[パイロープ/苦ばんざくろ石]
[アルマンディン/鉄ばんざくろ石]
[スペサルティン/満ばんざくろ石]
[グロッシュラー/灰ばんざくろ石]
[アンドラダイト/灰鉄ざくろ石]
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パイロープ/苦ばんざくろ石(くばんざくろいし) pyrope
非常に高圧でできた変成岩(超高圧変成岩)や,かんらん岩やキンバレー岩に時に見られる。日本では愛媛県東赤石山のかんらん岩中にわずかに産出が知られている程度。
色/無色・桃〜赤色,時に深紅(一般にアルマンディンよりやや色が淡く,褐色がかることは少なく,桃色〜紫色系の赤)
透明度/透明〜半透明
光沢/ガラス光沢
硬さ/ナイフより硬い(モース硬度7.5で,他のざくろ石よりもやや硬い)
岩石中で見られる形態/粒状
成分/マグネシウム・アルミニウムなどのケイ酸塩:Mg3Al2(SiO4)3
※大抵はマグネシウムの代わりにいくらかの鉄が含まれ,その量が多くなるとアルマンディンになる。
かんらん岩中のパイロープ(Py)の例 (Opx:斜方輝石,Ol:かんらん石) 紫紅色粒状。南アフリカのキンバレー岩中の岩片として産した,ざくろ石かんらん岩中のもので,パイロープ成分は約70%。丸い粒状で,5〜10wt%のCr2O3を含むため,かなり紫色が強い(パイロープ−ノリンジャイト系ざくろ石)。このざくろ石かんらん岩はダイヤモンドの生成場である地下約200kmに分布している岩石。 このかんらん石はやや蛇紋石化して部分的に灰黒色になっている。 |
かんらん岩中のパイロープの例 桃紅色粒状。愛媛県東赤石山の造山帯のかんらん岩中のもので,同様のものは外国ではチェコ,ドイツ,スイス,ノルウェーなどに知られ,チェコではそのパイロープは風化帯の砂礫から宝石資源として採掘され,ボヘミアンガーネットと称されイヤリングなどの宝飾品に加工されている。 写真の愛媛県東赤石山のものは,パイロープ成分が60〜70%に達し,20%程度のアルマンディン成分と15%程度のグロッシュラー成分を含む。周囲の暗緑色部は輝石類・かんらん石。 一般にかんらん岩中のパイロープは周囲をコロナ状の輝石類などに取り巻かれていることが多い。 |
超高圧変成岩(エクロジャイト)中のパイロープの例(矢印先) アルプス山脈付近のプレート運動で地殻物質が地下100km以深に引き込まれて3万気圧以上の変成作用を受けてできた超高圧変成岩中のパイロープ。主成分以外の成分(鉄など)をほとんど含まないため,無色に近い(ごく淡い桃色)。SiO2の高圧相であるコーサイトを包有する。 |
結晶片岩(角閃石片岩)中のアルマンディンの例 赤色粒状〜12面体の半自形。黒い部分は普通角閃石,白い部分はソーダ雲母,淡褐色の部分は斜灰れん石。 |
片麻岩中のアルマンディンの例(矢印先) 赤褐色粒状。白っぽい部分は長石類や石英,小さい黒い部分は黒雲母。片麻岩中のアルマンディンはこのような1〜3mm程度のものが多い。下方のやや大きい粒は自形で,その結晶面が反射している。 |
グラニュライト中のアルマンディンの例 赤褐色粒状。ややマグネシウムを含むことが多い。 黒い部分は輝石類(やや角閃石類に変質している),白い部分は斜長石(ややぶどう石に変質している)。 |
エクロジャイト中のアルマンディンの例 赤色粒状。一般的にエクロジャイト中のものはやや著量のマグネシウム・カルシウムを含む。写真のもの(愛媛県東赤石山産)はアルマンディン成分約50%,パイロープ成分約30%,グロッシュラー成分約20%のもの。緑色部分は透輝石。 |
安山岩中のアルマンディンの例 赤色粒状。黒い斑晶は黒雲母,白い斑晶は斜長石。 ざくろ石類は身の回りの火成岩中に含まれることは比較的少ないが,含まれる場合,アルマンディンのことが多い。 |
結晶片岩(ケイ質片岩)中のスペサルティンの例 微粒子の集合体が黄色の層状をなす(矢印先)。灰色の部分は石英。 |
スカルン中のグロッシュラーの例 褐色層状部分。結晶質石灰岩と花こう岩との接触部に沿い,白いケイ灰石と平行な粒状集合体の層をなす。グロッシュラーはスカルンに産する場合,火成岩(花こう岩など)に近い方にできる傾向がある。 |
スカルン中のアンドラダイトの例 緑褐色粒状集合体。やや下方には12面体の結晶面が反射している。 |
カーボナタイト中のアンドラダイトの例 カーボナタイトは,炭酸塩のマグマが冷えて固まってできた特殊な火成岩で大陸に産する。 白い部分は主に方解石で,暗色の部分がTiを含むアンドラダイトや,磁鉄鉱,パイロクロア((Na,Ca)2(Nb,Ta)2(O,OH,F)7) を伴う部分。 |