花こう岩中の黒雲母(くろうんも) biotite  戻る]

黒雲母は主にケイ長質岩に含まれる有色鉱物で,特に深成岩である花こう岩にはたいてい含まれている(※ケイ長質岩でありながら火山岩である流紋岩にはわずかしか含まれないことも多い)。なお,中性岩である閃緑岩・安山岩にも顕著に含まれることがある。
花こう岩中の黒雲母は,粒状や不規則破片状で,6角形の自形をなすことはやや少ない。褐黒色のもののほか緑黒色のものもある(火山岩中のものはほとんど褐黒色のものだけ)。いずれも針で簡単に傷がつき,また,針で強く突くと薄くはげるように崩れる。

※花こう岩が風化する過程では,黒雲母が最も早く分解し,その鉄分がしみ出て褐色の水酸化鉄となり,周囲の長石類や石英などが褐色に汚染される(下の右写真)。そのため,風化した花こう岩は全体が褐色がかって見える。

※黒雲母を多く含む岩石が風化した土壌からはまとまった量の風化した黒雲母(バーミキュライト)が採取されることがあり,それを加熱脱水した金色粉状のものが園芸用土譲として利用される。



花こう岩中の黒雲母
不規則片状をなすことが多く,火山岩中のもののように6角形の輪郭を示すものはやや少ない。
板状の面に沿って薄くはげるように割れ,その面(へき開面)には強い樹脂光沢がある(左の2つの矢印先のもの)。
板状の面以外の方向に割れたものは,あまり光沢がない(右の2つの矢印先のもの)。
いずれも針で簡単に傷がつく。


風化しかかった花こう岩中の黒雲母

風化作用で黒雲母(矢印先)が分解し,その鉄分がしみ出して水酸化鉄となり,周囲の長石類や石英が褐色に汚染されている。
黒雲母自体は爪先で崩れるくらいもろくなっている。

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花こう岩中の黒雲母 biotite
色/褐黒色・緑黒色
透明度/不透明
光沢/へき開面は樹脂光沢。それに以外の方向ではあまり光沢がない。
硬さ/ナイフで簡単に傷がつく。
形態/不規則小片状・粒状。時に6角板状。
へき開/板の面にきわめて完全。針で突くと薄くはげるように割れる。
成分/カリウム・鉄・マグネシウムなどのアルミノケイ酸塩:K(Fe,Mg)3(AlSi3O10)(OH,F)2