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結晶質石灰岩
 石灰岩が接触変成作用を受けて変化してできたもので,石材名で「大理石」と呼ばれているものの多くはこの結晶質石灰岩である。接触変成作用による再結晶化で,もとの石灰岩に含まれていた不純物が取り除かれ,純白色に近い色をしているものが多い。ほとんど方解石の粒子だけから できており,割れ口はその粒子がキラキラと反射する。石灰岩はマグマから派生した高温の流体に溶けやすいので再結晶化しやすく,接触変成作用では泥岩・砂岩などの他の岩石に比べ,粒度が粗くなりやすい。もとの石灰岩と同じく,軟らかく,ハンマーでこすると簡単に傷がつき,有機化学工業,製鉄,セメントなどの原料として用いられる。

日本では九州地方北部〜中国地方,中部〜関東地方など,石灰岩と花こう岩が共に分布している地域に見られる。
岡山県内では西部に見られる。

きれいな模様があるものは「大理石」と称し,装飾石材としても利用される(右写真)。




装飾石材(「大理石」)として用いられている板状に研磨された結晶質石灰岩。イタリア産が有名。


結晶質石灰岩
左は接触変成作用の程度が弱いもので方解石の粒度が1mm程度の細かいもの。元の石灰岩中の不純物が炭質物として残り,灰色の部分が見られる。接触変成作用を与えた火成岩からやや離れたところに分布し,変成していない石灰岩に移り変わる。
右は接触変成作用の程度が強いもので方解石の粒度が3〜5mm程度の粗いもの。元の石灰岩中の不純物はおおむね分解し,純白色に近い。接触変成作用を与えた火成岩からやや近いところに分布し,時に褐色〜緑色粒状の灰鉄柘榴石や白色針状のケイ灰石などのスカルン鉱物を伴うことがある。