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透明度  〔戻 る〕

 これは肉眼・ルーペで見たときの透明度である。透明なもの,半透明なもの,不透明なものに分 けられる。
 金属光沢・亜金属光沢を示す鉱物には透明のものはない。また,本来,透明な鉱物でも微粒子で集合している場合や,微細な不純物や割れ目がある場合は透明 度が下がり,半透明や不透明になる。

 
透明な鉱物
 これは下に置いたものが透けて見える程度に光を通すもの。ダイヤモンドやハロゲン化鉱物のほか,酸素とナトリウム・アルミニウ ム・ケイ素・カリウム・カルシウムなど,比較的,原子量が小さい元素
だけを主成分とする鉱物に透明なものが多い。宝石となる鉱物もある。

透明な鉱物

しかし,本来透明な 鉱物でも,微細な粒子として集合したり,微細な不純物・割れ目が多い場合は,透明度が悪い。
石英の透明度

石英:割れ目や不純物を含まない石英は透明だが,それらを含むと透明度が下がる。


流体包有物
 透明度が悪い石英に含まれる0.01mm程度の水泡・気泡の不純物。石英ができる時の熱水やガスが石英に閉じこめられたもの。
 このようなものを一般に流体包有物という。これが多く含まれると,石英に限らず,本来透明な鉱物でも透明度が下がる。
方解石の透明度
方解石
トパーズの透明度
トパーズ
緑柱石の透明度
緑柱石


半透明な鉱物
 これは数mm程度の厚みで,光をぼんやり通すもの。
銅・亜鉛・ヒ素・錫・モリブデン・鉛など原子量が比較的大きい元素と,酸素を主成分とする屈 折 率 の高い樹脂光沢〜金剛光沢の鉱物に多い。原子量が大きい元素を主成分として含むと屈折率が高くなり,ごくわずかな割れ目や不純物で光の散乱が著しくな り,透明度が下がり半透明や不透明になる。
 12族元素(亜鉛,カドミウム,水銀)やヒ素の硫化鉱物も半透明のことがある。
 なお,ざくろ石類,白雲母,長石類などは本来透明だが,内部に微細な不純物や割れ目が多く,半透明や不透明のことが多い。

半透明の鉱物

しかし,半透明な鉱 物でも,微細な粒子として集合したり,微細な不純物・割れ目が多い場合は,透明度が下がり不透明になる。閃亜鉛鉱では,黄銅鉱の微粒子が含まれた り,亜鉛の代わりに数%以上の鉄が含まれることがあり,その場合,黒色や暗褐色になり不透明になる。

閃亜鉛鉱の透明度


不透明な鉱物

不透明な鉱物としては以下のものが代表的である。

・単体の金属の鉱物

・12族(亜鉛・カドミウム・水銀)以外の金属元素・半金属元素(テルル・ヒ素・アンチモン・ ビスマス)・イオウ・セレンからなる鉱物 → 硫化鉱物・セレン化鉱物・テルル化鉱物・ヒ化鉱物など

これらの多くは自由電子を有し,そのため,光が吸収されて不透明となる。
※これらの多くは金属の鉱石鉱物で金属光沢を示す。
自由電子を持つ鉱物
単体の金属の鉱物や,金属元素の硫化鉱物の多くは自由電子を有するため不透明で,電気をよく通す。写真は磁硫鉄鉱(硫化鉄)が電気を通している様子。

他には鉄やマンガンなどを多く含む酸化鉱物亜金属光沢を示す)・鉄を多 く含むケイ酸塩鉱物なども不透明なことが多い。

以上のような不透明な鉱物は他色 を示さないこ とが多い(自色だけを示す鉱物が多い)。また,条痕色は濃色のことが多い。
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なお,本来,透明な鉱物でも微粒子で集合している場合や,多くの微細な不純物や割れ目がある場合は透明度が下がり,不透明になることがある(逆に本来, 不透明な鉱物が透明や半透明になることはない)。

不透明な鉱物でも0.2〜0.3mm程度の厚さの裂片にすると,光を通すものは「亜半透明」ということがある(濃紅銀鉱,灰鉄輝石,黒雲母など)。

不透明な鉱物