石英を主とする白色の鉱脈だが,いくらかの黄銅鉱を含む金属鉱脈(銅鉱脈)である。鉱脈は下図のように板状だが,野外ではその断面が露出していることが多いので,このような細長い帯状に見える場合が多い。


鉱脈の全体図



鉱脈の各部の呼び名(断面図)


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●鉱脈のでき方  例1:典型的な場合

※できつつある鉱脈が途中で崩れて不規則な形になっている場合も少なくない。
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●鉱脈のでき方  例2:角れき状鉱脈



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有用元素の資源として採掘される鉱脈の例


銅鉱脈 兵庫県生野鉱山
流紋岩の母岩の割れ目にできた,銅を含む金色の黄銅鉱と白い石英からなる銅鉱脈。
なお,鉱脈のきわの母岩(流紋岩)は熱水変質を強く受けて白っぽくなっている。


亜鉛鉱脈
 兵庫県生野鉱山

流紋岩の母岩の割れ目にできた,黒い閃亜鉛鉱からなる亜鉛鉱脈。鉱脈のまわりの流紋岩(母岩)は熱水変質を強く受けて白っぽくなっている。




鉛・亜鉛鉱脈 
左:兵庫県生野鉱山,右:秋田県太良鉱山(Gn:方鉛鉱,Sp:閃亜鉛鉱,Qz:石英)

鉱脈鉱床の鉱石は上左のように明瞭な縞状組織(沈殿組織)を示すものがあるが,幅が数10cmを超える鉱脈から採取された試料では上右のように縞状組織が見られない塊状のものも多い。白い部分は石英・黒い部分は方鉛鉱と閃亜鉛鉱の集合体。
一般に方鉛鉱と閃亜鉛鉱はこのように密に伴うことが多い。


銅・鉛・亜鉛鉱脈
  兵庫県明延鉱山

母岩の際から右→左の順に徐々に各種鉱物が沈殿してできた銅・鉛・亜鉛鉱脈の一部。石英(Qz)・方鉛鉱と閃亜鉛鉱(Gn+Sp)・閃亜鉛鉱(Sp)・黄銅鉱(Cp)が整然と沈殿している。
なお,一般に方鉛鉱と閃亜鉛鉱はこの様に密に伴うことが多い。


錫鉱脈  兵庫県明延鉱山
石英(Qz)と錫石(Cas)がきれいな縞状に沈殿してできた錫鉱脈。
緑色部は風化作用で銅鉱物が分解してできた孔雀石で,鉱脈の形成とは無関係。


銅・錫鉱脈  兵庫県明延鉱山
白い石英・金色の黄銅鉱・錫石(Cas)が縞状に沈殿してできた銅・錫鉱脈。錫石は褐色の細線や微粒集合体で目立たないため注意が必要である。