【炭素(たんそ)】(14族 元素記号:C)  [周期表へもどる]
 
<自然界での産出>
 単体でダイヤモンドや黒鉛として産出することもあるが,炭酸カルシウム(CaCO3)である方解石(石灰岩)や,多種の有機化合物(石炭や生物体)として産出するものが多い。また,空気中には二酸化炭素(CO2)として0.04%存在する。
<用途>
 化合物としてさまざまな有機化学工業で幅広く使われている。
 単体の炭素には原子の結びつき方が異なるいくつかの同素体(多形) があり,ダイヤモンドと黒鉛(石墨)はよく知られている。ダイヤモンドはあらゆる物質中でもっと も硬く,その硬度を生かして各種の切削工具や研磨剤,宝石に用いられている。一方,黒鉛は非常に軟らかく鉛筆の芯などに用いられる。

グラファイト
黒鉛 graphite 

成分:炭素 C
 黒く,非常に軟らかく,紙に字が書ける。 有機物を含んだたい積岩が地下深部でゆっくりと熱の作用を受けてできることが多い。
・富山県千野谷鉱山産
ダイヤモンド
ダイヤモンド
ダイヤモンド diamond

成分:炭素 C
 地下深部の6万気圧程度の高圧条件で生成。地下200kmくらいの深部から地表付近へ急上昇してきたキンバレー岩(右写真)などから産出。
 上写真のような3角形の面を持つ8面体や,12面体や3角板状の結晶形を示すもののほか,下写真のような不定形粒状のものもある。
 無色,桃色,青色,黄色などの透明なものは宝 石として用いられるが,天然の物は約8割が下写真のように不透明な灰黄色や灰色などで,それらは宝石ではなく工業用に用いられる。
 なお,ダイヤモンドも近年では工業用・宝石用に人工的に盛んに合成されている。
・上写真/南アフリカ産(径2.5mm)
・下写真/コンゴ産(径3.5mm)
キンバレー岩
キンバレー岩 kimberlite

ダイヤモンドを含む岩石。蛇紋石や地下深部の石の破片が混ざった暗緑色のもろい岩石。金雲母・チタン鉄鉱・苦ばんざくろ石などを含むことがある。ダイヤモンドは地下約200kmの深さ(約6万気圧の条件)のマントルででき,そこから爆発的に急激に上昇してきたキンバレー岩やランプロアイトなどの特殊な岩石に含まれて産出する。なお,含まれるといってもその岩石1tあたり0.1〜0.2g程度しか含まれない。
石灰岩
方解石(石灰岩) calcite (limestone) 

成分:炭素 CaCO3
 炭酸カルシウム からなるサンゴや貝殻などの遺骸がたい積して固まってできた石灰岩は,方解石の塊である。多量に産出し,セメント原料,製鉄原料,有機化学 工業の原料として重要。
・岡山県井原市芳井町日南産
生物体
成分:主に炭素・酸素・水素から成る複雑 な有機化合物。
 生物体は主に有機化合物からなる。有機化合物は100万種以上の 種類があり,無機化合物よりはるかに種類が多い。