かんらん石(かんらんせき) olivine  [戻る]

かんらん石は主に火成岩(主に苦鉄質や超苦鉄質の火成岩)に含まれる。ほかにはドロマイトスカルン中に微粒で含まれることがあるが,一般に変成岩中にはまれである。
通常,かんらん石と呼ばれているものはマグネシウムに富む苦土かんらん石(フォルステライト forsterite)という種類が多い。

※宝石名でペリドットと呼ばれているものは美しい緑色のかんらん石である。なお,かたまり状のかんらん岩は砕いて耐火材とされる。
※マグネシウムよりも鉄に富むものは鉄かんらん石といい,ペグマタイトに黒褐色塊状で産することがある程度で,一般的な造岩鉱物ではない。
※マンガンの多いものはテフロ石といい,接触変成作用を受けた層状マンガン鉱床に産し,マンガン鉱石として採掘されるが,これも一般的な造岩鉱物ではない。

---------------------------------
かんらん石(かんらんせき) olivine

色/緑〜黄色,やや鉄に富むものは褐黄色
透明度/透明〜半透明
光沢/ガラス光沢
硬さ/ナイフより少し硬い
岩石中で見られる形態/小さな粒状,かたまり状(かんらん岩)
へき開/ほとんど認められない
成分/マグネシウム・鉄のケイ酸塩:(Mg,Fe)2(SiO4)  ※通常は鉄よりもマグネシウムに富んでいる苦土かんらん石である。



玄武岩中のかんらん石の例
透明感のあるオリーブ色粒状。
玄武岩には広くかんらん石が含まれるが,多くの場合,その斑晶はこのように1〜2mm程度の小さなものが少量見られるだけで観察には注意がいる。


玄武岩中のかんらん石の例
これはかんらん石の斑晶(矢印先)を多く含む玄武岩。黄緑色透明粒状で,しばしば3mm以上に達する。




安山岩中のかんらん石の例
中央の透明感のある褐黄色粒状のもの(周囲の灰色の部分は石基)。安山岩中のかんらん石は玄武岩中のものに比べやや鉄に富み,緑色味は感じられず,褐黄色のことが多い。頑火輝石に似るが,赤みを帯びることはあまりなく,へき開は認めがたい。
なお,安山岩はかんらん石を含まないものの方が多い。




はんれい岩中のかんらん石の例
中央やや上寄りの透明な褐黄色の粒。その周囲の黒いものは普通輝石や頑火輝石。白色部は斜長石。はんれい岩にはかんらん石は目につくほど多く含まれていることは少ない。かんらん石を含まないはんれい岩も多い。


急激な火山活動で地表へ放出されたかんらん岩中のかんらん石

地下深所の上部マントルの玄武岩マグマに取り込まれ,ゼノリス(捕獲岩)として地表にもたらされたかんらん岩を構成するかんらん石は,美しい透明な黄緑色粒状の集合体(等粒状組織)で,暗オリーブ緑色の頑火輝石(青矢印先)やエメラルドグリーンの透輝石(黄矢印先),黒色のクロムスピネル(赤矢印先)の粒と組み合っている。



造山帯のかんらん岩を構成するかんらん石の例
これは大部分がかんらん石からなるダナイトと呼ばれる かんらん岩。このかんらん石はくすんだ黄緑色で緻密塊状(圧力にによる変成作用を受けており,個々の粒子は肉眼で識別できない)。
なお,矢印の先の黒粒はクロムスピネル。