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焦電性(しょうでんせい)  〔戻る〕

 加熱で静電気を帯びる現象を焦電性という。これは原子配列(結晶構造)において対称心のない結晶(異極晶)に属する鉱物の一部が示す現象である。
※圧力を加えると静電気を帯びる現象(圧電性)もあり,これは異極晶の多くに見られる現象である。圧電性は石英にもあり,これは時計の「水晶発振子」などに広く応用されている。

 異極晶の鉱物は多種あり,そのうちで焦電性を示すものは電気石類,異極鉱,斧石類などがあり,圧電性を示すものは電気石類,石英,ズニ石,閃亜鉛鉱,黄銅鉱,異極鉱,斧石類などがある。
 中にはリチア電気石のように焦電性が著しく,加熱しただけで手軽に観察できるものもある。

リチア電気石の焦電性 → 
リチア電気石は焦電性が著しく,ホットプレートなどで約200℃に加熱すると冷却時に紙片や糸くずを静電気で吸いつけることが ある。電気石には化学成分の違いで10数種類あるが,中でもリチア電気石が著しくこの性質を示す(電気石の名はこの現象に基づくものである。なお,宝石として用いられる高価なものでこの実験を行うと,ひびが入ったり色が変わることがあるので,実験は安価なもので行うこと)。
リチア電気石の焦電気性