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偏光顕微鏡下での鉱物のへき開(平行ニコルで観察)  [戻る]     
 
へき開は主要な造岩鉱物のうちでは,アルカリ長石・斜長石・黒雲母・白雲母・普通角閃石・普通輝石・斜方輝石(頑火輝石)・緑れん石・方解石などによく見られ,石英・かんらん石・ざくろ石類にはほとんど見られません
へき開は,肉眼観察では割れた面が平滑かどうかで判断しますが,偏光顕微鏡下では鉱物中に
へき開線と呼ばれる複数の互いに平行(または特定の角度で互いに交わる)な直線的な筋(割れ目)があるかどうかで判断します。

偏光顕微鏡でのへき開の見え方(黒く見える線がへき開線)


輝石類


角閃石類



黒雲母



方解石


なお,スライドグラスと岩石の間の接着剤の屈折率(n=1.54)に近い屈折率の鉱物(アルカリ長石や斜長石など)はへき開線はわかりにくく,その場合,ステージ下の絞りを絞るとよく見えます(黒雲母,普通角閃石,普通輝石,斜方輝石などは接着剤より屈折率がかなり高く,へき開線はそのままでも明瞭に見られます)。


            アルカリ長石のへき開線

アルカリ長石の屈折率(n=約1.53)は,スライドグラスと岩石の間の接着剤の屈折率(n=1.54)に近く,そのままではわかりにくいが(左),ステージ下の絞りを絞ると無数の細い線として見えるようになる(右)。


また,鉱物のへき開線と光源からの光の進路が平行に近い場合へき開線が薄片の面に垂直に近い角度になっている時)は,へき開線は細くシャープに見える(下左写真)。
鉱物のへき開線と光源からの光の進路がかなり斜交している場合(へき開線が薄片の面にかなり斜交している時)は,へき開線は太くにじんで見える(下右写真)。