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密度  〔戻る〕
※比重は単位は付かないが密度と数値は同じである。

岩石は空隙の有無や,造岩鉱物の種類・成分などで密度が異なる。空隙に富 む 岩石は密度が低く,鉄などの重金属に富む鉱物を多く含む岩石や原子配列が密な鉱物を多く含む岩石は密度が高い。
同じ体積でも密度が高い岩石は持ち重りがす る。なお,同じ密度のものでも形態的に平べったいものや細長いものは,丸っこいものよりも感覚的に密度が小さく感じられるので注意を要する。


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火成岩の場合
ケイ素やアルミニウムに富む岩石(ケイ長質岩)は白っぽく密度が低い (2.5〜2.8g/cm3程度)。マグネシウムや鉄に富む岩石(苦鉄質〜超苦鉄質岩)は黒っぽく密度が高い (2.8〜3.5g/cm3程度)。

火成岩の化学組成による密度の違い
ケ イ酸分(SiO2)の含 有率 70% 前後 60% 前後 50% 前後 約 45%以下
岩 石全体の化学組成   ケイ素・アルミニウムが多い    ←       →    鉄・マグネシウムが多い

ケイ長質岩 中性岩 苦鉄質岩 超苦鉄質岩
火山岩

流紋岩 安山岩 玄武岩 コマチアイト
深成岩

花こう岩 閃緑岩 はんれい岩 蛇紋岩
かんらん岩
密 度(※火山岩は火山ガラスを含む場合があり,深成岩より密度がやや低い) 低い(2.5〜2.8g/cm3程度) 中くらい(2.7〜3.0g/cm3程度) 高い(2.8〜3.1g/cm3程度) かなり高い(3.3〜3.5g/cm3)。
蛇紋岩は水を多く含み,密度が低い(2.6g/cm3程度)


なお,同じ岩石でも,マグマの固結時に火山ガスがぬけてで き た気泡がある多孔質組織のものは密度が低い。

組織による密度の違い
流紋岩
軽石
例)この2つはいずれも流紋岩
同じ種類の岩石でも,マグマの固結時に火山ガスがぬけてできた気孔がある多孔質組織(右)のものは密度が低い。気孔が多いものでは密度が2
g/cm3を下回るものもある(例:軽石)。

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堆積岩の場合
時代の新しいものは続成作用が十分に進んでおらず,泥や砂などの堆積物 が密に固まっていないので空隙が多く,密度が低い(密度2.0〜2.5g/cm3)。時代 の古いものは続成作用が十分に進み,空隙が少なく密度が高い(密度 2.6〜2.7g/cm3)。

砂岩の密度

泥岩の密度


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変成岩の場合

 広域変成岩のうちで原岩(変成作用を受ける前の元の岩石)が苦鉄質の火 成岩であったものは,密度が高く (緑色片岩,角閃石片岩など。密度2.9〜3.5g/cm3),原岩が泥岩・砂岩・チャート・ケイ長質の火成岩であったものは密度が低い(紅れん石片岩, 黒色片岩, 片麻 岩など。密度2.6〜2.8g/cm3)。

原岩が苦鉄質の火成岩であった広域変成岩(密度が高い:2.9〜3.5g/cm3 緑色片岩
緑色片岩
角せん石片岩
角閃石片岩
藍閃石片岩
青色片岩
原岩が泥岩・砂岩・チャート・ケイ長質の火成岩であった広域変成岩(密度が低い:2.6〜2.8g/cm3 黒色片岩
黒色片岩
片麻岩
片麻岩
紅れん石片岩
紅 れん石片岩


また,非常に高圧条件でできた変成岩はその中の鉱物の原子配列が密なので,密度が高い(密度2.9〜3.5g/cm
3)。

エクロジャイト
エクロジャイト
1万5000〜2万気圧以上とい う非常に高圧条件ででき,原子配列が密な鉱物 を多く含み,密度が高い。