【硫黄(いおう)】(16族 元素記号:S)    [周期表へもどる]
 
<自 然界での産出>
 硫黄は金属鉱床に多く含まれている元素で,資源的には火山地域で産する自然硫黄や,硫化鉄鉱鉱床を形成する黄鉄鉱から得られる。
 また,原油 の精製の際に副産物として得られるものも重要。
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硫黄は自然界では主に−2,0,+4,+6の価数をとっている。

−2価の状態)主に硫化水素(H2S)や各種の硫化鉱物(磁硫鉄鉱FeS,黄銅鉱CuFeS2,閃亜鉛鉱ZnS,方鉛鉱PbS,輝銀鉱Ag2Sなど。金属光沢がある)として見られ,これらは遊離酸素(空気)に乏しい還元的な地下深部の環境で安定で,地表近くの遊離酸素に富む酸化的な条件では不安定である。例えば,磁硫鉄鉱は地下深部のマグマやガス,高温の熱水からできる。それは地表の空気にさらされると,遊離酸素・水分と反応して粉状の硫酸鉄(FeSO4・7H2O)などに変化し,硫黄は+6価の状態になる傾向がある。
しかし,地表近くでも,有機物のような還元物質に富む泥などの堆積物中には硫化鉱物(および硫化水素)が生成することがある。

0価の状態)自然硫黄(8つのS原子が環状に結合してS8分子を構成)として見られる。火山地帯などの地表付近に地下深部から硫化水素(H2S)のガスが噴き出し,それと地表付近の亜硫酸ガス(SO2)が下のように反応してできる。
2H2S + SO2 → 3S(自然硫黄:3/8S8) + 2H2O

+4価の状態)亜硫酸ガス(SO2)や,それが水に溶けた亜硫酸水素イオン(HSO3)として存在する。亜硫酸水素イオンは,地表近くの酸素の多い条件では,酸化して+6価の状態(硫酸イオン SO42−)に変化しやすい。

+6価の状態)硫酸イオン(SO42−)や各種の硫酸塩鉱物(石膏CaSO4・2H2O,重晶石BaSO4など)として存在し,地表近くの遊離酸素に富む条件で安定。これは火山地帯や温泉地帯で,地下深部から吹き出した硫化水素(H2S)を溶かした熱水が空気に触れることで,空気の遊離酸素(O2)が熱水に溶け込み,そのH2Sが酸化されて硫酸イオン(SO42−)になったものである。この硫酸イオンは水中で各種陽イオン(Ca2+,Ba2+など)と結びつきやすく,石膏,重晶石などの硫酸塩鉱物として沈殿する。したがって硫酸塩鉱物は比較的,浅所で生成し,地下深部にはあまり存在しない。
<用途>
 硫黄は硫酸などの様々な化学薬品や,ゴムの製造に用いられる。

硫黄
自然硫黄 native sulfur
成分:単体の硫黄  S8
火山の噴気孔などで生成する。96〜113℃で安定な単斜晶系のものと,96℃以下で安定な斜方晶系のものとがある。113℃で溶融し,しばしば溶融した硫黄が噴気孔から流れ出していることがある。鉱物としては珍しく分子結晶で,S8分子が ファンデルワールス力で結びついている


黄鉄鉱  pyrite
成分:硫化鉄  FeS2
やや淡い金色で最も普通に産する硫化鉱物。このような緻密塊状のほか,6面体,8面体,12面体などの結晶形で産出。黄鉄鉱は硬いものに打ち付けると火花 が出やすい ので,古 くは石英とともに火打ち石として多用された。黄鉄鉱の英名のパイライト(pyrite)は火の石という意味がある。
 黄鉄鉱というが鉄鉱石としては重要でなく, 加熱して亜硫酸ガス(SO2)として硫黄を回収し,その後,酸化鉄に変化したものを鉄鉱石として利用する
・岡山県美咲町柵原鉱山

重晶石 barite  
成分:硫酸バリウム BaSO4
  
無色,白色,または淡青色,淡褐色。塊状のほか,写真のような菱形板状の結晶形を示すこともある。密度が4.5g/cm3に達し,見かけによらず重く感じる。胃のレントゲンの造影剤と同じ物質。
 重晶石や石膏(CaSO4・2H2O)のような硫酸塩鉱物中の硫黄は+6価の状態(SO42−)であり,地表近くの浅い場所で空気(遊離酸素)が多く溶け込んだ酸化的な熱水(溶存している硫黄の化学種としては硫酸イオン(SO42−)が卓越)から沈殿してできる。したがって,このような硫酸塩鉱物は地下深部の酸素に乏しい還元的な環境では生成しない。
・北海道勝山鉱山産