花こう岩中の石英(せきえい) quartz [戻る]

花こう岩中の石英は多くの場合,灰色でガラス光沢があり透明感がある。普通は2〜8mm程度で不規則な粒状。長石類や黒雲母などとともに等粒状組織をなす。
灰色の着色原因は,花こう岩自身に微量に含まれるウラン,トリウムなどの放射性元素からでる放射線(γ線)により,石英中の微量のアルミニウム原子の電子状態が変わることで光の吸収を起こしているためである。この石英はできた当初は無色だが,長い年月にわたるγ線の影響で徐々に光の吸収部が増え,無色→淡灰色→灰→黒色になっていく(一般に,古い時代の花こう岩ほどその中の石英は暗色で,黒色に近い)。街中で石材として用いられている花こう岩は大陸地域の約10億〜25億年前のもので,日本の花こう岩(数1000万〜約1億年)に比べ非常に古く,石英の色は黒に近いものが多い。

     

約8000万年前の山陽地方の花こう岩中の石英(矢印先)
ガラス光沢が強い透明な灰色粒状。

約17億年前のフィンランド(安定陸塊)の花こう岩中の石英
このような時代の古い花こう岩中のものは,ほどんど黒色で黒雲母と紛らわしい。
街中でビルなどの装飾石材として用いられている花こう岩は,このような大陸地域(安定陸塊)の約10億〜25億年前のものが多い。日本のものに比べ粗粒で,全体に派手な模様や濃い赤色・褐色系のものが多く,その中の石英はこれと同じく黒に近いものが多い。

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花こう岩中の石英 quartz
色/淡灰色・灰色(なお,大陸地域の約10億〜25億年前の花こう岩中のものは黒色に近いものが多い)。
透明度/透明〜半透明。
光沢/ガラス光沢
硬さ/ナイフより硬い
形態/粒状
へき開/不明瞭(認められない)
成分/二酸化ケイ素:SiO2