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へき開 (平行ニコルで観察)   [戻る]

きわめて完全〜完全なへき開がある鉱物は,研磨する過程で,へき開がへき開線という極めて細い溝となって現れることがある。これは研磨時の粗い不純物粒子による傷と似ているが,何本かの線が互いに平行になっていることや,その線に沿って黒く見える剥落部が並んで見られることで区別できる。これで検体の鉱物にきわめて完全〜完全なへき開があるか否かがわかることがある。しかし,へき開線はきわめて完全〜完全なへき開がある鉱物でも見られないことの方がむしろ多く,明瞭や不明瞭なへき開はわからない場合がほとんどである。



方鉛鉱(Gn)のへき開
へき開で割れた部分が剥落し,そこが多数の黒く見える3角形の穴になっている。その3角形の穴も同じ結晶粒子内では互いに平行に並んでいる。
この剥落した3角形の形状は結晶方位によりさまざまである(研磨面が(111)に平行なら正3角形となる→写真の中央部〜左上部分)。
上写真のものは特に顕著にへき開が現れたもので,通常はこれよりも数少ない。
この方鉛鉱の3角形のへき開痕は,特徴的で,方鉛鉱の同定に特に重要である。
Qz:石英
(熱水鉱脈鉱床/鳥取県大倉鉱山)


輝安鉱(Sb)のへき開
柱状の輝安鉱の長手方向(この視野の右上〜左下方向)に,伸びたような暗色の剥落部がいくつも見える。これも研磨時にへき開に沿って剥落した痕跡である。
このようなものはブーランジェ鉱やベルチェ鉱など,柱状に伸びた方向に完全なへき開のある鉱物によく見られる。
Qz:石英
(熱水鉱脈鉱床/兵庫県中瀬鉱山)



輝水鉛鉱(Mo)のへき開
輝水鉛鉱のような板状で薄くはげるような極めて完全な劈開のある鉱物の研磨面には筋状の1方向のへき開がよく見られる。なお,結晶は湾曲していることが多く,へき開線もこのように曲がっている場合が多い。
石墨,チール鉱,ホセ鉱,生野鉱,ヘドレイ鉱,テルル蒼鉛鉱なども輝水鉛鉱ほどではないが,同様のへき開がしばしば観察される。
Qz:石英
(気成鉱床/広島県南生口鉱山)