ホルンフェルス中の黒雲母(くろうんも) biotite   [戻る]

泥質ホルンフェルスに特に多く含まれ,それが褐色系の色をしているのは微細な黒雲母を多量に含むためである(黒雲母を含まない泥質ホルンフェルスは少ない)。また,砂質ホルンフェルスにも若干含まれていることが多い。黒雲母は泥質ホルンフェルスでは多量に含まれるものの,肉眼では個々の粒子はルーペでも認められないほど微細なことが多い。ただし,割れ目に沿った部分ではルーペで認められる程度に粗くなっていることがある。針先で簡単に傷つくほど軟らかい。
そのほか,はんれい岩などの火成岩が接触変成作用を受けた場合,その中の輝石類などの有色鉱物が黒雲母に変化することがある(火成岩から変化したホルンフェルス中の黒雲母は,もともとの火成岩に含まれていた黒雲母と肉眼では判別しにくい)



泥質ホルンフェルス中の黒雲母
非常に微細で個々の粒子はルーペでも分からないことが多い。時に写真のように,へき開面(矢印先)が反射して金褐色に光って見えることがある(なお,この写真全体が暗紫褐色なのは多量に含まれる微細な黒雲母のためである)。
一般的に泥質ホルンフェルスは緻密で,斑状変晶以外は個々の鉱物粒子は識別できないが,その褐色系の色は黒雲母を多量に含むためである。
白っぽい粒は,もとの泥岩中の泥粒が接触変成作用により,若干,粗粒化した石英や長石類。





偏光顕微鏡で見た泥質ホルンフェルス中の黒雲母
偏光顕微鏡下では変成作用を受ける前の泥岩中の泥粒(石英や長石類)の隙間に,変成作用で黒雲母が無数に生じているのがわかる(平行ニコルで褐色に見えるのが黒雲母)。


――――――――――――
ホルンフェルス中の黒雲母 biotite
色/褐色。個々の粒子が認められなくても泥質ホルンフェルスが褐色系の色をしているのは微細な黒雲母を多量に含むためである。
透明度/亜半透明〜不透明
光沢/微細なためわかりにくいが,ルーペではギラッとした樹脂光沢の微粒子がチカチカ光って見えることがある。
硬さ/ナイフで簡単に傷つくが微細なためわかりにくい。
形態/粒状・板状だが,微細なため,わかりにくい。。
へき開/薄くはげるように1方向にきわめて完全。
成分/カリウム・鉄・マグネシウムなどのアルミノケイ酸塩:K(Fe,Mg)3(AlSi3O10)(OH,F)2