【ランタン】(3族 元素記号:La)   [周期表へもどる]
 
<自然界での産出>
 希土類元素。炭酸塩のマグマが冷えて固まってできたカーボナタイトという特殊な岩 石中のバストネス石に他の希土類元素とともに含まれて産出するものが 資源として重要。
 
 また,花こう岩に伴われるペグマタイトという岩石中にも,褐れん石やモナズ石などとして少量含まれている。

セリウムやランタンなどの希土類元素の発見の経緯)
 1803年,スウェーデンのベルゼリウスとヒシンゲルが,スウェーデン リダールヒッタンの鉄鉱山であるバストネス鉱山から産出した鉱物から新元素を見出し,「セリア」と 名付けたのが,セリウムの発見である(その鉱物はその新元素名にちなみ,セライトと名付けられた(下右写真))。
 そして,1839年,ベルゼリウスが残した「セリア」に,その弟子のスウェーデンのモサンダーが別の元素が混ざっていることを疑い,抽出の結果,新元素ランタンが見いだされた。そして「セリア」からランタンとともに分離されたものが「ジジミウム」である。当時「ジジミウム」は1種類の元素とされたが,未知であったプラセオジム(Pr)・ネオジム(Nd )などのいくつかの希土類元素の混合物で,後年,それらが新元素として「ジジミウム」から分離・発見されていった。
 なお,イットリウムや比較的原子番号が大きいランタノイドは,19世紀にスウェーデンのイッテルビーのペグマタイトから産出したガドリン石などから分離・抽出され発見された。
 このような希土類元素(特にランタノイド)は19世紀当時の技術では分離が難しかったため,それに関する研究は困難を極めた。
<用途>
 セリウムなどと共に発火合金として用いられる。
 また,ホウ化ランタン(LaB6)は電子顕微鏡の電子銃として用いられる。

バストネス石
バストネス石 bastnaesite

希土類元素の炭酸塩  (希土類)(CO3)F
 顕微鏡的な細かい粒子でカーボナタイト中にしばしばまとまって産出する。
・アメリカ カリフォルニア州 マウンテンパス産
モナズ石
モナズ石 monazite

成分:希土類元素のリン酸塩  (希土類)PO4
 黄褐色,緑褐色の小さな板状結晶として産出する。多少のトリウムを含み,放射能がある。これは花こう岩に 伴われるペグマタイトから産出したもの。
・福島県石川産

セライト cerite
成分:希土類元素などのケイ酸塩
(希土類)9(Fe3+,Mg)(SiO4)6(SiO3OH)(OH)3

 これはスウェーデン リダールヒッタンにあるバストネス鉱山から産出したもので,セリウムやランタンなどの発見のきっかけとなったもの。やや赤みを帯びた暗灰色塊状で,鉄鉱床から褐れん石とともに産出。
・スウェーデン リダールヒッタン バストネス鉱山