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累帯構造  〔戻る〕

 肉眼でわかることは多くないが,1つの結晶が成長していくときに最初に成長した部分(中心部 や根元)と終わりに成長した部分(周辺部や末端部)で,固溶体による成分の違いなどにより,色や透明度が異なっているものをいう。
リチア電気石
累 帯構造を示すリチア電気石
左:柱状結晶を輪切りにしたもので,中心部(結晶成長の初めの部分)は 鉄(Fe3+)に富み(黄色),周辺部(結晶 成長の終わりの部分)はマンガンに富む(桃色)もの。
右:柱状結晶の両端で色が異なるもの。左が根元(結晶成長の初めの部分)で
マンガンに富み(桃色),右が末端部(結晶成長の終わりの部分)で鉄(Fe2+に富む(緑色)。

コランダム
累帯構造を示すコランダム
結晶成長の際,周期的に鉄・チタンを1%程度含む部分(青)と含まない 部分(白)が繰 り返しできて,青と白の直線的な縞模様となっている。青い部分は宝石名でサファイアと呼ばれる。
錫石
累帯構造を示す錫石(偏光顕微鏡写真)
結晶の中心(結晶成長の初めの部分)から周辺部(結 晶成長の終わりの部分)にかけて,酸素原子(O2-) がわずかに欠損し光の吸収が起こり褐色になっている部分と,酸素原子 (O2-)の欠損がない無色の部分とが周期的 にできて,褐色と無色の微細な縞模様となっている。
累帯構造はこのような顕微鏡的な構造が多く,肉眼では認めにくいことが多い。

なお,水溶液から鉱物が沈殿してできる際,最初に沈殿したものの上に順 次積み重なるように沈殿してできる多結晶集合体の縞模様も累帯構造ということがあるが,これは累被状(または累層状)と呼ぶことが多い。
累被組織
累被状(累層状)の石英(熱水中のケイ酸分が順次積み重なるように沈殿してできたもの)