【カルシウム】(2族 元素記号:Ca)   [周期表へもどる]
 
<自然界での産出>
 炭酸カルシウム(CaCO3)である方解石(石灰岩)や硫酸カルシウム(CaSO4・2H2O)である石膏として多産する。また,変成岩や火成岩を構成している斜長石・角閃石類などの中に多少なりとも含まれている。地殻の構成元素としては酸素・ケイ素・アルミニウム・鉄に次いで多い(4.2%)。資源としては石灰岩が重要
 なお,哺乳類の骨はリン酸カルシウム(Ca5(PO4)3(OH))でできている。
<用途>
 塩化カルシウム(CaCl2)は道路の凍結防止剤として用いられる。
 酸化カルシウム(生石灰 CaO)は,乾燥剤として用いられる。
 水酸化カルシウム(消石灰 Ca(OH)2)は酸性土壌の中和剤として用いられる。

方解石 
 方解石 calcite
成分:炭酸カルシウム CaCO3
 白,無色,淡黄,淡灰,淡青色などでマッチ箱を対角線に押しつぶしたように割れる(@)。
 塊状で産出するものは石灰岩といい資源的に重要で,炭酸カルシウム からなるサンゴや貝殻などの遺骸がたい積して固まってできる場合が多い(A)。石灰岩は地下水な どの作 用で徐々に溶け,石灰岩地域の地下には鍾乳洞が発達する。その中には溶けたものが再沈殿しててできた鍾乳石(B)が見られ,これも方解石からできている。
 方解石は複屈折が大きく,透明な方解石の下に置いた物は二重に見える(C)。
  いずれも塩酸に二酸化炭素の泡を出して容易に溶ける。
花こう岩 
斜長石
  斜長石 plagioclase 
成分:ナトリウム・カルシウムを主とするケイ酸塩  (Na,Ca)(Al,Si)4O8
 地殻の岩石中に多く存在。白色,あるいは青白い色をしていることが 多い。ナイフと同じくらいの硬さがある。上のものは花こう岩中のもの,下のものは安山岩から取り出した結晶。
・上:岡山県岡山市万成産
・下:長野県上田産
あられ石
 あられ石 aragonite

成分:炭酸カルシウム CaCO3
 方解石と成分は同じだが,結晶構造(原子の結びつき方)が異なる。蛇紋岩の割れ目や,金属鉱床の粘土中に白っぽい集合体で産出する。
 貝殻や真珠の表面はあられ石からできている。
  塩酸に二酸化炭素の泡を出して容易に溶ける。
・岡山県新見市大佐山産
石膏
  石膏(せっこう) gypsum
成分:硫酸カルシウム CaSO4・2H2O
 熱水や地下水からカルシウム分が硫酸分と結びついてできる。石膏は骨折した時のギ プスや彫刻などに用いられる
 石こうは本来無色だが,これは砂漠の地下水から生成したもので,細 かい砂粒を多く含む褐色の板状の結晶集合体で,「砂漠のバラ」と呼ばれる。
・サウジアラビア ネフド砂漠産