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コマチアイト  komatiite

コマチアイトは,地球内部の物質がまだ十分に分化していない25〜35億年前,ケイ酸分(SiO2)が約45%以下の超苦鉄質岩の成分(上部マントルの かんらん岩の成分)をもつ,1600℃に達する超高温のマグマが地表へ噴出して固まったものである。
オーストラリア,カナダ,アフリカなど,25億〜35億年前の岩石が広く分布している安定陸塊にかぎって見られ,しばしば,ニッケル,金など の鉱床を伴う。日本には産しない。
板状に細長く伸びたかんらん石が見えるのが特徴の一つである(スピニフェックス組織)。なお,含まれるかんらん石・透輝石・ガラスなど は,地下水や熱水などの影響で,蛇紋石・アクチノ閃石・滑石などに変質していることが多い。

※なお,蛇紋岩が花こう岩マグマなどによる変成作用をうけて,変成鉱物としてのかんらん石が粗大な板状に成長し,コマチアイトのスピニフェックス組織に酷似した組織を示す「かんらん岩」になっている場合がまれにある。このようなものは国内では熊本県松橋や茨城県町屋などに見られる。コマチアイトのかんらん石は0.2〜0.3%程度のカルシウムを含むが,変成作用を受けてできたた「かんらん岩」中のかんらん石のカルシウム含有率はおおむね0.1%以下である。

コマチアイト
コマチアイト
淡色の細長く伸びたかんらん石の結晶が多く見られる。かんらん石はこのような平行集合体のこともあるが,放射状集合体の場合も多い。
なお,生成後の変質作用でこのかんらん石や周りの石基はほとんど蛇紋石・アクチノ閃石・滑石などに変質している。
また,少量の黒い粒状のクロムスピネルが含まれる。
オーストラリア産